熟年離婚と年金分割
「離婚時の年金分割」が始まるまで、あと少しです。
某ドラマ放映以来、相談の増えた「離婚年金」ですが、言葉の持つイメージからか誤解を招くことも多いようです。
『離婚したら、夫の年金半分もらえるのよね』
京子(仮名)さんは55歳。夫は58歳。
一流企業の部長である夫は、会社では仕事のできる人ですが、家庭は全て京子さんに任せっきりの人でした。子供も独立して夫婦二人の生活に戻ったのに、相変わらず自分の意見も聞いてもらえず、夫婦仲は良くありません。
京子さんは自分ひとりで人生を生き直すことを考えるようになりました。
でも、ここで別れたら、「離婚年金」がもらえないので、もう少し待とうと思っています。
夫は60歳になると年金をもらえます。夫の年金額も調べてあります。
60歳からもらえる年金は約200万円。その半分なら100万円。
100万円の年金がもらえるのなら、もう少し我慢しようと京子さんは思いました。
でも、これは大~きな勘違いですよ!
『平成20年から自動的に分割されるのよね?』
いいえ。
自動的に2分の1に分割されるのは、
平成20年4月以降の第3号被保険者(専業主婦)期間だけです。
それまでに長い結婚期間のある人は、その期間を自動的に分割されるわけではありません。
それまでの期間は、話し合いで分割割合を決めることになります。
『平成19年から離婚したら年金が分割されるのよね?』
たしかに、
平成19年の4月から「離婚時の年金分割」は始まります。
でも、京子さんは大きな勘違いをしています。
年金分割は平成19年4月実施と、平成20年4月実施と、2段階に分けて実施されます。
簡単に説明しますと、
平成19年4月から
対象期間:結婚から離婚までの、分割される(多い)方の厚生年金の期間
分割割合:分割される(多い)方の「最大2分の1まで」の範囲内
条件:夫婦の合意、または家庭裁判所の決定が必要です。
平成20年4月から
対象期間:平成20年4月以降の結婚生活の内、夫の厚生年金の期間
分割割合:第3号被保険者(専業主婦)期間の2分の1(自動的に2分の1に分割)
条件:第3号被保険者(専業主婦)であった人が請求するだけで分割を受けられます。
夫婦間の合意や裁判所の手続きは不要です。
『どこが勘違いなの?』
分割される年金は、夫の年金が200万円だからその半分で100万円、とはなりません。
分割の対象となるのは、厚生年金の内の報酬比例部分だけで、
定額(基礎年金)部分は対象外です。
勘違いしがちなのは、平成20年3月までの期間は「最大で」2分の1ということです。
「必ず」2分の1ではありません。
もっと分割割合が少なくなる可能性もありますよ。
忘れてはいけないのが結婚期間、分割される年金は結婚期間分だけです。
京子さんが結婚したのは、夫30歳、京子さん27歳のときでした。
夫は22歳から厚生年金に加入していますが、
22歳から30歳までの独身期間は、分割の対象にはなりません。
どうしても話し合いがうまくいかないのであれば家庭裁判所での調停も考えておくべきです。
分割された年金をもらうのはまだ先ですので、合意または裁判所の決定内容を「公正証書」等にしておくとよいと思います。
『話し合いや家庭裁判所での調停だったら、今と一緒じゃないの?』
今は、離婚時に家庭裁判所によって年金分割の決定があっても、元夫が受取った年金の中からその一部を振り込むので、振り込みが滞ることもありえます。
元夫が払わなかった場合に差し押さえることもできません。
また、元夫が死亡すると、その時点で年金はなくなってしまいます。
しかし、平成19年4月からは「保険料を納めた記録」を分割することになるんです。
分割後は妻自身の権利になりますから、元夫が死亡しても年金の受取りには全く影響がなく、
妻自身の年金として直接受取ることができるようになります。
『あと2年で夫は60歳、それまでの我慢よね?』
京子さんは夫が60歳になって年金をもらえるようになれば、その時から分割された年金を京子さん自身が受け取れると思っていますが、そうではありません。
2年後、京子さんはまだ57歳。京子さんも過去にOL時代があり、老齢厚生年金をもらえますが、もらえるのは60歳になってからです。
57歳で年金分割しても、分割された年金はもらえません。
たとえ、離婚時の年金分割が成立しても、京子さんが自分自身の年金をもらえる60歳になるまで、分割された年金はもらえないんです。
『私がもらえなかったお金はどうなるの?』
“お国”のものです。
200万円の年金のうち、計算してみて分割する年金が50万円になったとしますね。
この場合、夫がもらえる年金は150万円になります。
妻がまだもらっていないという場合でも、夫の年金は減額されます。
夫も妻ももらえません。
つまり得をするのは(払わなくてよくなった)“お国”です。
『もし、自分自身に年金の権利がなかったらどうなるの?』
年金をもらうのに必要な25年の年数に足りないなど、自分の年金をもらえなかったら、
いつまでもたっても、分割された年金はもらえません。
「自分自身の年金をもらう権利がある」というのが、分割された年金をもらう条件です。
『年金分割、期待してたのに・・・』
夫の年金の半分をすぐにもらえると思っていたら、大変なことになりますよ。
社会保険事務所は平成18年10月から、分割の対象になる保険料の納付記録などを、
夫婦のどちらかからでも申出があれば提供するサービスを始めます。
年金分割を考える場合には、まず年金をもらう権利があるのか確認し、
それから年金の額を計算することです。
すでに中高年になっている方には、期待するほど年金の額は多くないのが現実なのです。
某ドラマ放映以来、相談の増えた「離婚年金」ですが、言葉の持つイメージからか誤解を招くことも多いようです。
『離婚したら、夫の年金半分もらえるのよね』
京子(仮名)さんは55歳。夫は58歳。
一流企業の部長である夫は、会社では仕事のできる人ですが、家庭は全て京子さんに任せっきりの人でした。子供も独立して夫婦二人の生活に戻ったのに、相変わらず自分の意見も聞いてもらえず、夫婦仲は良くありません。
京子さんは自分ひとりで人生を生き直すことを考えるようになりました。
でも、ここで別れたら、「離婚年金」がもらえないので、もう少し待とうと思っています。
夫は60歳になると年金をもらえます。夫の年金額も調べてあります。
60歳からもらえる年金は約200万円。その半分なら100万円。
100万円の年金がもらえるのなら、もう少し我慢しようと京子さんは思いました。
でも、これは大~きな勘違いですよ!
