人事労務の最新ニュース(2006年2月)

●個人情報保護法、過剰反応防止へ指針 内閣府(2月28日)

内閣府は28日、関係15省庁と個人情報保護法を巡る連絡会議を開き、学校で名簿を作ることをやめるなどの「過剰反応」について話し合った。過剰反応が広がらないように、名簿の作成や災害時対応などについて、個人情報保護法に抵触しないための6つの指針を示した。

例えば、名簿作成では本人から事前に「関係者へ配布すること」に同意を得るほか、削除の申し出があったときはその人だけを名簿から外せば、個人情報保護法の違反にはならない。こうした対応策をとれば、名簿を作ること自体は問題がないことを周知していくことにした。緊急時の事故では患者の家族から依頼があれば、本人の同意を得なくても病院が情報を提供できるとしている。

個人情報保護法は昨年4月に全面施行されたが、学校や病院で個人情報の取り扱いに極端ともいえるほど神経質になる事例が増え、支障も生じている。「法律の内容の理解が進んでいない」との見方も出ていた。

●武田が職種別賃金導入・高賃金下げ新卒採用(2月28日 日経産業)

武田薬品工業は28日、職種別賃金制度を導入すると発表した。第1弾として製造職と一般事務職、実験などを補助する研究補助職の3職種について4月支給分から適用し、最終的に全21職種に導入する。賃金水準を他産業に近づけることで、国際的なコスト競争力の維持と人材確保の両立を狙う。

第1弾として導入する3職種は他産業に比べて賃金水準が高いため職種別賃金の導入で下がることになる。今後5年は現行水準の月例賃金を補てんするほか、賞与は段階的に新たな賃金水準に移行させる。

製造職や研究補助職は賃金水準が下がることで総人件費に余裕が生まれるため、中止していた新卒採用を再開する。

武田薬品工業株式会社 ニュースリリース 職種別賃金制度の導入について
⇒ http://www.takeda.co.jp/press/06022801j.htm

●再審査申し立てを棄却/エッソ石油(富山職種変更)事件(2月28日 中労委)

エクソンモービル有限会社が社有タンクトラックによる石油製品の配送業務を廃止し、組合員を社員ドライバーからプラントマンに職種変更したことが不当労働行為だとして、救済の申し立てがあった事件で、中央労働   委員会は2月28日、組合側から出されていた再審査申し立てを棄却する命令書を交付した。会社の行為は経営政策上の判断に基づくものとの判断をあらためて示し、組合の団結破壊を目的に行われたという主張を退けた。

エッソ石油(富山職種変更)不当労働行為再審査事件 命令書交付について
⇒ http://www.mhlw.go.jp/churoi/houdou/futou/shiryo-01-169.html

●東芝への地労委命令取消し(2月28日 共同通信)

社員の配置転換で不当労働行為があったとした神奈川県地方労働委員会(現・県労委)の命令を不服として東芝が取り消しを求めた訴訟の判決で、横浜地裁の菊池洋一裁判長は28日、地労委の命令を取り消した。

川崎市で勤務していた社員2人の愛知県への配転について、地労委は2003年、組合活動などが理由だとして元の職場に戻すよう東芝に命じたが、菊池裁判長は「特別に不利益な取り扱いはなく、組合活動を抑圧する意図は認めがたい」とした。

東芝は「主張が認められた順当な判決」とコメント。県労委は「判決を検討し対応を決める」としている。

●年金担保の公的融資、生活保護受給者認めず 厚労省方針(2月28日 朝日)

厚生労働省は28日、厚生年金や国民年金を受ける権利(受給権)を担保に資金を貸し付ける公的な「年金担保融資」制度について、原則として生活保護受給者の利用は認めない方針を決めた。金融機関や自治体に周知し、06年度中の実施をめざす。

厚生・国民年金の受給権を担保にした融資制度は、独立行政法人・福祉医療機構が行う貸し付けが唯一、法的に認められている。年金受給者が一時的にまとまった資金が必要になった時に利用できる制度で、同機構から業務委託を受けた金融機関が最大250万円までを貸し付け、年金の全額または定額を返済にあてる仕組み。

安易な借金を繰り返し、生活保護を受け続ける例があるとの指摘が自治体などから寄せられていたため、同省は同機構と連携して生活保護受給者の利用制限に乗り出す。

●トラック運送業、健診未実施で書類送検―銚子労基署年(2月27日 労働)

