人事労務の時事解説(2006年10月号)

人事労務の時事解説 2006年10月号


健康保険法改正でどうなる?

◆10月より段階的に施行

急速な少子高齢化に伴う医療費の増大などを背景に、医療保険制度の抜本的な改革を行うため、健康保険法等が大幅に改正されました。
改正法は、2006年10月から段階的に施行されます。

◆主な改正の内容

主要改正内容は以下の通りです。(カッコ内は施行時期)

@医療費の自己負担割合が以下のように変わります。
・現役並みの所得がある70歳以上の高齢者は2割から3割へ(2006年10月)
・一般・低所得者の70歳〜74歳の高齢者は1割から2割へ(2008年4月)
・3歳〜小学校就学前の子供は3割から2割へ(2008年4月)

A高額療養費の自己負担限度額が一般・上位所得者について引き上げられます。(2006年10月)

B現金給付の額が見直されます。
・出産育児一時金の支給額が30万円から35万円に引上げ(2006年10月)
・埋葬料の支給額が本人・家族とも一律5万円に変更(2006年10月)
・出産手当金・傷病手当金が標準報酬日額の6割から3分の2に引上げ(2007年4月)

C入院して長期療養している高齢者の「食費」と「居住費」が全額自己負担になります。(70歳以上は2006年10月、65歳〜69歳は2008年4月)

D保険料に関して、等級・標準賞与額上限・保険料率上限が変わります。(2007年4月から順次)

E老人保健法が改正され、新しい高齢者医療制度が創設されます。(2008年4月)


被災時の医療費負担が減免・猶予されます

◆10月から制度スタート

この10月から、地震や台風などで大きな被害を受けた場合に、医療機関でかかった医療費の支払いが減免・猶予される制度が、会社員などにも適用されるようになりました。

これまで、自営業者や無職者が加入する国民健康保険、高齢者が加入する老人保健制度では同様の制度がありましたが、会社員とその家族が加入している健康保険組合や政府管掌健康保険では、「被災しても無収入にならない」との理由から、減免・猶予されていませんでした。

◆対象となるケースは

対象となる災害は、地震、風水害、火災などで住宅や家財が大きな損害を受け、医療費の支払いが困難と判断された場合です。

また、自己負担割合の下げ幅、減免猶予期間などは各健康保険の判断で決定されることになります。

◆国民健康保険・老人保健制度では

国民健康保険料の減免は、災害により障害者となった場合や死亡した場合に行われます。各市町村で細かな基準があり、災害により受けた損害金額と合計所得金額の兼ね合いによって軽減または免除されることとなっています。

老人保健制度でも、災害により一部負担金を支払うことが困難であるものに対して減免を行う制度があり、それぞれ減免の申請書や証明書が必要となります。

◆減免措置の内容は各健保次第

現在、会社員の医療費の自己負担割合は原則3割ですが、軽減分は各健康保険組合が肩代わりをすることになります。

具体的にどの程度の被害で減免・猶予対象とするかは、加入する健康保険組合に判断を委ねるため、同じ災害でも健保の財政状況などによって減免措置の内容が異なってくる可能性もあります。


横行する偽装請負と労働局による是正指導

◆「偽装請負」の現状

製造業の工場などで「偽装請負」と呼ばれる違法な労働形態が広がりを見せています。

メーカーなどが請負労働者に直接指揮命令を行う偽装請負について、厚生労働省では、労災隠しにつながる恐れもあると警戒を強め、全国の労働局が2005年度に是正指導した件数は過去最多となりました。

偽装請負が見つかった場合、多くは労働局の是正指導でとどまっていますが、悪質な場合は「事業改善命令」や「事業停止命令」などで対応しているようです。

◆「偽装請負」とは?

