◆ 2.割増賃金 ◆
(1)法定労働時間を超えて労働させる場合には、「通常の労働時間の賃金」の25%以上の割増賃金、法定休日に労働させた場合には、「通常の労働時間の賃金」の35%以上の割増賃金の支払いが必要
●通常の労働時間の賃金
=割増賃金の算定基礎賃金=1時間あたりの算定基礎額 《1時間あたりの算定基礎額
=〔基本給+諸手当(※を除く)〕÷1ヵ月の平均所定労働時間》 ※家族手当 通勤手当 別居手当 子女教育手当 住宅手当 臨時に支払われた賃金、1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金、
【1ヵ月の平均所定労働時間数】
●年間の所定労働日数が決まっている場合
〔年間所定労働日数×1日の所定労働時間〕÷12ヶ月 ●年間の所定労働日数が決まっていない場合
〔(365日―所定休日日数)×1日の所定労働時間〕÷12ヶ月 《ポイント》 ★時間外労働は、会社の「命令や承認」により行うものであるということ明記する。 《割増賃金の端数処理》
①1ヵ月における時間外労働、休日労働及び深夜労働の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合、30分未満の時間数の合計に1時間未満のある場合、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げる。
②1ヵ月における時間外労働、休日労働、深夜労働の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数は切り捨て、それ以上を1円に切り上げる。
《賃金の端数処理》
①1ヵ月の賃金支払額(賃金の一部を控除して支払う場合には控除した額)に100円未満の端数が生じた場合、50円未満の端数を切り捨て、それ以上を100円に切り上げる。
②1ヵ月の賃金支払額に生じた1,000円未満の端数は翌月の賃金支払日に繰り越して支払う。
【事例1】 株式会社サン食品は、本年度は、所定休日が、毎週土曜日と日曜日(104日)、国民の休日と祝日(15日)で、お盆休みが3日、年末年始の休暇(5日)、1日の所定労働時間は8時間である。
Q.
1ヵ月の平均所定労働時間は?
計算方法
{365−(104+15+3+5)}×8時間÷12ヶ月=158.666・・・時間
A.
158時間40分
(注意) ・事業所内での表示を求められる際は、この事例なら上記「158時間40分」を平均所定労働時間として明示すればよい。
・ただし実際の割増賃金計算に際しては、“158時間40分”ではなく、“{365−(104+15+3+5)}×8時間÷12ヶ月”を計算式に算入して用いる。
・
割増賃金計算に際しては、「労働者の不利にならないようにする」ことが必要です。 【事例2】 田中さんは、食品工場で、時給1,000円で働いてる。現在、新人パートタイマーの教育係として会社からチーフ手当を月に20,000円支給されている。1ヶ月の平均所定労働時間は150時間である。
Q.
田中さんが平日に20時間残業(深夜ではない)した場合、割増の基礎となる賃金の額は?
計算方法
①時給に関しては、そのままの金額が割増賃金の計算の基礎となる賃金になる。
1,000円×1.25=1,250円
②チーフ手当は、月を単位として支給されるから月給と同じように扱う。
20,000円÷150時間×1.25=166.66円
③時給の割増率を掛け合わせた単価とチーフ手当も
1時間あたりの額が田中さんの割増賃金の計算の基礎となる単価になる。
1,250円+166.66円=1416.66円・・・⇒1416円
1416円×20時間=28320円
A.
28、320円