通勤手当は病欠した月でも支給するものでしょうか?
Q.私の勤めている会社の賃金規定では、「通勤手当は居住地から通勤する者に対し、公的交通機関の1月分の通勤定期代相当額を支給する。」とだけ記載があります。しかし、就業日数の半分以下しか出勤しなかったり1ヶ月丸々欠勤した場合については支給額を減額したり無支給としても良いのでしょうか?
会社としては出社していないのに通勤手当を支給するのはおかしいのではないか?と考えています。
賃金規定の補則として「出勤日数の8割以上を出勤した者に通勤手当を支給する」という内容を付け加えても問題はないのでしょうか?
A.通勤手当の支払を制限する規程、それ自体には問題はありません。ただし、「労働条件の不利益変更」になりますので、手順を踏んだ手続が必要です。
●通勤手当を支払う義務はもともとありません。
支払義務の根拠となっているのは就業規則等で定めた規程です。この規程を変更すれば支給要件を制限できます。
●ただし、これは「労働条件の不利益変更」になります。
“通勤手当だけだから通知だけでいいや”と考えず、正規の手順を踏んだ就業規則(賃金規程)の改訂が必要です。今回の場合、個別同意書までは不要と思いますが、従業員全員の署名・捺印まできちんと取っておく方がベターだ考えます。
★注意★
就業規則の不利益変更については①理由の合理性、②手続の合理性、③適用対象の合理性、④不利益の程度、などを総合的に判断して改訂が合理的なものであれば、たとえ従業員に不利益になるものであっても、反対する従業員も改訂に拘束される。とされています。
ただ、この合理性の判断が難しく、給与体系の変更などの場合、事前の労使協議・従業員との個別同意・猶予期間の設定、などは最低限の条件とされています。
(補足)
なお、当月の出勤日数が確定するのは翌月になるため、過払い賃金を翌月分で精算することになりますが、この処理は「賃金計算に関するものなので労基法の賃金支払規定違反とは認められない(基発1357号通達)」ので、問題ありません。
ただ、この合理性の判断が難しく、給与体系の変更などの場合、事前の労使協議・従業員との個別同意・猶予期間の設定、などは最低限の条件とされています。
(補足)
なお、当月の出勤日数が確定するのは翌月になるため、過払い賃金を翌月分で精算することになりますが、この処理は「賃金計算に関するものなので労基法の賃金支払規定違反とは認められない(基発1357号通達)」ので、問題ありません。