偽装請負は労働者派遣法などに抵触するもので、元々建設業界に多かったのですが、最近では製造業などでも横行するようになり、厚生労働省では、2004年度から企業への立ち入り調査を強化していました。

メーカーの製造現場などで偽装請負が増えている背景には、外部の労働者を低賃金で、しかも安全責任もあいまいなまま使える好条件を、メーカー側が暗黙のうちに利用している実態があると言われています。

メーカーなどが外部の労働者を指揮命令するためには、労働者派遣法に基づき派遣契約を結ぶ必要がありますが、形式的な「請負」と装った場合には労働安全衛生法上の義務などを負う必要がなくなります。派遣、請負、正社員が同じ工場で働く場合、企業側が直接指揮命令を行えるのは派遣と正社員のみです。

そこで工場内での業務をスムーズに、効率よく進めたい企業が、一括して直接命令を出して「偽装請負」となるケースもあるようです。

また、メーカー側がきちんと派遣に切り替えた場合、派遣労働者が原則1年以上同じ企業で勤務した場合、労働者に直接雇用を申し入れなければならないためにコスト増になることから、派遣への切り替えに消極的な企業が多いのが実態のようです。

◆つながる「労災隠し」への不安

偽装請負が行われている場合、請負会社は労働者をメーカーに送り込むだけで、安全に関する責任の所在があいまいになりがちです。そしてひとたび「労災」をきっかけに行政期間が立ち入り調査すると、偽装請負が発覚してしまう可能性があることから、「労災隠し」が起きやすいとも言われています。これでは労働者も「安心して働けない」と不安の声が広がっているのです。


健康保険料率の上限が2008年度から引上げ

◆料率上限が年収の10%に

厚生労働省は、労使が折半で負担している会社員の健康保険料の料率上限を、2008年度から年収の10%に引き上げることを決定しました。

現在は健康保険組合の料率上限は9.5%、政府管掌健康保険は8.2%で一律となっています。実際に今後料率を見直すかどうかは各組合が独自に決めることとなりますが、引き上げの動きが増える可能性が大きいようです。
 
◆健康保険組合

健康保険組合は2006年4月1日時点で全国に1,548組合あり、その保険料率は国が定めた年収3〜9.5%の範囲で各組合が設定しています。厚生労働省は、2008年4月から保険料率の上限を0.5ポイント引き上げて、10%に変更する通知を年内にも出す方針です。

上限の引上げは、医療制度改革で2008年度から毎年の健康診断と保険指導が義務付けられることに合わせた措置であり、健康診断費用は1人1回あたり数千円程度かかるとみられ、健保組合の負担が増えることになりそうです。

そこで、上限の引上げを契機に、健康診断費用だけでなく将来の医療費増加も考慮して料率引上げに動く組合が相次ぐ可能性もあるとのことです。

◆政府管掌健康保険

社会保険庁が運営する政府管掌健康保険は、2008年10月に新設される全国健康保険協会に運営を移管し、保険料は都道府県単位で設定することが決まっています。厚生労働省は、組織再編後の保険料率の上・下限も健保組合と同様に年収の3〜10%とします。

現在8.2%で全国一律の料率は、再編後、地域の医療費水準を反映した料率を算定し、2009年10月までに変更されることになります。地域でかかった医療費が増えれば保険料率が上がり、医療費が減れば保険料率も下がる仕組みで、医療費の効率化を促します。ただ、医療費が高止まりした都道府県でも料率の引上げは10%までで止まることになります。

会社員の健康保険料は実額ベースの上限もあるため、収入が多い人でも保険料負担が際限なく増えることはありませんが、今回の改革では、2007年4月から実額の上限も年間98万円から121万円に引き上げられるため、高所得層ほど、今よりも負担が重くなる見通しです。


社員に対する資格取得援助費用の返還請求は可能か?

◆規定で定めることはできるか?

業務に必要なパソコンや宅建などの資格取得のため、社員に講習の受講費用などの援助を行っている会社は多いでしょう。しかし、当該社員が資格取得後すぐに退職を申し出た場合などに、受講費用の返還をめぐって会社との間でトラブルになるケースは少なくありません。

当該社員が資格取得後すぐに退職することを防止するために、就業規則に「資格取得後1年以内に自己都合で退職する場合には、援助費用を全額返還させる」などといった規定を設けることは、違法にはならないのでしょうか?

◆労基法16条違反に該当するか?

