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★就業規則の作成・運用にあたっての要注意ポイントや、問題点の解説などを記載します。
★労働基準監督署は、届け出の際、書類が整っていれば受理します。チェックするのは書類です。内容について保証したわけではありません。ご注意ください。
《会社の規則の法的性格》
■ 就業規則本則 ver.2 ■
◆ 1.総則 ◆
(1)就業規則の趣旨や会社の理念は、「総則」に記載する。
(2)全てのことを就業規則に規定するのは不可能であるので、そのような事態に備えて、「労働基準その他の法令による旨」を明記しておく。
(3)本則に特別の委任規程を設けなくても、別規則を定めることができる。
(4)就業規則が適用される従業員の範囲を明確にしておく。
パートタイマー、アルバイト、嘱託等は正社員の就業規則から適用を除外する。
パートタイマー、アルバイト、嘱託等は、その定義を明確に定める(会社によって違うことも)。
<正社員>
●正社員=雇用している労働者のうち、特に雇用期間を定めていない者
<非正社員>
●パートタイマー=正社員より所定労働時間が短いか、1週の所定労働日数が少ない者
●アルバイト=臨時的有期雇用者
●嘱託社員=正社員への転換や登用を全く予定しない有期雇用者
●契約社員=一般には、雇用期間を定めた比較的高度の専門職
●派遣社員=派遣元事業主から派遣される者
《ポイント》
★パートタイマー、アルバイト、嘱託等は、別規則を作成する。
★適用範囲について別個の就業規則(例:パートタイム就業規則)を定めるときはその旨を本則に定める。
【事例】
Q.会社がパートタイマーに退職金を支払わなければならないのはどんな場合か?
退職したパートタイマーから、退職金の支払を請求された。
「この就業規則には『退職した場合は、退職金を支払う』と書かれていますよ!」
A.除外規程がない場合、パートタイマーにも退職金を払うことになる
「パートタイマー、アルバイト、嘱託等は、正社員の就業規則から適用を除外する。」
との除外規定を定め、パートタイマー、アルバイト、嘱託等は、別に定める必要がある。
★パートタイマーが少ない場合は、個別労働契約(「労働条件通知書」)で定める方法もある。
(5)就業規則は、会社と従業員と双方に遵守義務があることを明記しておく。
◆ 2.採用 ◆
◇ 試用期間 ◇
◇ 人事異動 ◇
◆ 3.服務規律 ◆
(1)服務規律を遵守することが従業員の義務である旨を規律しておく。
【規定例】
「従業員は、職務上の責任を自覚し、誠実に職務を遵守するとともに、会社の指示命令に従い、職場の秩序の維持に努めなければならない。」
(2)服務規律として掲げたい事項を、個別に箇条書きで記載しておく。
(3)秘密保持規定、競業禁止規定や兼業制限規定など特に会社が喚起したい事項については、独立条文とする。
(4)職場外での職務に関係のない私的な行為であっても、会社の名誉や信用を害すると思われるような事由も規定しておくことができる。
(5)定型な文言ではなく、就業規則を読んだ時に具体的にイメージできるような内容がよい。
【規定作成事例】
「出社時は「おはようございます」と挨拶しましょう」
たとえ「常識」であっても規定しておけば、「挨拶すらしない常識のない従業員」を処分する根拠とできる
★会社の実情に合わせて規定する。
【服務規律は、従業員に日々このように働いて欲しいという「社長の思い」】
労基法上の定めはないが、会社の独自性が反映される重要な規定。
★服務規律に規定がなければ、懲戒処分を行うことができない。
<事例>
長髪の飲食店の男性従業員に対して、客から「不潔感がある」と苦情がある。
診療所に勤務する女性看護師が爪を伸ばし、マニキュアをしているので、患者から苦情が多い。
<対応>