千葉・銚子労働基準監督署(飯島正三署長)は、平成14年から3年連続で交通死亡災害を発生させた陸上貨物運送業の島名運輸(有)(千葉県旭市、労働者約50人)と同社代表取締役など2人を労働基準法第32条(労働時間)と労働安全衛生法第66条(健康診断)違反の疑いで、千葉地検八日市場支部に書類送検した。36協定で定めた時間外の限度を超える1日当たり最大約17時間の時間外を行わせていたほか深夜作業従事者に対する6カ月以内に1度の健康診断も実施していなかった。

●事業用定期借地権、20年超〜50年未満も 与党、法改正案提出へ(2月25日)

与党は事業用の定期借地権の設定期間を10年以上であれば、自由にできるようにするために、借地借家法の改正案を今国会に議員立法で提出する。現在は「10年以上20年以下」と「50年以上」が認められており、その中間である「20年超50年未満」の設定はできなかった。設定条件を緩和することで、物流センターなど事業用の建物を建てやすくする。

●「子育て中の30〜40歳代女性社員、仕事の継続意欲高く」(2月24日 野村総研)

野村総合研究所は24日、小学校3年生以下の子どもを持ち、企業で働いている親を対象に、「企業における育児支援制度に関するアンケート調査」を実施した結果を発表した。小さい子どもを持つ30〜40歳代の女性社員は「子育てを優先して仕事をしたい」と考える人が多く、その一方で、仕事を継続する意欲がきわめて高い。また、男女とも企業の育児支援制度に対して、期待と不満がどちらも大きいという結果が出ている。

株式会社野村総合研究所 ニュースリリース
企業は育児支援制度の「利用しやすい環境」を整備することが重要な役割
⇒ http://www.nri.co.jp/news/2006/060224.html

●大手スーパー、パートを65歳まで雇用延長(2月24日 日経)

イオンやイトーヨーカ堂など大手スーパーが60歳定年を迎えるパート労働者の再雇用に踏み出す。専門技能などを持つパートを対象に、65歳まで雇用を延長できる制度を新設する。流通業界では雇用環境の改善を背景にパートの確保が難しくなっている。2007年以降は団塊世代の正社員が大量に定年を迎えることもあり、優秀な人材をつなぎとめる狙い。

イオンが今春導入する再雇用制度は60歳で定年を迎える正社員と、社員と同等の資格・能力を持つ上級のパート社員が対象。原則として希望者は全員雇用する。転勤はなく、副店長や仕入れ・売り場の責任者など専門技術や経験を生かせる仕事に就く。数十人のパートが新制度を利用する見込み。

●企画業務型裁量労働制、「納得性のある評価制度」などが成功のカギ
 (2月22日 生産性本部)


社会経済生産性本部は22日、企画業務型裁量労働制を導入している事業所のライン管理職を対象にアンケート調査を実施した結果を発表した。この制度の運用が「うまくいっている」職場では、評価基準の客観性・納得性が高く、成果主義的な処遇と連動が強い。また、「自分の仕事が終われば退社できる」職場風土で、メンタルヘルスも良好という特徴が表れた。

●無年金訴訟で元学生2人が逆転敗訴 広島高裁(2月22日)

学生の国民年金加入が任意の時代に加入していなかったため、障害を負っても障害基礎年金を受け取れなかったとして、広島市の男性2人が国に不支給処分の取り消しと損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、広島高裁は22日、原告勝訴の一審判決を取り消し、請求を棄却した。

学生無年金訴訟は全国9地裁で起こされ、東京、新潟、広島の3地裁で違憲判決が出た。東京、新潟の2審で東京高裁は原告逆転敗訴としており、3件目の高裁判決となる今回も同様の結論となった。

●松下電器が「スキル評価制度」を導入(2月21日 日経)

松下電器産業は人事評価制度改革の一環として、職種や資格ごとに求められる行動や技能を具体的に示す「スキル評価制度」を導入する。同社は、目標の達成度に関する評価の基準は設定しているが、職種ごとに必要な技能などは定めていなかった。仕事の役割を客観的な基準として詳しく定めて、昇格に関する評価の透明性を増すのが狙い。労働組合との協議を経て、4月から全事業部門で一斉に導入する計画。

松下は新制度導入に向け、社内に「スキル評価委員会」を設置。客観的な基準を定めやすい技術職や生産現場を手始めに順次、すべての職種や資格を対象とした制度設計を進めてきた。詳細は調整中だが、階層が上がるほど、より難易度の高い仕事を具体的な文言で定める形となる見通し。

