建設業には労働時間延長の上限はない?ならば36協定も不要では?(8月15日)労務相談Q&A

建設業には労働時間延長の上限はない?ならば36協定も不要では?

Q.弊社は建設業ですが、建設の他に、販売・保守・調査・事務 等の部門があります。

36協定を結ぶに際し労働局のパンフレットを見ると、労働時間延長の限度基準(上限時間)が記載されていますが、補足として「工作物の建設等の事業は適用除外」との記載があります。弊社はこれに該当します。

(1)建設業である弊社は会社の業務自体が適用除外とみなされ上記延長上限時間の適用から外れるのか、それとも受注業務の中で建設部門に該当する労働者が建設中の工事期間だけ適用除外されるのでしょうか?
(2)会社自体が適用除外に該当するのであれば36強定は提出する必要はないのでしょうか?
(3)「特別条項」には限度時間があるのでしょうか?


A.
(1) 建設部門以外も全部ひっくるめて、適用除外できます。特別条項は不要です。
(2) 36協定を届出なければ、時間外労働・休日労働をさせることはできません。
(3) 特別条項には限度時間はありません。が、実質的には健康管理措置上の上限があります。



(1) 延長時間の限度基準の適用除外に関して

●「工作物の建設等の『事業』」について通達では、“実際に建設等に携わっていない本店や支店勤務者も含む”、としています。

建設業の性質上、中小企業では必ずしも現場とは別個の取り扱いができないことが多いことから、『事業』を適用除外としたのです。(厚労省通達 基発45号)

なお、建設業を主たる事業としない製造業等の事業であっても、大規模な機械・設備の据付工事等を行う場合、この工事自体は「適用除外」となります。同様に電気事業の建設所・工事所等やガス事業の導管管理事務所も「適用除外」となります。(告示五条1号関係)

★注意★
「工作物の建設等の『事業』」を行う会社の「事務担当者」はひっくるめて適用除外にできますが、同じ適用除外でも「自動車の運転の業務」を主とする会社の「事務担当者」は延長時間の限度が適用されます。ここが『事業』と「業務」の違いです。

(2) 36協定に関して

●「時間外労働の限度に関する基準」においての「適用除外」は、単に延長時間の限度の適用を除外しているだけで、36協定の適用そのものを除外しているのではありません。

また、適用除外の事業又は業務について、適用されないのは「延長時間の限度基準」だけで、「業務区分の細分化」と「一定期間の区分」は適用されます。

要するに、36協定で、従事する業務の種類ごとに、延長することができる時間をきちんと決めなければならないのです。

   時間外労働・休日労働に関する協定書(様式第9号) に記載すると、こうなります。

業務の種類 労働者数 所定      延長できる時間
・                      1日   1ヶ月   1年
現場       ○人   8時間  4時間  80時間  750時間
販売       ○人   8時間  4時間  42時間  320時間
調査       ○人   8時間  4時間  45時間  360時間
(注)説明用なので、時間は適当です。

(3) 上限時間に関して

●建設業は 延長時間の限度基準の適用除外ですので、法条文のうえでは上限時間はありませんが、「過労死の業務場外の認定基準」なるものが厚生労働省から示されています。

@業務と発症の関連性が強い
・月100時間を超える時間外労働
・発症2〜6カ月間に月あたり80時間を超える時間外
★「該当する労働者に産業医等との面接指導を受けさせること」が必要とされる

A業務との関連性が強まる
・発症1〜6カ月間の月あたり45時間を超える時間外
★「産業医等に該当する労働者の情報を提供し、事業場における健康管理について助言指導を受けること」が必要とされる

B業務との関連性が薄い
・発症1〜6カ月間の月あたり45時間以内の時間外

行政の36協定書のひな形を見ると、延長時間の欄には360時間(1年)と記載されていて、あまりにも建設業の実情とかけ離れています。

しかし上記@の基準を超える場合には監督指導が入るのは間違いないところでしょう。

また36協定書の届出にあたり、上記Aの基準を超える場合には、窓口指導を受けますので、その際に「過重労働防止と健康管理の具体的手だて」をいかに講じているか説明(書面)できるように準備しておく必要があります。