◆ 4.労働時間、休憩及び休日 ◆



(1)原則的な就業時間の体制について記載する。
シフト勤務体制の場合は、そのシフト全部を記載する必要がある。

(2)変形労働時間制を採用している場合であっても、ベースとなる始業・終業時刻、休憩時間は必ず具体的に記載しなければならない。
(3)弾力的な時間の運営(始業時刻の繰り上げ、繰り下げ等)をする旨の規定を定めておく。
【規定例】
「業務上の必要がある場合は、予告のうえ、全部または一部の従業員について、始業、終業および休憩の時刻を変更することがある。ただし、この場合においても1日の勤務時間が所定労働時
間を超えることはない。」

(4)1日及び1週の所定労働時間を記載する。
変形労働時間制を採用する場合においても、上記の記載は必要。

《所定労働時間と法定労働時間の違い》
●「所定」労働時間
就業規則や労働契約で定められた時間。法定労働時間を超えることはできない。
●「法定」労働時間
法律で労働時間の限度として定められている時間。

(5)法定休日と所定休日の違いを明確に記載しておく。
休日出勤の割増賃金を算定する場合に必要
(注)週休2日制で土・日曜日を休みとしている場合には、そのうちの1日が法定の休日であり、もう1日の休日は会社が上乗せした休みとなる。
★どちらの休日が法定かという決まりはないので、上乗せの休日に労働をさせた場合であっても、休日の割増賃金を支払う必要はない。

(6)祝日は、休日の割増賃金を支払う必要はない。
★5月4日(国民の休日)及び祝日の翌日を休ませる場合には、記載しておく必要がある。
5月4日は、国民の祝日に関する法律により国民の祝日に付随して休日となる日
「国民の祝日が日曜日にあたる時の翌月曜日並びに当日が火曜日から土曜日までの間の曜日にあたる場合の5月4日をいう」

《休日と休暇の違い》
●休日
労働契約・就業規則などで労働の義務を課さないとした日、
労働契約上労働を提供する義務のない日
●休暇
本来、労働すべき所定の労働日に、労働する義務を免除された日、又は時間
労働の提供義務を一時的に免除される期間、
ある事柄が満たされて労働のないもの(年次有給休暇・慶弔休暇)

《休業と休職の違い》
●休業
本来、労働すべき所定の労働日であり、労働者が労働する意思があるかもかかわらず、それが拒否されたか、又は不可能となった日、あるいは時間
●休職
労働者が私傷病等により、労務の提供ができなくなった場合に従業員の地位を維持したままで、その就労の義務を免じられる一定期間

【年中無休の場合で休日を特定できない場合】
【規定例】
「毎週2日とし、毎月ごとに勤務割表で定める日。ただし、○○日前までに通知するものとする。」
勤務割表をいつまでに定めなければならないかについて法の規定はない。1ヵ月前としている場合もあれば、1週間前としている場合もある。

【週休2日制の場合】
法定休日と所定休日の違いを明確に記載しておく。
休日出勤の割増賃金は法定休日の労働に対して発生する。

《ポイント》
「法定休日は○曜日とする。」という規定にはしないこと
★法定休日を特定すると、その週に何日休日があっても、法定休日に出勤させると休日の割増賃金を支払わなければならない。法定休日は、4週を通じて4日あればよく、この休日に労働させた場合に割増賃金を支払う必要がある。

(8)振替休日の場合は就業規則に規定が必要。
事前に振替日を指定の上、通知する。4週4休を確保する。
★休日労働とはならないので、36協定の必要はない。
【規定例】
「業務に都合によりやむを得ない場合には、従業員の全部または一部について、あらかじめ前項の休日を他の日と振り替えることがある。ただし、休日は4週間を通じ4日を下らないものとする。」

《振替休日と代休》
●振替休日制度
事前に振り替える休日を特定させる(会社が指定する)制度。休日勤務手当の必要はない。
●代休制度
事後に休日を与える制度。休日勤務手当の必要がある。

(9)だらだら残業を防止する。
(注)使用者が知りながら放置している「自発的残業」は労働時間となる
★時間外労働は会社の命令あるいは承認で行われる旨を記載しておく

(10)時間外労働を適正化する

《ポイント》
★時間外労働申請書等の提出を義務づける(監督署の「調査」が入った時に、証拠書類となる。)

(11)タイムカードの記録方法を定めておく。
★タイムカードは『業務の開始と終了時に』記録する旨を定めておく。
労働時間の計算に問題が生じないようにすること。

(12)始業、終業がどのような状態で認められるかということを明示しておく。
【規定例】
「始業時刻前に出勤し、始業時刻に勤務ができるように準備すること。」
(注)「始業時刻の前に着替え等を済ませておいて、始業時刻に勤務ができるように準備をしておくこと」とまで指示すると、着替えの時間も労働時間とみなされる。

(13)遅刻、早退、欠勤、外出に関する手続きを定めておく。
★届出は、事前届で承認制にする。
事前に届出ができなかった場合は事後報告する旨を定めておく。
【規定例】
「やむを得ない事情により、あらかじめ届け出ることができない場合には、欠勤中あるいは出社後、速やかに届け出て承認を受けなければならない。」

《ポイント》
遅刻、早退、欠勤については、服務規律や懲戒規定にも個別に明記しておくこと
★定めていない場合は、懲戒処分ができない。

(14)欠勤が長引く場合には、診断書を提出させる。健保の傷病手当金の待機期間が3日であることから、「4日以上の欠勤の場合」とする。
【規定例】
「同一傷病による欠勤が3日を超えたときは、医師の診断書を提出しなければならない。」

(15)営業社員については、事業場外みなし労働制を採用するとよい。
出張の場合にも事業場外みなし労働制を採用することができるが、その旨を記載しておかなければならない。

(16)出張に関する手続きのルールを定めておく。

(17)変形労働時間制を採用する場合には、その方法や対象者などの規定が必要。

(18)時間外や休日労働をさせることがある旨を明記しておく。

(19)労働時間、休日に関する適用除外者を明確にしておく。

(20)労働時間の実際上の取扱について規定しておく。

①通勤時間は、使用者の指揮監督のもとにない自由な時間であるので、労働時間ではない。出張の場合も同じ。
②事業場に入ってから、タイムカード等の置いてある所まで行くのに要する時間は、労働時間には入らない。
③作業準備のための時間、後始末の時間は原則には労働時間に含まれる。着替えなどのための時間は、使用者の明示あるいは黙示の命令がある場合や、法令で義務づけられている場合は、労働時間に含まれる。機械の点検整備などの時間は、労働時間。
④シャワーの使用や入浴は、労働時間ではない。
⑤朝礼、ミーティング等で、参加が義務づけられている場合には、労働時間となる。
⑥参加が義務づけられている研修等は労働時間となるが、参加が自由な場合は労働時間とはならない。
⑦特殊健康診断は、労働時間。

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