●管理者の役割、トップは「部下・後輩の育成」(2月20日 日本経営協会)

社団法人日本経営協会はこのほど、「日本の中間管理職意識調査」の結果をまとめた。全国の企業・団体の中間管理職に対して、管理者に求められる役割は何かをたずねたところ、トップは「部下・後輩の育成」(84.9%)で、「部門目標の達成」(78.9%)が次いで多い。また、58.9%が「成果主義は欠点もあるので修正して実施すべき」と考えている。

社団法人日本経営協会 ニュース資料
「日本の中間管理職白書2006」で浮かび上がった中間管理職の意識と実態
⇒ http://www.noma.or.jp/news/news_060220.html

●信用保証料率、リスクに応じて9段階に(2月20日 経済産業省)

経済産業省は国が認可する各地の信用保証協会が手掛ける信用保証制度について、企業が支払う保証料の料率を、4月から企業の経営体力に応じて9段階に分ける。現行は一律年1.35%だが、0.5〜2.2%に切り替える。中小企業を一律支援してきたこれまでの枠組みを改め、債務が返済できなくなるリスクを反映することで、各企業に業績向上への自助努力を促す。

経産省は信用保証制度の仕組みを定めた中小企業信用保険法の政令を改正し、新たな保証料率を4月から適用する。

●国民年金未加入防止へ、34歳の加入状況を総点検(2月20日)

社会保険庁は国民年金に加入していない人を減らすため、住民基本台帳ネットワークの情報を本格的に活用することを決めた。年金を受給するための最低限の加入期間は25年で、60歳まで保険料を払うには35歳が加入のぎりぎりの時期。このため住基ネットの氏名、生年月日などの本人情報を基に毎年34歳の人の加入状況を総点検し、未加入者に必要な手続きを促す。

今国会に提出する社保庁改革関連法案に住基ネットの活用を盛り込み、来年度から着手する。

●国年・厚年の住所変更届、2011年より不要に(2月18日 共同通信)

社会保険庁は、同庁の年金管理システムと住民基本台帳ネットワークをつなぐことで、住所および氏名の変更については届出を不要とする。今国会に関連法案を提出し、2011年度以降の実現を目指す。これにより、年間約700件の届出が不要になる見通し。

●社会保険料未納は指定せず 介護事業者や医療機関ら(2月16日)

厚生労働省は15日、国民年金や国民健康保険(国保)などの社会保険料を納めない介護保険事業者や医療機関、社会保険労務士などに対して、新規の事業者指定や更新を認めない方針を決めた。これらの措置を盛り込んだ国民年金法の改正案を今国会へ提出する。

事業者の指定に関しては、介護事業者は介護、医療、年金保険料を納付せず、滞納処分後もさらに未納の場合に、指定を認めない。同様に、医療機関や薬局事業者らにも、医療、年金を未納した場合、保険医の指定などを認めない。

社会保険労務士に対しては、年金、医療、介護、労働の各保険料で同様に長期間の未納があれば、登録を認めない。さらに悪質なケースでは業務停止の懲戒処分を行うことも検討するという。厚労省は、脱税した税理士の登録拒否の仕組みにならうとしている。

「国が資格を停止するのは強権的」などとする反対論も根強く、納付率の改善への直接的な効果も限定的だが、社会保険を業務とする人々に襟を正してもらう狙い。

●年金未納対策、保険証の有効期限を短縮(2月16日)

厚生労働省・社会保険庁は15日、国民年金保険料の新たな収納対策を固めた。今国会に提出する社保庁改革関連法案に盛り込み、06年度以降の実施を目指す。

国民健康保険の未納者には、有効期限の短い「短期保険証」を交付しているが、これを07年度から国民年金の一定期間以上の未納者にも適用。保険証の更新のために市町村の窓口を訪れる機会を増やし、窓口で納付を督促する方針。短期証の有効期限は、3カ月、6カ月など、1年以内で各市町村の判断で設定する方向。また、地方税の未納者にも市町村が「短期保険証」を発行できるような規則改正も検討中で、総務省と調整している。

一方、パート・アルバイトなど短時間労働者を雇用している事業主との連携も強化。国民年金法の規定を見直し、国民年金の加入義務がある従業員の氏名・住所などの情報提供を求めて、加入や支払いを督促する。

また、クレジットカードによる保険料の支払いを06年度中に導入し、保険料の納付手段を多様化。加入者の利便性を高める。同庁は、今年度に14万件の強制徴収手続きを進めるなど、一連の対策で2007年度に国民年金保険料の納付率を80%に高める目標の達成をめざす。