『平成20年から自動的に分割されるのよね?』
いいえ。
自動的に2分の1に分割されるのは、
平成20年4月以降の第3号被保険者(専業主婦)期間だけです。
それまでに長い結婚期間のある人は、その期間を自動的に分割されるわけではありません。
それまでの期間は、話し合いで分割割合を決めることになります。
『平成19年から離婚したら年金が分割されるのよね?』
たしかに、
平成19年の4月から「離婚時の年金分割」は始まります。
でも、京子さんは大きな勘違いをしています。
年金分割は平成19年4月実施と、平成20年4月実施と、2段階に分けて実施されます。
簡単に説明しますと、
平成19年4月から
対象期間:結婚から離婚までの、分割される(多い)方の厚生年金の期間
分割割合:分割される(多い)方の「最大2分の1まで」の範囲内
条件:夫婦の合意、または家庭裁判所の決定が必要です。
平成20年4月から
対象期間:平成20年4月以降の結婚生活の内、夫の厚生年金の期間
分割割合:第3号被保険者(専業主婦)期間の2分の1(自動的に2分の1に分割)
条件:第3号被保険者(専業主婦)であった人が請求するだけで分割を受けられます。
夫婦間の合意や裁判所の手続きは不要です。
『どこが勘違いなの?』
分割される年金は、夫の年金が200万円だからその半分で100万円、とはなりません。
分割の対象となるのは、厚生年金の内の報酬比例部分だけで、
定額(基礎年金)部分は対象外です。
勘違いしがちなのは、平成20年3月までの期間は「最大で」2分の1ということです。
「必ず」2分の1ではありません。
もっと分割割合が少なくなる可能性もありますよ。
忘れてはいけないのが結婚期間、分割される年金は結婚期間分だけです。
京子さんが結婚したのは、夫30歳、京子さん27歳のときでした。
夫は22歳から厚生年金に加入していますが、
22歳から30歳までの独身期間は、分割の対象にはなりません。
どうしても話し合いがうまくいかないのであれば家庭裁判所での調停も考えておくべきです。
分割された年金をもらうのはまだ先ですので、合意または裁判所の決定内容を「公正証書」等にしておくとよいと思います。
『話し合いや家庭裁判所での調停だったら、今と一緒じゃないの?』
今は、離婚時に家庭裁判所によって年金分割の決定があっても、元夫が受取った年金の中からその一部を振り込むので、振り込みが滞ることもありえます。
元夫が払わなかった場合に差し押さえることもできません。
また、元夫が死亡すると、その時点で年金はなくなってしまいます。
しかし、平成19年4月からは「保険料を納めた記録」を分割することになるんです。
分割後は妻自身の権利になりますから、元夫が死亡しても年金の受取りには全く影響がなく、
妻自身の年金として直接受取ることができるようになります。
『あと2年で夫は60歳、それまでの我慢よね?』
京子さんは夫が60歳になって年金をもらえるようになれば、その時から分割された年金を京子さん自身が受け取れると思っていますが、そうではありません。
2年後、京子さんはまだ57歳。京子さんも過去にOL時代があり、老齢厚生年金をもらえますが、もらえるのは60歳になってからです。
57歳で年金分割しても、分割された年金はもらえません。
たとえ、離婚時の年金分割が成立しても、京子さんが自分自身の年金をもらえる60歳になるまで、分割された年金はもらえないんです。
『私がもらえなかったお金はどうなるの?』
“お国”のものです。
200万円の年金のうち、計算してみて分割する年金が50万円になったとしますね。
この場合、夫がもらえる年金は150万円になります。
妻がまだもらっていないという場合でも、夫の年金は減額されます。
夫も妻ももらえません。
つまり得をするのは(払わなくてよくなった)“お国”です。
『もし、自分自身に年金の権利がなかったらどうなるの?』
年金をもらうのに必要な25年の年数に足りないなど、自分の年金をもらえなかったら、
いつまでもたっても、分割された年金はもらえません。
「自分自身の年金をもらう権利がある」というのが、分割された年金をもらう条件です。
『年金分割、期待してたのに・・・』
夫の年金の半分をすぐにもらえると思っていたら、大変なことになりますよ。
社会保険事務所は平成18年10月から、分割の対象になる保険料の納付記録などを、
夫婦のどちらかからでも申出があれば提供するサービスを始めます。
年金分割を考える場合には、まず年金をもらう権利があるのか確認し、
それから年金の額を計算することです。
すでに中高年になっている方には、期待するほど年金の額は多くないのが現実なのです。