労基法16条では、「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」と定めています。

よって、各種資格取得のための受講費用の返還義務が労働契約上労働者の債務の不履行に対する違約金の定めに当たる場合には、同条違反となります。

◆「支給」か?「貸与」か?

労基法16条違反となるかどうかを判断するにあたって、会社が費用を「支給」したものなのか、「貸与」したものなのかが問題となります。

「支給」したとする場合は、支給要件を満たして支給したものを、自己都合退職などを理由に返還させることになるため、同条で定める違約金の定めに該当し、許されないと考えられます。

「貸与」したとする場合は、一定期間の勤務やその状況により費用の返済を免除するという特約付きの金銭消費貸借契約を締結して会社が費用を立て替えるものであるため、原則として同条違反とはなりません。

つまり、この場合には会社は費用を貸し付けただけなので、社員には原則として貸付金の返済義務があり、それを一定の条件を満たした場合には、返済しなくてよいとするものだからです。

ただし、金銭消費貸借契約を締結している場合も、当該合意によって労働者の自由意思を不当に拘束し労働関係の継続を強要する場合には、同条違反になると考えられます。

◆労働関係の継続を不当に拘束するか

以上をまとめると、資格取得費用などの返還規定は、

@資格取得が業務命令によらない、
A費用が事業の必要経費とみなされない、
B費用は会社が立替え払いしたものである、
C返済方法を定めている、
D費用が合理的な実費であるか

を検討し、労働関係の継続を不当に拘束しないと認められる場合に限り、同条違反とはならないことになります。


遺族厚生年金に関する改正

◆2007年4月から

遺族厚生年金に関して、来年4月から年齢による制度の変更があります。概要は以下の通りです。

◆現在の遺族厚生年金は

現行の遺族厚生年金の受給対象者は、遺族基礎年金の支給対象者(子のある妻、子)と、子のない妻、55歳以上の夫、父母、祖父母(支給は60歳から)、孫(18歳の誕生日の属する年度の年度末を経過していない者、または20歳未満で障害等級1・2級に該当する者)です。
妻は子がいるかいないかによって、また年齢によって支給要件が異なるといったようなことはありませんでした。

◆改正でどうなるか

今回の改正によって、原則として30歳未満である妻に子がいない場合、遺族厚生年金の支給は5年間の期限付きになります。

また、現行の中高齢寡婦加算では、夫の死亡時に子のいない妻が35歳以上であれば、40歳から65歳までの間支給されますが、見直し後は夫の死亡時に35歳以上ではなく「40歳以上」となります。

現在、遺族厚生年金は年齢に関係なく生涯支給されるため、今後30歳未満の既婚女性は中高齢寡婦加算の見直しと相まって、支給額が激減する可能性があります。
いずれの見直しも、子がいない若い妻は、「やり直しがきく」と判断してのことのようです。

◆具体例でみてみると

【例1】夫の死亡時に妻が28歳で1歳の子がいる場合。妻が30歳になる前に子が死亡
(改正前)遺族厚生年金は生涯支給
(改正後)子が死亡したときから5年間の有期に変更

【例2】夫の死亡時に妻が22歳で2歳の子がいる場合
(改正前)遺族厚生年金に加え、中高齢寡婦加算が40歳から65歳まで支給
(改正後)遺族厚生年金は支給されるが、妻が40歳の時に子は成人しており中高齢寡婦加算は不支給


年金保険料の納付記録の訂正

◆加入記録を審査するチームを設置

国民年金の保険料を払ったかどうか、過去に記憶はあるのに納付記録が残っていないため確認ができないなどの苦情が国民年金の加入者から出ていることを受けて、社会保険庁は、加入者の申立てに基づいて年金加入記録についての審査を行うチームを設置しました。

調査の結果、記録が誤りだと判断されれば納付記録は訂正されることになります。

◆納付記録の訂正方法

これまで、加入者が納付記録の訂正を求めるには、保険料を納付したことを証明する領収書が必要でした。

それが今回、領収書に限らず、例えば当時の預金通帳など保険料納付に関する状況が記載された資料(厚生年金の加入者であれば企業の在職記録も資料になります)を提出すれば、審査チームが事実関係の調査を行い、記録訂正の要否を判断することとなりました。