●企業に公正な業務運営要請 トナミ内部告発訴訟が和解(2月16日 共同通信)

トラック運輸業界の不正を内部告発したため、約30年間閑職に追いやられているとして、トナミ運輸(富山県高岡市)社員串岡弘昭さん(59)が同社に約4,000万円の損害賠償と謝罪を求めた訴訟の控訴審は16日、名古屋高裁金沢支部(長門栄吉裁判長)で、会社側が和解金を支払うことなどで和解が成立した。

和解条項には和解金の支払いのほか、トナミ運輸が(告発に対する報復人事と認めた)一審判決を厳粛に受け止め、適正で公正な業務運営を心掛けることや、串岡さんの適法な言論活動を制約、妨害しないことなどが盛り込まれた。

トナミ運輸は一審富山地裁判決で支払いが命じられた約1,360万円を支払い済み。和解金は双方が非公開とすることで合意し、一審判決の支払額のほかに、この支払額を超える金額がさらに支払われる。

串岡さんに対しては、謝罪文の請求を放棄することや、一審判決で認定しなかった事実でトナミ運輸を非難しないよう要請した。

記者会見した串岡さんは、和解について「満足ではないが、充実した気持ち。大きな成果はあった。精いっぱいやった」と淡々と話した。

串岡さんは2002年1月、トナミ運輸に謝罪と約5,400万円の損害賠償を求め、提訴。富山地裁は05年2月、処遇を報復人事と認め、同社に約1,360万円の支払いを命じたが、謝罪請求は退けた。

串岡さんは05年3月、控訴。控訴審の初弁論で金沢支部が和解を打診し、長門裁判長は同9月、和解を勧告した。

トナミ運輸・経営企画室は「勧告を受け、和解により円満に解決することに合意した。富山地裁判決を厳粛に受け止め、従業員の意識改革をするとともに、より一層、顧客や社会から信頼を得たい」としている。

●アステラス製薬、賃金を職務給に一本化(2月14日 日経産業)

アステラス製薬は仕事の役割と成果に応じて給与を決める「職務給」に賃金制度を一本化した。合併前の山之内製薬と藤沢薬品工業はいずれも年功序列色がある「資格給」制度との併用だった。合併を機に賃金制度の透明度を高め、働く意欲を引き出す狙い。

新入社員を含む6400人全員が対象。権限や困難度、影響度など8つの角度から各ポストの仕事内容を分析し、等級を決める。運用上、現在の等級は全部で14。各ポストはそのどれかに割り振られ、各等級に対応した給与の幅を定める。
同じ等級でも、給与は上下で約30%の幅で異なるように設計。仕事の成果で社員は職務に応じた目標を決め、どれだけ達成したかを評価して成果を測る「目標管理制度」を採用。成果に対する達成度によって賃金がこの幅の範囲で増減する仕組み。賞与は会社の業績、部門の業績、本人の成果の3つを評価して支払う。

●勤務医の「過労死」認定 長時間労働認め公務災害(2月13日 共同通信)

地方公務員災害補償基金北九州市支部の審査会は13日までに、北九州市立医療センターの内科部長だった土屋喜裕さん=当時(43)=が、くも膜下出血で死亡したのは長時間労働による過労死だったとする妻悦子さん(47)の請求を認めた。土屋さんの死は「公務外」で過労死ではないとしていた同基金北九州市支部長の認定を取り消した。

代理人の松丸正弁護士は「勤務医の過労死認定は全国でも数件。長時間労働を強いられている勤務医の勤務条件見直しにつながれば」と話している。

裁決は2月9日付。それによると、審査会は土屋さんの時間外労働について、倒れる前1カ月間は週平均25 時間、前6カ月間は同20時間だったと認め、仕事の肉体的、精神的負荷などから「病気は公務に起因する」と過労死を認めた。

裁決書によると、土屋さんは2001年6月、肝臓がん患者の治療直後にくも膜下出血で倒れ死亡した。悦子さんは同年7月に同基金北九州市支部長に公務災害認定を請求したが、支部長は04年12月に公務外と認定。

悦子さんはこれを不服として05年2月、北九州市支部審査会に審査請求をしていた。

●NTTの年金減額認めず 厚労省、経営悪化といえず(2月11日 共同通信)

厚生労働省は11日までに、NTTが経営悪化などを理由に、NTTグループの退職者約14万人の企業年金の給付減額を求めた申請を認めないことを決めた。NTTは2002年度以降黒字が続いていることから、厚労省は「著しく経営が悪化しているとはいえない」と判断した。

