就業規則作成10.解雇に関する規定(普通解雇・懲戒解雇・整理解雇)

◆ 10.解雇 ◆


(1)解雇の具体的事由は、網羅して規定しておかなければならない。

(2)解雇予告は、「初日不算入」

(3)解雇予告の必要がない者を明示しておく。

(4)解雇予告の際の手続きを記載する。

(5)退職や解雇時の会社から貸与した商品の返還について規定しておく。

(6)無断欠勤が続いた場合や行方不明の場合の規定を定めておく。

【よくある条文】
「正当な理由がなく無断欠勤が○日以上続いた場合には解雇する」
「本人が行方不明になって○日経過した場合には解雇する」

《ポイント》
★「解雇」にすると解雇予告をするか、解雇予告手当を払わなければならない。
また、行方不明の場合の解雇予告は公示送達をすることが必要になる。
★「自然退職」にすると上記の手続きは不要である。
【規定例】
「従業員が、無断欠勤連続14労働日に及んだ時は、その最終日をもって自己退職したものとみなす。」
「従業員が、所定の休日も含め連続14日無断欠勤に及んだ時は、その日を退職の日とし、従業員としての身分を失う。」

(注)「14日以上」と定める理由
労基法の規定ではなく、民法で、期間の定めのない雇用契約を解除する場合の告知期間が、2週間とされていることに基づくことと、
労働基準監督署長の解雇予告除外認定を受けて即時解雇できる基準に「原則として2週間以上正当な理由がなく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合」という通達があるため。

(7)解雇予告除外認定の申請
★労働基準監督署への解雇予告除外認定の申請は、従業員に解雇を「告げる前に」しておく

(8)「個人情報保護法の施行」(平成17年4月1日)に伴い、従業員が会社の顧客データを持ち出した場合も規定しておく。
【規定例】
「従業員が職務上知り得た会社の顧客情報を第三者に漏らし、または漏らそうとしたときは、懲戒解雇とする」

(9)解雇事由にかかる包括的規定を定めておく
【規定例】
「その他前各号に準ずるやむを得ない事情があったとき」


◆ 解雇・退職・辞職の違い ◆


●普通解雇・・・労働契約の中で不履行があった場合
●整理解雇・・・会社の経営上、どうしても人員の整理が必要な場合
●懲戒解雇・・・就業規則等に定められている懲戒事由に該当した場合
●自然解雇・・・定年退職、契約期間満了、自己都合退職
●辞職・・・・・・・労働者による労働契約の解約

◇ 普通解雇 ◇


労働者としての適性が著しく低いと認められた場合の解雇。
私傷病による場合
@休職期間を設定する⇒期間内に復職できない場合、労働契約は終了となる
A復職の場合の業種・業務を限定しておく

能力が低い場合
@試用期間を設ける
Aスペシャリストを雇入れる場合には、歩合制の採用や、成果が達成されない場合には、解雇することがあるということを明記しておく

勤務態度不良等
@服務規律を充実させておく

◇ 懲戒解雇 ◇

労働者の責に帰すべき事由により、懲戒処分として行われる解雇。
★就業規則の解雇事由に該当し、解雇の客観的理由があると認められる場合であっても、直ちにその解雇が有効と判断されるわけではない。判断するのは労働基準監督署ではなく、裁判所である。
★社会的相当性のない場合には、解雇は無効となる。

《解雇予告除外認定の対象となる事由》
○事業場内における業務上横領、傷害等の刑法犯に該当する行為があった場合
○賭博等で職場秩序を乱し、他の労働者に悪影響を及ぼす場合
○採用時に、採用条件の要素となるような経歴を偽った場合
○2週間以上、正当な理由がなく無断欠勤して、出勤の督促に応じない場合、など 

◇ 整理解雇 ◇

経営上の理由による人員削減として行われる解雇。
★経営状況が悪化したからといって、自由にできるものではない。判例によれば、整理解雇が有効とされる要件として次の4つの要件があり、一般に「整理解雇の4要件」と呼ばれている。

《整理解雇の4要件》

@人員削減の必要性
自発的退職者の募集や作業方式の変更など経営の合理化を行ってもなお、本当に人員整理の必要性があるのか

A解雇回避の努力
整理解雇を回避するために努力を怠ってないか、希望退職者の募集、配置転換、新規採用の中止、昇給停止、一時金支給停止、賃下げなどの努力を行ったか

B整理対象者選定の合理性
整理解雇される対象者の選定は合理的か、恣意的に選定していないか、従業員が納得できる解雇基準が作成されているか

C解雇手続の妥当性
対象労働者や労働組合に対して、整理解雇の必要性やその内容(時期・規模・整理の順序・整理の方法など)について十分説明し、誠意をもって協議したか

判例の中には4つの要件を全て満たす必要はなく、4要素としているものもある。
ロイヤル・インシュランス・パブリック・カンパニー・リミテッド事件(東京地裁)など

いずれにせよ、この4つの指標が解雇の有効、無効を判断する基準となっている。
この4要件に当てはまらないものがあるようならば、「解雇権の濫用」として無効とされることも考えられる。