松下系社員、請負会社に大量出向 違法性回避策?(8月1日 朝日)受給後、請負に変更 派遣採用への補助金 松下系工場(8月2日 朝日)

●受給後、請負に変更 派遣採用への補助金 松下系工場(8月2日 朝日)

松下電器産業のプラズマテレビを製造する「松下プラズマディスプレイ(MPDP)」が今年3月末、尼崎工場(兵庫県尼崎市)で県内在住の派遣労働者を新規採用したとして、県の雇用補助金2億円以上を受け取った後まもなく、補助対象外の請負への切り替えを進めていることが分かった。申請前から請負への変更計画を作成しており、今月中にすべて切り替えるという。クビが切りやすい請負労働者の活用を念頭におきながら、多額の雇用補助金を受け取っていた格好だ。

兵庫県は、県内在住の正社員や派遣労働者らを新たに採用した進出企業に対し、1人あたり60万〜120万円を交付する雇用助成制度を02年度に導入した。直接雇用ではない派遣まで対象にする制度は全国的にも珍しい。請負は対象外になっている。

尼崎工場は昨年9月、正社員250人、派遣労働者900〜1000人の体制で生産を開始し、今年2月に補助を申請した。兵庫県は「正社員6人」と「派遣労働者236人」の計242人を県内在住と認め、3月末に2億4540万円を交付した。

生産を開始した時点で、松下プラズマディスプレイは、尼崎工場の派遣を1年以内にすべて請負に切り替える計画を作り、派遣元に伝えていた。派遣労働者を1年以上使えば直接雇用を申し込むことが法律で義務づけられているからとみられる。計画通り、今年7月末までに3分の1を請負に切り替えた。

厚生労働省は製造業で広がる「偽装請負」を派遣に切り替えるよう指導している。松下プラズマディスプレイも昨年7月、茨木工場で偽装請負の是正指導を受け、同年9月に生産開始した尼崎工場は、請負ではなく、派遣を採用した。県はこの経緯を把握しつつ、2億円超の雇用補助金交付に踏み切った。

松下プラズマディスプレイが、補助金の受給後に派遣を打ち切って請負に変更することで、県の雇用助成策の対象者は、数カ月でほとんどいなくなることになる。

兵庫県は「申請時での状況を審査した結果、補助要件を満たしており、補助金支出は適切だ。何ら問題はない」としている。

一方、松下プラズマディスプレイの親会社、松下電器産業は「県からは、請負も派遣も補助対象と指導されていた」とし、県の制度説明に不十分な点があったとの認識を示している。

三重県がシャープの液晶テレビをつくる亀山工場誘致のため90億円の補助金交付を決めたことを皮切りに、自治体間の企業誘致競争は激化した。兵庫県も松下誘致に力を入れ、設備投資や雇用に対して交付する補助総額は、最終的に90億円にのぼる見通しだ。

●松下系社員、請負会社に大量出向 違法性回避策?(8月1日 朝日)

松下電器産業のプラズマテレビをつくる「松下プラズマディスプレイ(MPDP)」が今年5月、茨木工場(大阪府茨木市)内でパネル製造を委託する請負会社に、同工場勤務の松下社員を大量に出向させたことが分かった。同工場は昨年7月、請負労働者を直接指揮命令する「偽装請負」で行政指導を受けている。今回の出向は、これまでの労働実態を変えないまま、松下社員による指揮命令の違法性を形式的に回避したものだとの見方が出ている。この手法が「合法」と認められれば他の製造大手も追随する可能性があり、大阪労働局は近く実態調査に乗り出す。

他社の労働者を指揮命令して使うには、労働者派遣法に基づいて使用者責任や労働安全上の義務を負う派遣契約を結ぶ必要がある。しかし、同社茨木工場(松下社員約730人、請負労働者700〜800人)は、こうした責任・義務を負わずに済む請負契約を結びながらも、実際は松下社員が請負会社の労働者と同じラインで作業し、指揮命令していた。このため05年7月、大阪労働局から「事実上派遣で違法状態」と認定され、偽装請負の是正指導を受けた。

同社はその直後、行政指導に従って、請負労働者全員を派遣契約に切り替えた。ところが今年5月、派遣契約を全面的に請負契約に戻し、これまでパネル製造ラインで指揮命令する立場だった松下社員を「技術指導」の名目で、1年間の期限付きで複数の請負会社に出向させた。労組も合意している。

関係者によると、出向社員の総数は200人規模にのぼるとみられる。直接の資本関係のない請負会社への大量出向は異例だ。

パネル製造ラインでは請負契約に戻した5月以降も松下側からの出向社員が請負会社の労働者を指揮命令し、出向社員の業務内容や待遇は変わっていない。出向社員の給与や社会保険料は松下側が請負料金を割り増す形で実質的に肩代わりしている。

大阪労働局は「前例のない請負形態なので、調査して実態を確認した上で適正かどうか判断したい」という。

松下プラズマディスプレイは「今は請負会社に技術革新に対応するノウハウがなく、社員が出向して指導し、力をつけてもらっている。事業戦略上必要な出向であり、脱法行為のつもりはない」としている。