◆手続きの流れ

記録訂正の窓口は各地の社会保険事務所で、当面12月末まで、年金記録相談の特別強化体制がとられることになります。

具体的な手続きの流れは、以下の通りです。

@ 納付記録が誤りだと主張する「記録の申立書」と、その期間の保険料納付に関する状況が記載された資料(預金通帳等)を提出する。
A 社会保険事務所は、加入者の主張に基づき「申立ての概要を作成」し、社会保険事務局を通じて、「記録の申立書」と「申立ての概要」を社会保険庁本庁の審査チームに送付する。
B 審査チームは、申立案件について慎重に調査を行い、体系的に整理した上で、記録訂正の要否を判断する。
C 記録訂正の要否に関する判断結果について、本庁から社会保険事務所宛てに通知し、社会保険事務所長は判断結果を踏まえ、記録訂正の要否について結果を郵送する。

また、すでに年金を受給している人でも、記録上の納付額よりも実際の納付額が多かったことが認められれば、年金を適正な受給額に増やす措置がとられるようです。


企業におけるパワー・ハラスメント防止対策

◆パワハラに対する関心の高まり

近年、「パワー・ハラスメント」(パワハラ)に対する社会的関心が高まっていますが、法的な定義がなく、また、その防止を直接義務付ける法律もないのが現状です。

したがって、パワハラに該当する行為の範囲は、各企業が自社の防止規程などに具体的に盛り込んでおくことが必要であり、併せて防止措置を定めることが重要でしょう。

◆企業内で必要な防止措置

では、具体的にどのような措置を講ずればよいのでしょうか。

「セクシュアル・ハラスメント」(セクハラ)については、男女雇用機会均等法21条により、事業主にその防止のための配慮が義務付けられ、企業がどのような措置を講ずべきかについても指針で明示されています。

そこで、パワハラについては、セクハラについて法制化されている内容を参考に、定義付けや防止措置を決定するのがよいと考えられます。また、就業規則や労働協約に、禁止行為や防止措置の内容を規定しておくことで、実効性の高いものとすることができます。

◆防止措置の対象となるものは

法的な定義はありませんが、パワハラとは、「職場において、地位や人間関係で弱い立場のものに対して、精神的または身体的な苦痛(いじめや嫌がらせ)を与えること」と定義されたりします。

一般的には、上司から部下へといった図式が一般的に思い浮かぶかと思いますが、同僚間など、社内での地位が対等な者の間で行われるものや、社内での地位が下位の者から上位の者へ行われるハラスメントについても、防止措置の対象としておくべきです。

◆防止措置の具体的内容

防止措置は、前述のようにセクハラの防止措置に倣って、以下の通りとするのがよいでしょう。

@ パワハラ防止規程の作成や社内研修の実施などにより、パワハラを禁止することを周知する。
A パワハラに関する相談・苦情の受付窓口を設置する。
B パワハラが生じた場合に備えて制裁規定など、事後対応のための体制を整備する。

なお、実際にパワハラが発生した場合は、総務部・人事部などの担当部署が事実関係を調査し、事実が確認された場合は、被害の拡大を防ぐため配置転換などの雇用管理上の措置を講じたり、制裁規定に基づき行為者を処分したりするなどの対応を速やかに行うことが必要でしょう。


仕事に関係のないウェブサイトの閲覧

◆取引先との会話に困る?

企業で、業務に関係のないウェブサイトの閲覧を制限する動きが広がっているようです。業務の効率アップを図るともに、情報漏洩対策を強化する企業が増えているためです。

そんな中、青少年向けとして始まった有害サイトを遮断する「フィルタリングソフト」の市場が昨年は約2割伸びており、学校や家庭以上に企業で浸透しています。このソフトを導入すると、買い物サイトやスポーツニュースなど、趣味のサイトを閲覧しようとした場合、画面上に「このページは利用制限されています」、「業務に関係ありますか」といった警告が表示されます。

従業員の中には、「野球やゴルフの結果がわからないので、取引先との会話に困る」といった意見もあるようです。

◆サイト閲覧の4分の1が私的利用?