会社は、勤務中の服装、身だしなみ等について、業務上必要な範囲で必要な指示をすることができる。職種によっては具体的に箇条書きにして定める。
【規定例】
「看護師はマニキュアをして勤務してはいけない。」
「ホール従業員は長髪にしてはいけない。」
<事例>
会社のパソコンで私的なEメールをしている。
<対応>
「パソコン規定」をつくる
「会社のパソコンでインターネット、E-mail等を私的に利用しない」こと、「会社は不正使用がないかチェックすることができる」こと、を明記しておく。
★規定がなければ、ネット使用のモニタリングはできない。
《ポイント》
服務規律は就業規則に必ず規定しなければならないものではないが、会社の秩序を維持するためには必要なものである。
★勤務態度に合わせ、必要な事項を規定しておく。
★パソコン等の取扱については、「パソコン管理規定」を定める。
職場外での職務に関係のない私的な行為であっても、会社の名誉や信用を害すると思われるような事由も規定しておくことができる。
(6)秘密保持規定
必ず定めておきたい重要な規定。
★秘密保持義務は、労働契約上の義務である。
個人情報保護法の施行(平成17年4月1日)に伴い、従業員に個人情報の重みを認識させることがより重要になった。
【規定例】
「従業員は、在職中はもちろんのこと退職後においても、自己の職務に関すると否とを問わず、会社の内部事項または業務上知り得た機密にかかる事項及び会社の不利益となる事項を許可なく他に漏らしてはならない。会社及び顧客に関する情報を複写等の方法によって社外に持ち出してはならない。」
(7)競業禁止規定
就業規則若しくは労働契約書で退職後の競業禁止の特約(競業避止特約)を定めておく。
★「職業選択の自由」の立場から制限するのは難しいとされているが、重要なポジションにある従業員との間においては有効とされる場合もある。
【判例】
特約もなしに就業の自由を拘束することはできない。
退職後の競業は、 期間・場所・職種について合理的な範囲に限定して、 禁止できる。
(8)兼業制限規定
就業規則に規定がなければ、兼業を制限できない。
就業規則に定めても、現実的には100%禁止することはできない。
★許可制にすれば、無許可の兼業は懲戒解雇の対象にすることができる。
(9)セクハラ禁止規定
職場におけるセクハラ防止のための配慮規定を定めておく。
(10)所持品検査規定
★金銭の不正隠匿等の調査のために、所持品検査を行う場合であっても、就業規則に所持品検査を行う旨の規定がなければ、所持品検査は行うことができない。
(11) 個人情報保護規定
「個人情報保護法の施行」(平成17年4月1日)に伴い、個人情報管理の規定を定めることが必要となった。
【規定例】
「従業員は、会社が保有する個人情報を会社の業務の目的の範囲外で利用し、または第三者に開示・漏洩し、或いは第三者の知り得る状況に放置するなどの不適切な管理や、権限を有しない他の従業員に取り扱いをさせるなどしてはならない。なお、従業員は、当該情報等を厳重に管理しなければならない。」
(12) 退職者との秘密保持規定
「不正競争防止法の改正」により、退職者によって営業秘密の侵害があった場合には、退職者への処罰が導入される。
《ポイント》
退職者を処罰するためには、就業規則に、企業が保護したいと考える営業秘密を保有した退職者に対して、契約上の秘密保持義務を締結する明確に負わせるための秘密保持規定を定めるとともに、営業秘密保持契約を締結する必要がある。また、規定だけでなく、情報セキュリティマネジメントが講じられていなければ、保護されない。
《不正競争防止法上の営業秘密とは》
秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう(第2条6項)。
①秘密管理性・・・秘密として管理されていること
②有用性・・・・・・・事業活動に有用な情報であること
