社内での飲み会も業務の一環?
◆東京地裁が「社内での飲み会も業務」として労災認定
勤務先の会社内において開催された飲み会に出席した後、帰宅途中に地下鉄の駅の階段で転落して死亡した建設会社社員の男性について、妻が「通勤災害で労災にあたる」として、遺族補償などを不支給とした中央労働基準監督署の処分の取り消しを求めていた訴訟の判決で、東京地裁は労災と認定しました。
男性は、1999年12月に勤務先で開かれた会議の後、午後5時頃から開かれた会合で缶ビール3本、紙コップ半分程度のウイスキーを3杯飲んでおり、同労働基準監督署は、「会合は業務ではない。飲酒量も相当あった」と主張していましたが、東京地裁は、「酒類を伴う会合でも、男性にとっては懇親会と異なり、部下から意見や要望を聞く場で出席は職務。飲酒は多量ではなく、酔いが事故原因とも言えない。降雨の影響で足元も滑りやすかった」として、労災と判断したのです。
◆通勤災害の定義の変化
労災保険法7条2項は、「通勤とは、労働者が、就業に関し、移動(住居と就業の場所との間の往復)を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする」と定めています。
また、同条3項は「労働者が、移動の経路を逸脱し、又は移動を中断した場合においては、当該逸脱又は中断の間及びその後の移動は、通勤としないと定めています。
そのため、食事等で長時間にわたって腰を落ち着けたような場合は、逸脱・中断とみなされ、その間およびその後の行為は通勤とは認められていませんでした(昭48.11.22基発第644号)。今回の判決が今後の実務にどのように影響してくるのか、大変興味深いところです。
勤務先の会社内において開催された飲み会に出席した後、帰宅途中に地下鉄の駅の階段で転落して死亡した建設会社社員の男性について、妻が「通勤災害で労災にあたる」として、遺族補償などを不支給とした中央労働基準監督署の処分の取り消しを求めていた訴訟の判決で、東京地裁は労災と認定しました。
男性は、1999年12月に勤務先で開かれた会議の後、午後5時頃から開かれた会合で缶ビール3本、紙コップ半分程度のウイスキーを3杯飲んでおり、同労働基準監督署は、「会合は業務ではない。飲酒量も相当あった」と主張していましたが、東京地裁は、「酒類を伴う会合でも、男性にとっては懇親会と異なり、部下から意見や要望を聞く場で出席は職務。飲酒は多量ではなく、酔いが事故原因とも言えない。降雨の影響で足元も滑りやすかった」として、労災と判断したのです。
◆通勤災害の定義の変化
労災保険法7条2項は、「通勤とは、労働者が、就業に関し、移動(住居と就業の場所との間の往復)を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする」と定めています。
また、同条3項は「労働者が、移動の経路を逸脱し、又は移動を中断した場合においては、当該逸脱又は中断の間及びその後の移動は、通勤としないと定めています。
そのため、食事等で長時間にわたって腰を落ち着けたような場合は、逸脱・中断とみなされ、その間およびその後の行為は通勤とは認められていませんでした(昭48.11.22基発第644号)。今回の判決が今後の実務にどのように影響してくるのか、大変興味深いところです。
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★08年6月 二審(東京高裁)において遺族側が逆転敗訴しております。判決全文は確認できていませんが、最高裁まで争うことになるかもしれません。
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●労災認めず、妻が逆転敗訴/帰宅中、駅階段から転落死(08年6月27日 共同通信)
勤務先の会合で飲酒後、帰宅途中に駅の階段から転落死した建設会社部次長=当時(44)=の妻が「通勤災害に当たる」として、遺族補償などを不支給にした中央労働基準監督署(東京)の処分取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は25日、労災と認めた1審判決を取り消し、妻の逆転敗訴とした。
宮崎公男裁判長は、会合への参加を業務と認定した上で「業務性のある会合は退社の約3時間前には終わった。次長はその後も酒を飲み続け、帰宅時には部下に支えられてやっと歩ける状態だった。この酩酊ぶりが転落事故に大きく影響しており、通勤災害と認められない」と判断。妻の請求を棄却した。
昨年3月の1審東京地裁判決は「飲酒は多量ではなく、酔いが事故原因ともいえない。雨の影響で足元も滑りやすかった」と労災認定し、労基署の処分を取り消した。
判決によると、次長は1999年12月1日、東京都中央区の勤務先で午後5時から開かれた会合で缶ビールやウイスキーなどを飲み、午後10時15分ごろ退社。最寄りの地下鉄日比谷線築地駅入り口の階段から転落、頭を強く打ち死亡した。
宮崎公男裁判長は、会合への参加を業務と認定した上で「業務性のある会合は退社の約3時間前には終わった。次長はその後も酒を飲み続け、帰宅時には部下に支えられてやっと歩ける状態だった。この酩酊ぶりが転落事故に大きく影響しており、通勤災害と認められない」と判断。妻の請求を棄却した。
昨年3月の1審東京地裁判決は「飲酒は多量ではなく、酔いが事故原因ともいえない。雨の影響で足元も滑りやすかった」と労災認定し、労基署の処分を取り消した。
判決によると、次長は1999年12月1日、東京都中央区の勤務先で午後5時から開かれた会合で缶ビールやウイスキーなどを飲み、午後10時15分ごろ退社。最寄りの地下鉄日比谷線築地駅入り口の階段から転落、頭を強く打ち死亡した。
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●「社内飲み会も業務」・帰宅中の転落死を労災認定(07年3月29日 日経)
勤務先の会社内で開かれた飲み会に出席後、帰宅途中に地下鉄の駅の階段で転落死した建設会社部次長の男性=当時(44)=について、妻が「通勤災害で労災にあたる」として、遺族補償などを不支給とした中央労働基準監督署(東京)の処分取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は28日、労災と認めた。
訴訟で労基署は「会合は業務ではない。飲酒量も相当あった」と主張したが、佐村浩之裁判長は「酒類を伴う会合でも、男性にとっては懇親会と異なり、部下から意見や要望を聞く場で出席は職務。飲酒は多量ではなく、酔いが事故原因とも言えない。降雨の影響で足元も滑りやすかった」と判断した。
判決によると、男性は1999年12月、東京都中央区の勤務先2階で開かれた会議の後、午後5時ごろから6階で開かれた会合で缶ビール3本、紙コップ半分ほどのウイスキーを3杯飲んだ。
午後10時15分ごろに退社し、約10分後、地下鉄日比谷線築地駅入り口の階段で約18段下の踊り場まで転落。頭を強く打ち、病院に運ばれたが死亡した。
訴訟で労基署は「会合は業務ではない。飲酒量も相当あった」と主張したが、佐村浩之裁判長は「酒類を伴う会合でも、男性にとっては懇親会と異なり、部下から意見や要望を聞く場で出席は職務。飲酒は多量ではなく、酔いが事故原因とも言えない。降雨の影響で足元も滑りやすかった」と判断した。
判決によると、男性は1999年12月、東京都中央区の勤務先2階で開かれた会議の後、午後5時ごろから6階で開かれた会合で缶ビール3本、紙コップ半分ほどのウイスキーを3杯飲んだ。
午後10時15分ごろに退社し、約10分後、地下鉄日比谷線築地駅入り口の階段で約18段下の踊り場まで転落。頭を強く打ち、病院に運ばれたが死亡した。