◆ 3.服務規律 ◆

 


(1)服務規律を遵守することが従業員の義務である旨を規律しておく。
【規定例】
「従業員は、職務上の責任を自覚し、誠実に職務を遵守するとともに、会社の指示命令に従い、職場の秩序の維持に努めなければならない。」

(2)服務規律として掲げたい事項を、個別に箇条書きで記載しておく。

(3)秘密保持規定、競業禁止規定や兼業制限規定など特に会社が喚起したい事項については、独立条文とする。

(4)職場外での職務に関係のない私的な行為であっても、会社の名誉や信用を害すると思われるような事由も規定しておくことができる。

(5)定型な文言ではなく、就業規則を読んだ時に具体的にイメージできるような内容がよい。
【規定作成事例】
「出社時は「おはようございます」と挨拶しましょう」
たとえ「常識」であっても規定しておけば、「挨拶すらしない常識のない従業員」を処分する根拠とできる
★会社の実情に合わせて規定する

【服務規律は、従業員に日々このように働いて欲しいという「社長の思い」】
労基法上の定めはないが、会社の独自性が反映される重要な規定。
★服務規律に規定がなければ、懲戒処分を行うことができない。
<事例>
長髪の飲食店の男性従業員に対して、客から「不潔感がある」と苦情がある。
診療所に勤務する女性看護師が爪を伸ばし、マニキュアをしているので、患者から苦情が多い。
<対応>
会社は、勤務中の服装、身だしなみ等について、業務上必要な範囲で必要な指示をすることができる。職種によっては具体的に箇条書きにして定める。
【規定例】
「看護師はマニキュアをして勤務してはいけない。」
「ホール従業員は長髪にしてはいけない。」

<事例>
会社のパソコンで私的なEメールをしている。
<対応>
「パソコン規定」をつくる
「会社のパソコンでインターネット、E-mail等を私的に利用しない」こと、「会社は不正使用がないかチェックすることができる」こと、を明記しておく。
★規定がなければ、ネット使用のモニタリングはできない。

《ポイント》
服務規律は就業規則に必ず規定しなければならないものではないが、会社の秩序を維持するためには必要なものである。
★勤務態度に合わせ、必要な事項を規定しておく。
★パソコン等の取扱については、「パソコン管理規定」を定める。

職場外での職務に関係のない私的な行為であっても、会社の名誉や信用を害すると思われるような事由も規定しておくことができる。

(6)秘密保持規定
必ず定めておきたい重要な規定。
★秘密保持義務は、労働契約上の義務である。
個人情報保護法の施行(平成17年4月1日)に伴い、従業員に個人情報の重みを認識させることがより重要になった。
【規定例】
「従業員は、在職中はもちろんのこと退職後においても、自己の職務に関すると否とを問わず、会社の内部事項または業務上知り得た機密にかかる事項及び会社の不利益となる事項を許可なく他に漏らしてはならない。会社及び顧客に関する情報を複写等の方法によって社外に持ち出してはならない。」

(7)競業禁止規定
就業規則若しくは労働契約書で退職後の競業禁止の特約(競業避止特約)を定めておく。
★「職業選択の自由」の立場から制限するのは難しいとされているが、重要なポジションにある従業員との間においては有効とされる場合もある。
【判例】
特約もなしに就業の自由を拘束することはできない。
退職後の競業は、 期間・場所・職種について合理的な範囲に限定して禁止できる

(8)兼業制限規定
就業規則に規定がなければ、兼業を制限できない。
就業規則に定めても、現実的には100%禁止することはできない。
★許可制にすれば、無許可の兼業は懲戒解雇の対象にすることができる。
(9)セクハラ禁止規定
職場におけるセクハラ防止のための配慮規定を定めておく。

(10)所持品検査規定
★金銭の不正隠匿等の調査のために、所持品検査を行う場合であっても、就業規則に所持品検査を行う旨の規定がなければ、所持品検査は行うことができない。

(11) 個人情報保護規定
「個人情報保護法の施行」(平成17年4月1日)に伴い、個人情報管理の規定を定めることが必要となった。
【規定例】
「従業員は、会社が保有する個人情報を会社の業務の目的の範囲外で利用し、または第三者に開示・漏洩し、或いは第三者の知り得る状況に放置するなどの不適切な管理や、権限を有しない他の従業員に取り扱いをさせるなどしてはならない。なお、従業員は、当該情報等を厳重に管理しなければならない。」

(12) 退職者との秘密保持規定
「不正競争防止法の改正」により、退職者によって営業秘密の侵害があった場合には、退職者への処罰が導入される。

《ポイント》
退職者を処罰するためには、就業規則に、企業が保護したいと考える営業秘密を保有した退職者に対して、契約上の秘密保持義務を締結する明確に負わせるための秘密保持規定を定めるとともに、営業秘密保持契約を締結する必要がある。また、規定だけでなく、情報セキュリティマネジメントが講じられていなければ、保護されない。

《不正競争防止法上の営業秘密とは》
秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう(第2条6項)。
①秘密管理性・・・秘密として管理されていること
②有用性・・・・・・・事業活動に有用な情報であること
③非公知性・・・・・公然と知られていないこと
この①〜③の要件を満たす場合に限り、営業秘密として保護を受けることができる。

《営業秘密保持契約を締結するに当たって規定しておくこと》
①対象となる情報の範囲
②秘密保持期間
③義務違反の際の措置

 

 

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