口頭による採用内定に効力はあるか?
 
口頭で「採用する」と言った場合

A社で働く社員が転職先を探してB社の面接を受けたところ、その場で採用担当者から口頭で「採用する。2カ月後には来てほしい」と言われ、A社にすぐ退職届を出しました。しかし、その後B社が「採用するつもりはない」と態度を変えました。社員が内定取り消しとして損害賠償を求めることは可能でしょうか。

内定は両者の合意により成立

法律上、内定は、「始期付解約権留保付労働契約」として一定の拘束力を持ちます。一般の解雇よりも基準は緩いですが、合理的な理由なしに契約を取り消すことはできません。

では、どのような状態なら「内定成立」といえるのかですが、一般的に、雇用する側と雇用される側の意思が合致し、両者の合意があったとみなされた時点で内定は成立するとされています。重要なのは、この「合意の有無」であり、口頭での約束か文書かは判断基準ではないとの考えが一般的です。

ただ、口頭での採用の意思表明は、裁判時の証明が難しいという難点があります。その場合は、身体検査の実施や就業規則の交付などが状況証拠になるといえます。

◆新卒採用と中途採用で違いは?

また、新卒採用と中途採用では合意の判断に若干違いがあります。新卒の場合、試験や面接を経て夏頃までにいったん採用が決まっても、多くの場合、内定通知書の受け渡しや誓約書への署名などの手続きは10月ごろに行われます。

新卒者は何社もかけもちで就職活動を行い、いくつか内定をもらった中から進路を選ぶことが前提のため、誓約書への署名などの前段階で示される企業側の採用の意思表示は「内々定」として一連の手続き後の内定よりは法的な拘束力が緩いといえます。

一方、中途採用の場合は、通常、何社もかけもちで内定を取ることは考えにくいので、企業から採用の意向を示された時点で両者の合意が形成されたとみなされ、内定が成立するといえます。企業の人事権者が、「採用します」、「○月○日から来てください」などと伝えた場合は口頭でも合意が成立したといえるでしょう。

ただ、紹介者などその企業の人事権者以外から伝えられた採用の意向は、内定とは認められません。また、賃金などの条件が話題に上がっていた場合に、それが折り合わないままでは合意があったとは言い切れないでしょう。

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