●建設職人の派遣「一元化」 大阪の団体が新システム作り(10月23日 朝日)
 
建設業界で、ゼネコンなど元請け業者の労働単価切り下げに苦しむ下請け業者の団体「大阪府建団連」(大阪市、1500社)が、新たな職人派遣のシステムづくりを進めている。「元請け―下請け―職人」という縦の系列関係で職人が集められてきたのを改め、府建団連が加盟社の職人を一元化して現場に送り出す仕組みで、11月にも厚生労働省に事業認可を申請する。その「動員力」を背景に、元請けに対し適正価格での発注を求めるねらいだ。職人たちの待遇改善を目指す試みとして注目されている。

建設不況の影響で、業界では下請け会社が雇用・社会保険の事業主負担に耐えられず、職人を抱えきれなくなる例が増加。解雇された職人が零細な2次下請け会社をつくったり、さらに立場の弱い個人事業主(一人親方)になったりしているとされる。

こうした中、職人の賃金は切り下げられ、厚労省によると04年の賃金は1日あたり1万3790円で過去最高だった97年から約1割減。技術継承や習得もままならず、職人の質の低下や後継者不足が心配されている。

府建団連の計画によると、これまで1次下請け業者に限っていた府建団連の加盟枠を2次下請け業者まで拡大し、より多くの職人を傘下に置く。従来、主に系列の下請け会社間で請負の形で職人が集められていたのに対し、新システムでは府建団連が仕事を受注した加盟社の求めに応じ、足りない職人を他社からあっせんして送り出す態勢を整える。

さらに、1級技能士ら熟練職人が加盟する「技能者会」をつくり、学者らでつくる第三者機関の意見も入れて職人の労働単価を独自に算出し、価格交渉する受注業者を支援する。

技術力のある職人の多くを傘下に置き、「労働者供給」の主導権を握ることで、これまで主に発注者の意向で決められていた受注価格について、職人側の意見を反映させようという戦略だ。

ただ、長年「親子」関係を維持してきた元請けから発注を切られるのを恐れ、団体を通じた職人派遣に消極的な業者も少なくない。このため、まずとび工、型枠工らで職人集団を組織し、実績を積んだうえで他の職種にも広げたいという。職人の技術向上策も打ち出し、ゆくゆくは個人事業主の再雇用を促すなどして、業界全体の底上げを図る。

府建団連の計画は、建設労働者雇用改善法が05年に改正され、これまで認められていなかった職人の会社間での貸し借りが、国の認定を受けた団体の加盟業者に限って認められたのが契機となった。府建団連は10月末までに全体の実施計画をまとめる予定だ。

府建団連の北浦年一会長(70)は「優秀な職人は業界に必要な存在なのに、ないがしろにされてきた。新しいシステムで人並みの暮らしができるようにしたい」と話す。 府建団連に助言してきた古阪秀三・京大助教授(建築学)は「現状では下請け会社が職人の処遇改善を図る余裕はない。発注者に適正な経費や利益を認めさせ、業界全体で品質確保や職人育成に取り組む必要がある。府建団連の試みは画期的だ」と評価している。

《建設労働者雇用改善法》

建設現場の労働者の雇用の安定などを図るための法律で、05年の改正では、建設業者などの団体が雇用の改善計画などを作成し、厚労省に認定されると、団体加盟社間で職人の貸し借りができる「建設業務労働者就業機会確保事業」が創設された。一時的に余剰となる労働力の需給調整ができるようになった。

今年9月、みやぎ建設総合センター(仙台市)の計画が初めて認定され、傘下8社が労働者送り出しを許可された。同センターは主に雇用安定が目的だが、大阪府建団連の計画は適正価格確保にまで踏み込んでいる。

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