◆ 2.採用 ◆



(1)選考方法や採用対象者を明確にしておく。

(2)採用時に必要な提出する書類は、列挙する。

1.履歴書
採用の応募時に提出している場合は不要
2.住民票記載事項証明書
★戸籍謄本(抄本)及び住民票写しを提出させるのは人権上問題がある。

3.健康診断書
雇い入れ時の健康診断を省略することができる。
(健康診断を受けてから3ヶ月以内に雇い入れるとその証明で代替できる)

4.身元保証書
採用時には必ず身元保証人(注:連帯保証人ではない)を選定することを記載する。
法律的義務はない。損害賠償責任、確かな人物という保証

5.労働契約書及び誓約書
6.前職がある者は、年金手帳、雇用保険被保険者証、及び源泉徴収票
7.給与所得者の扶養控除申告書及び扶養家族申請書
8.家族調書
9.資格等を証明する書類で会社が求めたもの
10.現住所から会社までの通勤方法及び略図
11.給与振込口座申請書
12.その他会社が必要と認めたもの

《身元保証制度とは》
●会社と身元保証人との間で、対象となる従業員が、将来において故意又は過失によって会社に損害を与えた場合に、身元保証人があらかじめその損害の支払いを保証するという内容のもの。(身元保証に関する法律)
(注)身元保証制度によって賠償してもらえるのは、せいぜい20%〜30%まで(判例あり)
①期限の定めない契約は3年(商工業の見習い者は5年)
②期限の定めのある契約であっても5年まで
③契約の更新は可能であるが、自動更新は無効(5年ごとの更新が必要、更新するなら就業規則に定める必要がある)
会社から保証人への通知義務がある

●下記の場合には、使用者である会社から身元保証人に対して通知義務が課されている。
これらの通知義務を怠ると、身元保証人の責任が減らされることになる。
○従業員に業務上不適任または不誠実な行為があり、身元保証人に責任が生じるおそれがあることを知った場合
○従業員の任務や任地の変更があり、身元保証人の責任に影響を及ぼす場合

《身元保証人が負うべき保証の範囲》
法律上の制限はない。あくまで契約書に記載してある範囲
印鑑証明を必要としてもよい(金融機関では一般的)
保証人の連絡先の電話番号を記入してもらう

(3)未提出者への処分についても規定しておく。
【規定例】
「正当な理由がなく所定の期日までに提出しない者については、採用を取り消すことがある。」
★提出期限、変更があった場合についても規定しておく。
★書類の提出期限について法的な定めはないが、労務管理の点からは、この提出期限は従業員には厳守させなければならない。

【判例】
書類を提出しないことを理由としての解雇を有効と判断(名古屋タクシー事件、シティズ事件)

(4)その他
①採用時の応募書類については、不採用の場合の書類返却については法的に定められていないが、『返却するのが望ましい』とされている。
返却しない場合は、『責任をもって破棄いたします』とする。
②誓約書に法的な効果はない。
★精神的な効果をねらう
③誓約書において、法律で禁止されていることを誓わせてはいけない。
(例:損害賠償の具体的金額、女性が結婚した場合や妊娠の場合は退職すること、等)

《ポイント》
「会社を守る」観点からは、「秘密保持誓約書」、「個人情報管理誓約書」、なども、業務の実情に合わせて作成すべきである。

◇ 試用期間 ◇



(1)採用者の適性を判断するための期間として、試用期間に関する規定を定めておく。
★期間の定めがない場合は、公序良俗に反するものとして、民法90条により、無効となる。(判例:ブラザー工業事件)
【規定例】
「新たに採用した者については、原則として採用の日から○ヶ月間を試用期間とする。」
(1〜6ヶ月が一般的。3ヶ月が多い。)
《注意》
★試用期間は、長くても1年以内にとどめておくこと。
1年を超えると民法90条(公序良俗)違反に問われることもある。

(2)試用期間中に適格と認められない場合は解雇することが旨を記載しておく。
【規定例】
「試用期間中に従業員として不適格と認められた者は、雇い入れから14日以内の場合は即日解雇とし、14日を超える場合は労働基準法の定める所定の手続きを経て解雇とする。」

(注意)試用期間中であれば、14日以内は即解雇できるが、就業規則に試用期間の定めがある場合か、雇用契約の内容となっている場合、に限られる。
(3)試用期間は、勤続年数に通算する旨を定めておく。

(4)試用期間の延長は、就業規則に延長規定がなければできない。
★必ず期限を限る

【試用期間中の従業員に辞めてもらうには?】
★就業規則に試用期間の定めが必要。
(注)試用期間中の解雇であっても、
雇い入れから14日を超える場合は解雇予告手当が必要。

《ポイント》
試用期間の代わりに、2ヶ月以内の短期間雇用契約を設けておく。
★この2ヶ月以内であれば即解雇できる。解雇予告手当も不要。
★社会保険料の負担がない。

(注意)職種によっては求人募集の際に、敬遠されることもあり得る。
【規定例】
「新たに採用した者については、原則として採用の日から2ヶ月間の期間を定めた雇用として、期間満了をもって雇用契約は消滅するものとする。」「ただし、契約期間内にまたは期間満了をもって期間の定めのない雇用として雇用契約を変更し、または当該更新することもある。」

◇ 人事異動 ◇


(1)出向や転勤等の人事異動の規定は必ず明記しておく。
出向中の労働条件については、原則として出向先の就業規則が適用される。
転籍や移籍出向は労働者本人の同意がなければできない(民法625条)。

(2)配置転換、転勤についても必ず明記しておく。
【規定例】
「会社は、業務上必要がある場合は、従業員の就業する場所又は従事する業務の変更を命ずることがある。」

《同意は必要か?》
配置転換・転勤・・・従業員の同意は不要
出向・・・・・・・・・・・・原則として従業員の同意が必要
転籍・・・・・・・・・・・・従業員の同意が必要

(注)『会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律』による転籍は、労働者本人の承諾がなくても可能な場合がある。

【従業員が配置転換・出向・転籍命令等を拒むことを防止するには】
★必ず配置転換や出向、転籍等の規定を定めておく。
★就業規則に根拠規定がない場合や、採用時に同意がない場合は、出向や転籍を命じることは難しい。

【規定例】
「会社は、業務上必要がある場合、配置転換、転勤、または従事する内容の変更、もしくは関連会社等への出向または転勤を命ずることがある。従業員は正当な理由のない限り拒んではならない。」
【判例】
使用者が、業務上の必要から労働者に配置転換や転勤を命じることは、特約のない限り許される(三菱オーシャン事件、他多数)。

【規定例(在籍出向)】
「会社は、業務上必要がある場合、従業員を在籍のまま、他の会社へ出向を命ずることがある。従業員は正当な理由のない限り拒んではならない。」
(注)『親の介護のため』は正当な理由と認められる場合が多い。

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