③非公知性・・・・・公然と知られていないこと
この①〜③の要件を満たす場合に限り、営業秘密として保護を受けることができる。
《営業秘密保持契約を締結するに当たって規定しておくこと》
①対象となる情報の範囲
②秘密保持期間
③義務違反の際の措置
◆ 4.労働時間、休憩及び休日 ◆
◆ 5.変形労働時間 ◆
◇ 1ヵ月単位の変形労働時間制 ◇
◇ 1年単位の変形労働時間制 ◇
◆ 6.休暇等 ◆
◆ 7.休職 ◆
◆ 8.定年 ◆
(1)定年とは、従業員が一定の年齢に達した場合に退職する制度。
定年を定めるかどうかは会社の自由
★定年の定めをする場合は60歳以上としてしなければならない。
【65歳までの雇用延長】
高年齢者雇用安定法の改正により、平成18年4月1日から62歳までの雇用延長が義務化。
次の3つの制度から1つ選択します。
①定年の引き上げ
②継続雇用制度の導入
③定年制の廃止
★就業規則の規定の変更が必要です。
《ポイント》
労使協定を締結することにより、就業規則で選定基準を規定して、特定の者だけを再雇用することができる(中小企業は平成23年3月末まで)。
(注)ただし、就業規則で基準を定めることができるのは、労使協議が不調であることが前提なので、労使協議を省略したり形式的な労使協議だけで、基準を就業規則で定めることはできません。また、継続雇用定着促進助成金の支給対象外となります。
(2)退職日は明確にしておく。
【規定例】
「定年に達した場合には自然退職とする。」
★従業員が業務上災害で休業している場合には退職させられないから
<定年に達したとき>
○誕生日の前日を含む賃金計算期間の末日
○誕生日の属する月末
○誕生日の属する年度末
○ 誕生日の属する月の賃金締切日(←これが計算上都合よい)
(3)定めがない場合は、定年がないものとみなされる。
★退職の規定が明確でないと解雇手続きが必要となる場合がある。
《注意》
「業務上引き続き雇用することがある」とすると、解雇の規制を受ける場合もある。
『退職後の再雇用制度』にするほうがよい。
◆ 9.退職 ◆
◆ 10.解雇 ◆
◆ 解雇・退職・辞職の違い ◆
◇ 普通解雇 ◇
◇ 懲戒解雇 ◇
◇ 整理解雇 ◇
◆ 11.賞罰 ◆
(1)会社や社会に貢献した従業員を報奨する規定を定めておく。
(2)懲戒処分は種類とその程度を明記しておく。
【判例】
就業規則に懲戒解雇の規定がないとして、懲戒解雇が無効
★懲戒処分とは、従業員の秩序違反に対し、会社が課す一種の制裁罰。
懲戒処分の最も重い形態が、懲戒解雇。
①訓告
口頭で注意を行い、将来を戒める
②けん責
始末書を提出させ、将来を戒める
③減給
始末書を提出させるほか、給与の一部を減額する。一回の行為につき平均賃金の半日分または数回の行為については一賃金支払時期の賃金の10分の1を上限として給与から減額する
④出勤停止
始末書を提出させるほか、出勤を禁じる。その間の賃金の支払は必要ない。勤続年数にも通算しないとするものが多い。法律上に出勤停止の期間の上限は定められていないが、1ヶ月以内が妥当。行政指導では7日間。
【判例】
不当に長い出勤停止は無効。
⑤降格
始末書を提出させるほか、職制上の地位を免じ、または降格する。
(注)降格処分は、職種の変更に限られている。
⑥諭旨退職
本来は懲戒解雇の対象となる行為であるが、情状酌量の余地がある場合に退職届を提出させるように勧告する。退職金の全部または一部を支給。
⑦懲戒解雇
予告期間を設けずに即解雇する。退職金の不支給や減額を伴う場合が多い。
(3)懲戒の事由に関しては、具体的かつ網羅的に規定する。
『○○○をすれば、○○の処分を受ける』ということを事前に規定しておくことが重要。
(4)懲戒処分は、懲戒事由の定めがない事由や種類について処分できない。
《ポイント》
★懲戒処分を課すためには、就業規則に定めておくことが必要。