厚労省が退職者の年金減額の申請を認めなかったのは初めて。NTTは「年金の安定運用に向けた企業の自主努力を否定する」と反発、行政訴訟も検討するとしている。

退職者の年金減額の申請には、対象者の3分の2以上の同意のほか、将来の年金給付が困難となるような母体企業の経営悪化などが必要。NTTは退職者の約87%の同意を得たため、05年9月に厚労省に申請した。

NTTグループ69社は、06年4月に企業年金を確定給付型に移行した際、約11万人の現役の従業員については、長期国債の流通利回りに連動して給付額が決まる制度に変えた。

一方、減額申請の対象となった退職者の年金の運用利回りは年率4.5%と7.0%となっている。厚労省が認めれば、一人月額1万円程度を減額する予定だった。

NTTは厚労省の今回の決定について「企業年金の長期的、安定的運営に向けた企業の自主的な努力を否定するものであり、きわめて遺憾。今後の対応については不承認の理由を十分に吟味した上で、行政訴訟の提起を含め検討していく」とコメントしている。

●千万円支払いで和解 社保庁職員の過労自殺訴訟(2月10日 共同通信)

1997年に過労自殺した社会保険庁職員横森真二さん=当時(23)=の両親が国に約1億2,000万円の損害賠償を求めた訴訟は10日、東京高裁(安倍嘉人裁判長)で和解が成立した。両親の代理人によると、国が和解金約7,000万円を支払う。

昨年9月の甲府地裁判決は、社会保険業務センター(東京都杉並区)で勤務していた横森さんが過重な業務でうつ病になり、飛び降り自殺したと認定。上司らは勤務実態の把握を怠ったと指摘し、国に約7,000万円の支払いを命じた。

人事院は横森さんの過労自殺を認定し、社保庁も公務災害と認めている。代理人によると、両親は「和解協議でも国の責任が指摘され、区切りを付けることができた」と話しているという。

●医療制度改革関連法案を閣議決定(2月10日 共同通信)

政府は10日、高齢者を中心にした患者負担の引き上げなどを柱とする医療制度改革関連法案を閣議決定した。長期入院患者のための療養病床の削減や、75歳以上から保険料を徴収して新たな高齢者医療制度を設けるなどして、高齢化を背景に膨らむ医療給付費を抑える狙い。政府・与党は今国会での成立を目指す。

関連法案は、健康保険法や老人保健法、介護保険法、医療法の改正案など。

今年10月から70歳以上で現役並み所得(夫婦世帯の場合、年収約520万円以上)の人の窓口負担を2割から3割に引き上げる。長期入院の人の食費・居住費を自己負担化し、一定以上の額を超えた場合に窓口で払った医療費が還付される「高額療養費制度」の負担上限額も引き上げる。

08年度からは70〜74歳の窓口負担を原則1割から2割にする。

標準報酬月額の上限・下限の改正も盛り込まれた。標準報酬月額の上限は07年4月から現在の98万円が121万円に引き上げられ、下限は現在の9万8000円から5万8000円に引き下げられるとしている。

●石綿による疾病の労災認定基準を緩和(2月9日 厚労省)

厚生労働省は9日、石綿(アスベスト)による疾病の労災認定基準を緩和した。中皮腫の患者はこれまで、石綿肺の所見が得られない場合、胸膜プラーク、石綿小体又は石綿繊維が認められるとの医学的所見が必要だったが、中皮腫の確定診断があれば認定する。肺がんについては、石綿小体又は石綿繊維量が一定量以上認められた場合、石綿ばく露作業への従事期間が10年未満でも認定。びまん性胸膜肥厚についての認定基準も示した。

労働基準局労災補償部 石綿による疾病の労災認定基準の改正について
⇒ http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/h0209-1.html

●グループ全体で800人の人員削減(2月8日 ノーリツ鋼機)

写真処理機器製造・販売のノーリツ鋼機は8日、グループ全体で約800人の人員を削減すると発表した。同社本体では400人の希望退職者を募集する。ミニラボ(小売店頭などに設置の小型写真現像機器)市場の急速な縮小に伴い、高コスト体質から脱却するため、人員のスリム化、効率化を進めることにした。退職者には退職金に加え特別加算金を支払う。

ノーリツ鋼機株式会社 ニュース 高コスト体質からの脱却を目指して(構造改革)
⇒ http://www.noritsu.co.jp/news/20060208_4.html

