不払い残業の4割が「上司に気兼ね」/連合総研調査(11月15日 労政機構)

●不払い残業の4割が「上司に気兼ね」/連合総研調査
 (11月15日 労政機構 調査部)


賃金不払い残業をしている雇用者の4割が、上司の対応等の雰囲気で残業を申請しづらいと考えていることが、連合総合生活開発研究所(連合総研、薦田隆成所長)の調査でわかった。過去の調査と比較すると、上司への気兼ねが増加傾向にある半面、残業時間や手当に上限を設けているとの理由は減っている。

調査は9月末から10月初旬にかけて、首都圏と関西圏の民間企業に勤める20〜50代の900人を対象に実施。772人からの回答をまとめた。内訳は、性別が男性6割、女性4割。就業状況は、正社員が約7割、非正社員が3割となっている。

残業手当の支給対象者で実際に残業している人のうち、不払い残業のある雇用者は37.4%。 1年前(43.2%)より減少しているものの、依然4割近くを占めている。

不払い残業のある雇用者を男女別にみると、男性が42.7%で女性(30.2%)を上回り、就業状況では、正社員(41.8%)が非正社員(28.5%)より高い。週労働時間別では、「60時間以上」が最も高く51.6%。以下、「50時間以上60時間未満」(49.3%)、「40時間以上50時間未満」(37.2%)、「40時間未満」(21.4%)と、労働時間が短くなるにつれ、比率も下がる。

不払い残業のある理由を尋ねたところ(複数回答)、「上司の対応等の雰囲気で残業手当を申請しにくい」が 39.7%でトップ。次いで「残業時間の限度が決められている」(32.2%)、「残業手当の支払いに上限がある」(32.7%)となっている。この結果を過去2回の調査と比較すると、上位3つの理由が突出していることに変わりはないが、これまでツートップだった「残業時間の限度設定」「残業手当の支払い上限」の割合が低下し、「上司の対応等の雰囲気」が第一位に躍り出た格好になっている。

さらに、残業手当が支給される時間の決定方法についての設問では、「自己申告の時間どおり」(40.7%)が最多。「タイムカードや電子機器等による記録どおり」(30.6%)、「記録をもとに上司等が調整を行う」(10.5%)などが続いた。この結果を過去と比較すると、不払い残業する雇用者比率が比較的低い「タイムカードや電子機器」が上昇し、同比率の比較的高い「上司等の調整」が下降している。連合総研は、「制度が前進すれば、不払い残業は減る。ただし、制度面の整備が進んで課題が解決していくと、どうしても雰囲気の問題が残ってしまうことになるのではないか」と分析している。

一方、調査は雇用者がこの 1年間に何らかの自己啓発を行ったか否かも調べている。それによると、約3割が「自己啓発したいが時間がない」と回答。その比率は、男女とも勤務時間が長いほど高くなる。長時間労働が雇用者から自己啓発の時間を奪っていることが目立った。