(5)懲戒事由に包括条項を設けておく。
該当事項がない場合は包括規定に該当するかどうかで判断する。
【規定例】
「その他、全各号に準ずる行為があったとき」
★あくまでも具体的列挙が前提。
(6)未遂、幇助、教唆についても規定しておく。
(7)出勤停止の期間の制限はない。(1ヶ月位までが多い。)
(8)出勤停止期間は勤続年数に通算しない。
(9)懲戒解雇事由を明確かつ特定して規定する。
(10)懲戒基準を懲戒の種類ごとに明確に定めておく。
【規定例】
<けん責>
①正当な理由なしに無断欠勤をしたとき
②勤務に対する所定の手続き・届出・申請について不正があったとき
③職場の風紀・規律を乱したとき
④コンピューター機器、電子メール等の会社設備を会社の業務以外の目的に使用したとき
⑤許可なく会社の電子情報データを持ち出し、または持ち出そうとしたとき
⑥労働時間中、許可なく職場を離れ、もしくは自己の職責を怠るなど業務怠慢の行為があったとき
⑦立ち入りを禁止した場所に許可なく立ち入ったとき
⑧所定の出退勤記録の手続きを他人にさせ、若しくはこれに応じたとき
⑨その他前各号に準ずる程度の行為があったとき
<減給・出勤停止>
①無断欠勤の度重なるとき
②遅刻・早退・私用外出が多く勤務に誠意が認められないとき
③事業所内にて、賭博、その他これに類する行為をしたとき
④故意または過失により、業務上の秘密(顧客情報を含む)、個人情報等を他に漏らし、会社に損害を与えたとき
⑤故意または過失により、電子情報データを破損または紛失し、会社に損害を及ぼしたとき
⑥故意または重大な過失により、業務に関し会社ならびに顧客に損害を与えたとき
⑦その他前各号に準ずる程度の行為があったとき
<普通解雇>
①勤務成績又は業務成績が著しく不良で向上の見込みがないとき
②勤務状況が著しく不良で改善の見込みがないとき
③精神又は身体の障害について適正な管理を行い、雇用の継続に配慮しても、なお業務に耐えられないと認めたとき
④試用期間中又は試用期間満了時までに従業員として不適格であると認められたとき
⑤事業の運営上やむを得ない事情又は天災事変その他これに準ずるやむを得ない事情により、事業の縮小・転換又は閉鎖等を行う必要が生じ、他の職務に転換させることが困難なとき
⑥その他前各号に準ずる程度の行為があったとき
<懲戒解雇>
①普通解雇の各号の行為が数度に及んだとき
②正当な理由がなく無断欠勤が連続暦日14日以上におよび、出勤の督促に応じなかったとき
③正当な理由がなく無断で遅刻、早退又は欠勤を繰り返し、○回(注:具体的に回数を定める)にわたって注意を受けても、改めなかったとき
④重要な経歴を偽り、その他不正を用いて採用されたとき
⑤正当な理由なく、しばしば業務上の指示・命令に従わなかったとき
⑥私生活上の非違行為や会社に対する誹謗中傷等によって会社の名誉を傷つけ、業務に重大な悪影響を及ぼすような行為があったとき
⑦会社の業務上必要な秘密を外部に漏洩して会社に損害を与え、又は業務の正常な運営を阻害したとき
⑧情報セキュリティに関する規定に違反し、会社または個人に著しい不利益を及ぼしたとき、または名誉、信用を著しくj毀損したとき
⑨数回にわたり懲戒を受けたにもかかわらず、なお勤務態度に関し、改善の見込みがないと認めたとき
⑩故意または重大な過失により、会社に重大な損害を与えたとき
⑪素行不良で、著しく会社内の秩序又は風紀を乱したとき
⑫その他前各号に準ずる程度の行為があったとき
◆ 12.育児休業・介護休業 ◆
◆ 13.職務発明・知的財産権 ◆
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就業規則と人事制度のカワムラ社労士事務所
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