●希望者全員を原則再雇用 三菱重工、4月から導入(2月7日 共同通信)

三菱重工業は7日、60歳定年を迎えた社員を対象に、原則として希望者全員を再雇用する制度を今年4月から導入することを明らかにした。欠勤や懲戒などの適用除外基準に触れない限り、再雇用される。

再雇用契約期間は一年で、63歳まで更新が可能。上限年齢は段階的に65歳まで引き上げることにしている。

再雇用時の年収は、定年退職時の四割程度。契約更新時には勤務評価を行い、上下3万円の範囲内で月給を見直す。

これまでは会社が必要とする技能を持った社員を対象に再雇用してきたが、高齢者雇用安定法の改正を受け、制度を変更した。同社の定年退職者は年間約1,000人で、今後7〜8年間は増加する見通しという。

●外食チェーン、ピーク時に手当でパート確保(2月7日 日経)

外食チェーン各社がパートタイム労働者やアルバイトを確保するために待遇の改善に動き始めた。日割りでの賃金支給やピーク時の時給を手厚くするといった対策に加えて、海外旅行などの特典も登場した。外食はもともとパートが定着しにくい傾向があるうえに、景気回復で人手不足に拍車がかかったことが背景。同様の工夫は他の業界に広がる可能性もある。

牛丼チェーンの神戸らんぷ亭(東京・台東、辻岡敬社長)は都心部の10店で、11時から14時までの繁忙時間帯の時給を1500円と、通常の1.4倍に上げた。効率の良い短時間の仕事を好むフリーターを中心に人手が集まりやすくなったという。ラーメン店「日高屋」を展開するハイデイ日高も駅前の店舗などで昼のピーク時に一時間100円の繁忙手当を支給している。

●組合側の再審査申立てを棄却/エッソ石油(名古屋)事件(2月3日 中労委)

エクソンモービルが名古屋管理事務所を閉鎖して組合員を転勤させたことなどが不当労働行為だとして救済申立てがあった事件で、中央労働委員会は3日、労組側の再審査申立てを棄却する命令書を交付した。管理事務所の閉鎖(組織変更)は経営政策上の判断であり、転勤させる業務上の必要性についても労組と誠実に団交を行っていたなどの判断を示した。

エッソ石油(名古屋)不当労働行為再審査事件 命令書交付について
⇒ http://www.mhlw.go.jp/churoi/houdou/futou/shiryo-01-167.html

●「石綿救済新法」が成立/労災補償対象外の健康被害者など救済
 (2月3日 環境省)


労災補償対象外の石綿(アスベスト)による健康被害者や遺族らの救済を目的とする「石綿による健康被害の救済に関する法律」と、被害防止のための改正大気汚染防止法など関連改正法が3日の参院本会議で可決、成立した。(独)環境再生保全機構が基準に基づき救済対象者を認定し、医療費などを支給。政府と地方公共団体、労災保険適用事業主などが資金を交付・拠出して石綿健康被害救済基金を設け、救済給付の費用に充てる。

環境省 報道発表資料 石綿による健康被害の救済に関する法律案
⇒ http://www.env.go.jp/press/press.php3?serial=6752
環境省 報道発表資料 石綿による健康被害防止のための大気汚染防止法改正案など
⇒ http://www.env.go.jp/press/press.php3?serial=6754

●正社員、8年ぶり増加(2月1日)

厚生労働省が1日発表した2005年の毎月勤労統計調査の速報によると、従業員5人以上の企業の常用労働者は月平均4309万4千人となり、前年に比べて0.5%増加した。前年を上回るのは2年連続で、なかでも正社員を中心とする一般労働者が0.5%増の3218万1千人と8年ぶりに増加した。景気回復を背景に、企業が正社員の確保に動いている。

常用労働者の現金給与総額は前年比0.6%増の月33万4886円と、5年ぶりに前年を上回った。基本給や家族手当など所定内給与も0.2%増えた。一般労働者の現金給与総額は0.7%増の月41万6371円、パートは0.5%増の9万4524円だった。

正社員とフルタイムで働く派遣社員などを合わせた一般労働者は1998年以降、減少が続いてきた。雇用コストを抑制するために、パートなどを活用する傾向も強かったが、企業収益の改善や団塊世代の大量退職が始まる「2007年問題」を控えて、正社員の確保に動き始めた。製造業の一般労働者は05年に0.3%増え、12年ぶりにプラスに転じた。製造業の所定外労働時間は4年ぶりに0.4%減少。