国内ソフトメーカーによれば、ある企業では、フィルタリングソフト導入前に閲覧されたウェブサイトのうち、約4分の1が業務に関係のない私的利用だとみられるそうです。

個人情報保護法が施行され、企業が情報漏洩対策や内部統制を進める中、ウェブサイトにアクセスしただけで情報が漏洩する危険性もあるため、アクセス制限や履歴の監視などの対策をとる必要がでてきたようです。

◆プライバシーの問題は?

社員の電子メールの送受信については、一定のプライバシーを認める判例があります。

一方、ウェブサイトは情報を得る手段に過ぎず、アクセス制限にプライバシー侵害が成立する余地はないと考えられていますが、チェックされる側がストレスを感じる方法をとると人格権の侵害につながる可能性がないとは言えない、との指摘もあります。


出産手当金の対象者・受給額の変更

◆出産手当金の概要

出産手当金とは、「被保険者」(適用事業所に使用される者および任意継続被保険者)が、出産のため出産日以前42日(多胎妊娠の場合は98日)、出産日後56日までの労務に服さなかった期間について、標準報酬月額の60%が支給されるという制度です。

会社に勤めている人は、会社の人事・総務など健康保険の窓口へ、すでに会社を退職した人は、健康保険組合または会社を管轄する社会保険事務所などへ申請を行います。
産後56日後から、さらに1〜2カ月後に、指定した口座に振り込まれます。

◆2007年4月から対象者・受給額が変更に

健康保険法の改正により、「被保険者」の中から任意継続被保険者は除かれることになったため、2007年4月からは任意継続被保険者への出産手当金の支給はなくなります。

また、退職して被保険者の資格喪失後6カ月以内の人についても、2007年4月以降は支給されなくなります。

また、同時に支給額の見直しも行われます。現在、報酬月額の60%が支給されていますが、改正後は、賞与を含めた総報酬月額の3分の2が支給される予定です。

◆経過措置

今回の改正では、経過措置が設けられています。

2007年3月において出産手当金を受けていたあるいは受けるべき状態である任意継続被保険者については、同年4月以降も支給されます。

退職して被保険者の資格喪失後6カ月以内の人についても、任意継続被保険者同様の経過措置が設けられています。


離婚時の年金分割額を通知するサービス

◆10月1日から実施

2007年4月1日から「離婚時の年金分割制度」が実施されるのに合わせて、妻も夫も50歳以上の場合、本人の求めがあれば、分割時に受け取ることができる年金見込額を通知するサービスを、社会保険庁が10月1日から始めます。

年金分割制度では、分割の割合は夫婦の話し合いまたは裁判によって決められますが、2,008年4月以降は強制的に折半となり、社会保険庁からそれぞれに直接送金されることになっています。

◆現状における離婚後の年金分割

現在は、離婚した場合に年金をいったん夫が取得し、それを妻に分けるといったケースが主流ですが、夫が送金しないケースも多いようです。

年金の計算は、制度が複数あり、法改正も多いため、一般の人には難しいものとなっています。特に、妻が夫に離婚の意思を隠しているような場合、内証で夫の年金について調べることは非常に困難です。

◆「通知サービス」の概要

通知サービスでは、妻か夫のどちらかが請求した場合、相手に見られることなく年金見込額を知ることができます。社会保険事務所に、自分の年金手帳と戸籍抄本(または謄本)を提出すれば試算してもらうことができます。ただ、通知されるのは本人の見込額だけであり、相手の額までは知ることはできません。

夫婦とも年金額が確定している場合には、実際に受け取っている年金額をもとに試算し、それ以外のケースでは将来受け取る見込額に基づく試算となります。

50歳未満の場合は将来の年金見込額自体を試算することが困難なため、結婚期間中の双方の納付記録や支払った保険料総額、認められる分割割合などの情報提供にとどめられるようです。