社員に対する資格取得援助費用の返還請求は可能か?
◆規定で定めることはできるか?
業務に必要なパソコンや宅建などの資格取得のため、社員に講習の受講費用などの援助を行っている会社は多いでしょう。しかし、当該社員が資格取得後すぐに退職を申し出た場合などに、受講費用の返還をめぐって会社との間でトラブルになるケースは少なくありません。
当該社員が資格取得後すぐに退職することを防止するために、就業規則に「資格取得後1年以内に自己都合で退職する場合には、援助費用を全額返還させる」などといった規定を設けることは、違法にはならないのでしょうか?
◆労基法16条違反に該当するか?
労基法16条では、「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」と定めています。
よって、各種資格取得のための受講費用の返還義務が労働契約上労働者の債務の不履行に対する違約金の定めに当たる場合には、同条違反となります。
◆「支給」か?「貸与」か?
労基法16条違反となるかどうかを判断するにあたって、会社が費用を「支給」したものなのか、「貸与」したものなのかが問題となります。
「支給」したとする場合は、支給要件を満たして支給したものを、自己都合退職などを理由に返還させることになるため、同条で定める違約金の定めに該当し、許されないと考えられます。
「貸与」したとする場合は、一定期間の勤務やその状況により費用の返済を免除するという特約付きの金銭消費貸借契約を締結して会社が費用を立て替えるものであるため、原則として同条違反とはなりません。つまり、この場合には会社は費用を貸し付けただけなので、社員には原則として貸付金の返済義務があり、それを一定の条件を満たした場合には、返済しなくてよいとするものだからです。
ただし、金銭消費貸借契約を締結している場合も、当該合意によって労働者の自由意思を不当に拘束し労働関係の継続を強要する場合には、同条違反になると考えられます。
◆労働関係の継続を不当に拘束するか
以上をまとめると、資格取得費用などの返還規定は、①資格取得が業務命令によらない、②費用が事業の必要経費とみなされない、③費用は会社が立替え払いしたものである、④返済方法を定めている、⑤費用が合理的な実費であるかを検討し、労働関係の継続を不当に拘束しないと認められる場合に限り、同条違反とはならないことになります。
業務に必要なパソコンや宅建などの資格取得のため、社員に講習の受講費用などの援助を行っている会社は多いでしょう。しかし、当該社員が資格取得後すぐに退職を申し出た場合などに、受講費用の返還をめぐって会社との間でトラブルになるケースは少なくありません。
当該社員が資格取得後すぐに退職することを防止するために、就業規則に「資格取得後1年以内に自己都合で退職する場合には、援助費用を全額返還させる」などといった規定を設けることは、違法にはならないのでしょうか?
◆労基法16条違反に該当するか?
労基法16条では、「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」と定めています。
よって、各種資格取得のための受講費用の返還義務が労働契約上労働者の債務の不履行に対する違約金の定めに当たる場合には、同条違反となります。
◆「支給」か?「貸与」か?
労基法16条違反となるかどうかを判断するにあたって、会社が費用を「支給」したものなのか、「貸与」したものなのかが問題となります。
「支給」したとする場合は、支給要件を満たして支給したものを、自己都合退職などを理由に返還させることになるため、同条で定める違約金の定めに該当し、許されないと考えられます。
「貸与」したとする場合は、一定期間の勤務やその状況により費用の返済を免除するという特約付きの金銭消費貸借契約を締結して会社が費用を立て替えるものであるため、原則として同条違反とはなりません。つまり、この場合には会社は費用を貸し付けただけなので、社員には原則として貸付金の返済義務があり、それを一定の条件を満たした場合には、返済しなくてよいとするものだからです。
ただし、金銭消費貸借契約を締結している場合も、当該合意によって労働者の自由意思を不当に拘束し労働関係の継続を強要する場合には、同条違反になると考えられます。
◆労働関係の継続を不当に拘束するか
以上をまとめると、資格取得費用などの返還規定は、①資格取得が業務命令によらない、②費用が事業の必要経費とみなされない、③費用は会社が立替え払いしたものである、④返済方法を定めている、⑤費用が合理的な実費であるかを検討し、労働関係の継続を不当に拘束しないと認められる場合に限り、同条違反とはならないことになります。