●高額医療制度 健保変更後も割引維持 厚労省(4月22日 産経)
厚生労働省は、月間医療費がかさんだ場合に一定額を超えた分を健康保険が負担する高額医療制度の見直しに着手した。見直されるのは、過去12カ月間で制度適用月が3カ月を超えると患者の自己負担分をさらに少なくする割引ルール(多数該当)だ。退職や転職で加入健保が変わると、このルールは適用されない。そこで、健保を移っても継続して割引の恩恵を受けられるようにする。
見直しの背景には、団塊世代の大量退職がある。退職すれば、企業健保から国民健康保険に、再就職の場合も、新しい勤務先の健保に加入することになる。こうした健保の移動が不利益にならないよう環境を整備し、不安を少なくして第二の人生に臨んでもらおうというわけだ。
さらに、現役世代でも終身雇用がくずれ、自分の人生設計に合わせて転職する人も増えているという実態がある。
本人だけでなく、扶養家族も制度対象であるため、与党内で「現行のままでは、医療費補助を十分に受けられない人が急増する」と是正を求める声が強まっていた。
現在の高額医療制度では、69歳以下で月収53万円未満の人は、3カ月目までは「8万100円+限度額を超えた分の1%」が自己負担分だが、4カ月目以降は割引の適用で、4万4400円ですむ。月収53万円以上だと、3カ月目までが「15万円+限度額を超えた1%」、4カ月目以降が8万3400円となる。
ところが、異なる健保同士で、加入者の医療情報を交換したり、共有したりする仕組みはない。加入健保が変わると、移動前から高い医療費を払っていても、その分はカウントされず、改めて1カ月目とみなされ、割引ルール適用外となる。
ルール変更には、過去12カ月間に何カ月高額医療制度の適用を受けたかなどの患者情報を健保間で共有する必要がある。これについては、平成23年度をめどに導入を予定している健康保険証のICカード化や患者の病歴情報のデータベース化などで、健保を移動しても、高額医療費支給情報を一元的に把握できるめどが立った。
また、各健保の財政的な負担増に配慮し、激変緩和策を導入する一方、健保全体で財政調整する基金の設置案なども浮上している。
【退職後の健康保険】
会社を定年退職した後、再就職すれば再就職先の健康保険に移る。再就職しない場合は、条件を満たせば、退職前の勤務先の健康保険に一定期間加入できるが、一般的には国民健康保険(国保)に加入する。さらに、平成20年度以降は、75歳以上になると自動的に「後期高齢者医療制度」に移る。このように、定年退職後の加入健保がめまぐるしく変わることで、患者がこれまでは考えにくかった不利益を受けることもあるとの見方が強い。
見直しの背景には、団塊世代の大量退職がある。退職すれば、企業健保から国民健康保険に、再就職の場合も、新しい勤務先の健保に加入することになる。こうした健保の移動が不利益にならないよう環境を整備し、不安を少なくして第二の人生に臨んでもらおうというわけだ。
さらに、現役世代でも終身雇用がくずれ、自分の人生設計に合わせて転職する人も増えているという実態がある。
本人だけでなく、扶養家族も制度対象であるため、与党内で「現行のままでは、医療費補助を十分に受けられない人が急増する」と是正を求める声が強まっていた。
現在の高額医療制度では、69歳以下で月収53万円未満の人は、3カ月目までは「8万100円+限度額を超えた分の1%」が自己負担分だが、4カ月目以降は割引の適用で、4万4400円ですむ。月収53万円以上だと、3カ月目までが「15万円+限度額を超えた1%」、4カ月目以降が8万3400円となる。
ところが、異なる健保同士で、加入者の医療情報を交換したり、共有したりする仕組みはない。加入健保が変わると、移動前から高い医療費を払っていても、その分はカウントされず、改めて1カ月目とみなされ、割引ルール適用外となる。
ルール変更には、過去12カ月間に何カ月高額医療制度の適用を受けたかなどの患者情報を健保間で共有する必要がある。これについては、平成23年度をめどに導入を予定している健康保険証のICカード化や患者の病歴情報のデータベース化などで、健保を移動しても、高額医療費支給情報を一元的に把握できるめどが立った。
また、各健保の財政的な負担増に配慮し、激変緩和策を導入する一方、健保全体で財政調整する基金の設置案なども浮上している。
【退職後の健康保険】
会社を定年退職した後、再就職すれば再就職先の健康保険に移る。再就職しない場合は、条件を満たせば、退職前の勤務先の健康保険に一定期間加入できるが、一般的には国民健康保険(国保)に加入する。さらに、平成20年度以降は、75歳以上になると自動的に「後期高齢者医療制度」に移る。このように、定年退職後の加入健保がめまぐるしく変わることで、患者がこれまでは考えにくかった不利益を受けることもあるとの見方が強い。