◆ 5.変形労働時間 ◆



『週40時間制クリア』のためには有効だが、従業員によく理解してもらうことが何よりも重要。
(注)「8時間超えて残業しているのに、割増賃金を払わない会社なんだ」と誤解し、不満を抱いていることがある。(「ウチの会社は法律違反してるんじゃないですか?」との問い合わせがあり、よく聞くとその会社は「変形労働時間制を採用していた」、ということがよくある。)

◇ 1ヵ月単位の変形労働時間制 ◇



【導入のための要件】
①変形期間
変形期間の長さ(1ヵ月以内)とともに、その起算日を定める。
②変形期間における各日、各週の労働時間
変形期間を平均して1週当り40時間以内の範囲で各日、各週の労働時間を具体的に特定する。就業規則においては、始業及び終業の時刻を定める。
③労使協定による場合は、協定の有効期間を定める。
届出も必要。
(注)労使協定により1ヵ月単位の変形労働時間制を採用した場合でも、就業規則に規定しなければならない。労働者の民事上の労働の義務は、労使協定から直接発生するものではなく、労働協約、就業規則等の根拠が必要であるため。

【変形期間の法定労働時間の計算方法】

変形期間の法定労働時間の総枠
= 40時間 × 変形時間の歴日数 ÷ 7

(注)端数はそのままとするか、切り捨てる。

<1ヶ月の法定労働時間の総枠>
31日⇒177.1時間
30日⇒171.4時間
29日⇒165.7時間
28日⇒160時間

<1ヵ月単位の変形労働時間制(週40時間)のパターン>
1日の労働時間と1ヶ月の休日数の関係(30日・31日の月の場合)
8時間⇒9日
7時間30分⇒8日
7時間15分⇒7日
7時間⇒6日

《時間外労働となる時間の判断基準》
①1日について
労使協定または就業規則その他これに準ずるものにより、1日の法定労働時間を超える時間を定めた日はその時間、それ以外の日は1日の法定労働時間を超えて労働した時間が時間外労働の対象となる。
②1週間について
労使協定または就業規則その他これに準ずるものにより、週法定労働時間を超える時間を定めた週はその時間、それ以外の週は法定労働時間を超えて労働した時間(①で時間外労働となる時間は除く)が時間外労働の対象となる。
③変形期間について
変形期間については、変形期間における法定労働時間の総枠を超えて労働した時間(①②で時間外労働となる時間を除く)が時間外労働の対象となる。


毎年1月1日を起算日とする4週間単位の変形労働時間制を採用する。
1日の所定労働時間が7時間の会社では、休日をどのようにすれば週40時間がクリアできるか?


6日の休日を与えればよい。

40時間×(28÷7)=160時間
⇒160時間(変形期間の法定労働時間の総枠)÷7(所定労働時間)=22.857
⇒22.857日→22労働日
⇒6日休日(変形期間28日―労働日22日)


◇ 1年単位の変形労働時間制 ◇



【導入のための要件】
①対象労働者の範囲を特定する。
②対象期間(労働時間を平均することができる期間)を決定する。
③対象期間の所定総労働時間の限度を決定する。

1年以内の一定期間の労働時間総枠
= 40時間 × 対象期間中の総日数 ÷ 7日


40時間×365日÷7日=2085.7⇒総枠2085時間/年

<1年単位の変形労働時間制(週40時間)のパターン>
1日の労働時間と年間休日数の関係(1年365日)
8時間⇒105日
7時間45分⇒96日
7時間30分⇒87日

(注)労働日数は280日が上限であるから、休日数は85日としなければならない。

④途中退職者等に40時間を超えた分の割増賃金を支払う定めをする。
⑤労働日・労働時間を特定する。
⑥労使協定を締結して届け出る。

《時間外労働となる時間の判断基準》
①1日について
労使協定により、1日の法定労働時間を超える時間を定めた日はその時間、それ以外の日は1日の法定労働時間を超えて労働した時間が時間外労働の対象となる。
②1週間について
労使協定により、週法労働時間を超える時間を定めた週はその時間、それ以外の週は法定労働時間を超えて労働した時間(①で時間外労働となる時間は除く)が時間外労働の対象となる。
③対象期間について
対象期間については、対象期間における法定労働時間の総枠を超えて労働した時間(①②で時間外労働となる時間を除く)が時間外労働の対象となる。

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