変形労働時間制で交替制勤務をとる場合、休日はどう定める?
Q.変形労働時間制で交替制勤務をとる場合の休日の考え方について、教えてください
弊社は365日24時間営業のため、シフト表にて勤務時間を管理しています。
1.変形労働時間制を導入する際には、休日について就業規則に記載しなければならないとありますが、この場合の休日とは暦上の休日とは異なるのでしょうか?
2・週二回の休日は従業員それぞれに付与していますが、それが暦上の休日ではありません。暦上の休日に出勤した場合に、休日手当てを支払う必要があるのでしょうか?
3・従業員交代で休日をとりますので、一概に休日を示すことができません。このような場合、就業規則には「第○条 休日は各従業員ごとに雇用契約時の内容による」などとしてもよいのでしょうか?
A.変形労働時間制においても休日の考え方は同じです。
1.法定休日(原則:週1日)は、暦の休日(日曜・祝日)とは、異なります。
2.法定休日が確保できれば、暦の休日に出勤しても、休日出勤手当は不要です。
3.就業規則には、採用する変形労働時間制に合わせた「休日」要件を記載する。
(1)労基法での「休日」は、原則として毎週1日(変形休日制ならば、4週を通じ4日)を確保すれば良い。暦の休日である日曜や祝日を「休日」とする必要はありません。
(2)法定休日が確保されていれば、暦の休日に出勤したとしても、休日出勤手当(割増賃金)は不要です。この出勤日は通常の労働日です。
また変形労働期間途中でも「振替休日」は可能(もちろん就業規則に規定必要)ですので、きちんと運用すれば、休日労働は以外と発生しないものです。
(3)変形労働時間を採用する場合、就業規則への「休日」の記載ですが、基本となる共通の「休日」規定を就業規則に記載しておく必要があります。そのうえで「勤務シフト表により事前に各人に通知する」などとすれば良いと考えます。
『1ヶ月単位の変形労働時間制』の場合、例として・・・
「休日は次の通り年間○○日とし、毎月○○日までに次月の勤務シフト表を作成する。」
①変形期間中に会社が指定した○日の休日
②その他会社の指定する日、
③・・・・等
『1年単位の変形労働時間制』の場合、例として・・・
「休日は次の通り年間○○日とし、特定期間の連続労働日が○○日を超えない範囲において、年間勤務シフト計画表を作成する。」「変形期間の開始○○日前までに次の勤務シフト表を作成する。」
①通常休日 4週4日
②交代休日 年53日←※交代制勤務の場合、必ず設定すべきと考えます。
③・・・・等
●週休2日制の会社の場合、土日が休日であれば「休日は土曜と日曜とする」と定めるだけよい。※①下記条文参照
これで、例えば日曜に出勤させても土曜に休ませれば、1週1日の法定休日は確保できます。
(なお、この日曜出勤は労働日なので休日労働にはならず、休日労働の割増賃金は不要です。ただし、1週合計で40時間をオーバーすれば時間外労働の割増賃金は発生します。)
●ところが、1年単位の変形労働時間制に加え、交代勤務制をも同時に採用する会社においては、上記の定め方はできません。そこでこのように定めました。
①通常休日 4週4日 ⇒法定休日
1週で1日の休日(原則)、4週で4日の休日(変形休日制)、
1年は52週+1日なので、1年間で52日の法定休日となる。
②交代休日 年53日 ⇒法定休日以外に会社が与える所定休日
この①+②で「土日週休2日制」の会社と同じ、休日日数を確保します。
交代勤務制の会社で「交代制休日を年間105日、計画年休を年○日、・・・を○日、付与する」とだけ記載した就業規則を見たことがありますが、不十分です。休日は「具体的に規定する」ことが求められているからです。※②通達参照
ただ、変形労働時間制+交代勤務制の場合、就業規則で「具体的に一定の日を休日と定める」ことは無理があるので、「勤務シフト表により事前に各人に通知する」などと定めれば良いと考えます。
●交代勤務制と変形労働時間制は有効な組み合わせです。健康面に配慮しつつ柔軟な労働時間制度を作りあげることができます。
関連条文
※①労働基準法 第35条(休日)
1項 使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない。
2項 前項の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。
※②厚生労働省労働基準局名通達第682号通達(S23.5.5)および第150号(S63.3.14)より抜粋
「・・・労働基準法第35条は必ずしも休日を特定すべきことを要求していないが、特定することがまた法の趣旨にも沿うものであるから、就業規則の中で単に1週間につき1日といっただけではなく具体的に一定の日を休日と定める方法を規定するよう指導されたい。・・・」
「休日は次の通り年間○○日とし、毎月○○日までに次月の勤務シフト表を作成する。」
①変形期間中に会社が指定した○日の休日
②その他会社の指定する日、
③・・・・等
『1年単位の変形労働時間制』の場合、例として・・・
「休日は次の通り年間○○日とし、特定期間の連続労働日が○○日を超えない範囲において、年間勤務シフト計画表を作成する。」「変形期間の開始○○日前までに次の勤務シフト表を作成する。」
①通常休日 4週4日
②交代休日 年53日←※交代制勤務の場合、必ず設定すべきと考えます。
③・・・・等
●週休2日制の会社の場合、土日が休日であれば「休日は土曜と日曜とする」と定めるだけよい。※①下記条文参照
これで、例えば日曜に出勤させても土曜に休ませれば、1週1日の法定休日は確保できます。
(なお、この日曜出勤は労働日なので休日労働にはならず、休日労働の割増賃金は不要です。ただし、1週合計で40時間をオーバーすれば時間外労働の割増賃金は発生します。)
●ところが、1年単位の変形労働時間制に加え、交代勤務制をも同時に採用する会社においては、上記の定め方はできません。そこでこのように定めました。
①通常休日 4週4日 ⇒法定休日
1週で1日の休日(原則)、4週で4日の休日(変形休日制)、
1年は52週+1日なので、1年間で52日の法定休日となる。
②交代休日 年53日 ⇒法定休日以外に会社が与える所定休日
この①+②で「土日週休2日制」の会社と同じ、休日日数を確保します。
交代勤務制の会社で「交代制休日を年間105日、計画年休を年○日、・・・を○日、付与する」とだけ記載した就業規則を見たことがありますが、不十分です。休日は「具体的に規定する」ことが求められているからです。※②通達参照
ただ、変形労働時間制+交代勤務制の場合、就業規則で「具体的に一定の日を休日と定める」ことは無理があるので、「勤務シフト表により事前に各人に通知する」などと定めれば良いと考えます。
●交代勤務制と変形労働時間制は有効な組み合わせです。健康面に配慮しつつ柔軟な労働時間制度を作りあげることができます。
関連条文
※①労働基準法 第35条(休日)
1項 使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない。
2項 前項の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。
※②厚生労働省労働基準局名通達第682号通達(S23.5.5)および第150号(S63.3.14)より抜粋
「・・・労働基準法第35条は必ずしも休日を特定すべきことを要求していないが、特定することがまた法の趣旨にも沿うものであるから、就業規則の中で単に1週間につき1日といっただけではなく具体的に一定の日を休日と定める方法を規定するよう指導されたい。・・・」