人事労務の時事解説 2007年6月号

 

派遣社員に対するセクハラ問題
 
◆派遣先でのセクハラ被害

派遣社員が、派遣先企業の上司に食事に誘われ、「交際してくれ」としつこく口説かれています。きっぱり断わりましたが、その後も度々交際を迫られ、非常に苦痛のようです。派遣社員は、派遣先企業に上司の懲戒処分を求めましたが、「文句は派遣元に言ってくれ」と、まともに取り合ってくれません。このような場合、どうしたらいいのでしょうか。

◆労働者派遣法の規定では

派遣社員に対するセクハラ(性的嫌がらせ)防止をめぐっては、労働者派遣法47条の2に基づき、「雇用管理上必要な配慮」が派遣先に義務付けられていますが、企業が具体的に何をしなければならないかは明示されていません。

そのため、立場が弱いとみられがちな派遣社員はセクハラの標的となりやすく、トラブルを問題にしても、逆に「派遣期間の満了」という形で派遣契約が解消されるということがたびたび起こっていたようです。

◆セクハラ対策の強化

今年4月1日施行の改正男女雇用機会均等法では、セクハラ対策が強化されました。セクハラを懲戒事由として就業規則に盛り込んだり、相談窓口を設けたりするなど、セクハラ防止に必要とされる具体的な措置が企業に義務付けられました。行政の是正勧告に応じない場合は企業名が公表されるなど、処分も厳しくなりました。

また、厚生労働省は、性差別の具体例や対策を示した「指針」を示し、派遣元だけでなく、派遣先についても派遣社員を雇用する事業主とみなすこととされました。これにより、派遣先も、「派遣元の問題」とは言えなくなります。また、セクハラ問題を相談したことによる派遣契約解消などの不利益取扱いも禁止されます。

◆企業の意識が問われる時代

派遣社員へのセクハラでは、泣き寝入りする被害も少なくありませんでしたが、上述の法改正で救済の間口が広がりそうです。とはいえ、相談窓口の設置など、形式だけを整えて実際に機能していないケースも多いようです。相談窓口が人目につく場所にあり、相談者のプライバシーが守られないため、なかなか利用できないといった事例もあります。「仏作って魂入れず」にならないよう、企業側の意識が問われそうです。

ポイントは、以下の通りです。

1.厚生労働省の指針により、派遣先企業が派遣労働者の事業主扱いになる。
2.企業が防止措置をとらない場合は、使用者責任を問われることになる。


サービス業の生産性向上のための施策

◆「顧客満足度」を示す指数を開発へ

経済産業省は、サービス産業の生産性向上を目指すための総合対策をまとめました。2007年度中にも産官学共同で、顧客の満足度を示す指数(CSI)を開発し、サービス分野全体でADR(裁判外による紛争解決の手続き)機関の創設も支援します。消費者の「満足度」などを把握して、サービスの質を高めるねらいです。

経済財政諮問会議は、農業、サービスなど各分野での対策を盛り込んだ「生産性加速プログラム」を今年の4月にまとめました。経済産業省の対策は、その柱の1つとして諮問会議に示され、5月に産業界を中心とした「サービス産業生産性協議会」を設立して実行します。

◆「総合対策」の内容(CSI、ADR)

CSIは、消費者に直接聞き取り調査を行ったデータを統計処理して、顧客満足度を100点満点で指数化し、企業ごとにサービスの質を示すものです。

ADR機関については、これまでサービス分野全体にまたがるADR機関はなかったため、顧客が安心してサービスを受けられるよう、第三者機関による業界横断の認証制度の創設を後押しします。

結婚相手紹介やエステティックなどのサービス業は、消費者にとって事前にサービスの質を把握することが難しいとされています。満足度の指数や紛争解決の仕組みによって、消費者がサービスを選びやすくなり、競争が促され、生産性が高まると見ています。

◆サービス産業の生産性向上のための施策

生産性向上を目指して打ち出された主な施策は、以下の通りです。
1.日本版顧客満足度指数(CSI)の創設
2.信頼性向上へ向けた第三者認証制度の構築支援
3.裁判以外の紛争解決(ADR)機関の設置支援
4.「サービス業300選」の発行
5.生産性や効率性を向上させた事例集の発行
6.サービス産業分野の中小企業向けファンドの創設
7.「サービス工学」の導入推進
8.世界貿易機関(WTO)、経済連携協定(EPA)交渉でサービス分野の自由化を積極化


改正男女雇用機会均等法が施行されました

◆企業に対する規制強化

平成19年4月1日から、改正男女雇用機会均等法が施行されました。改正議論では、結果的に性で差がつくような「間接差別」の禁止が注目されましたが、他にも、妊娠・出産をめぐる規制が強化され、女性だけではなく男性へのセクハラに対しても企業が対策をとらなければならなくなりました。

◆妊娠中の解雇は原則無効

法改正前も、妊娠・出産を理由とする解雇は禁止されていましたが、非正社員の場合は契約期間終了による「雇止め」だとされ、救済対象から漏れてしまうこともありました。改正法では、雇止めや更新拒否、退職推奨やパートへの変更などすべての不利益取扱いが禁止されました。さらに、妊娠中や産後1年以内の解雇は原則無効になりました。

◆男性へのセクハラもダメ!

男性に対するセクハラの禁止も改正法で定められました。女性も加害者になる可能性があることを自覚する必要があります。

改正法ではこのほか、企業のセクハラ防止の「配慮義務」が「措置をとる義務」に強化されました。相談窓口の設置に加え、周知・啓発、懲戒規定などが義務付けられました。是正勧告に応じない企業名は公表されます。

◆「間接差別」が禁じる3項目

1.募集・採用における身長・体重・体力要件
2.コース別雇用管理における転居を伴う転勤要件
3.昇進における転勤経験要件

しかし厚生労働省は、3項目以外でも「裁判で違法とされる場合はある」としています。

◆企業に対する罰則を新設

違法行為があった場合の相談先は、都道府県労働局の雇用均等室です。調停による解決をめざす機関で、専門家による委員会が調停案を出します。改正法では、調停を行う機関から求められた報告に応じないか、または、虚偽報告をした企業には「20万円以下の過料」を科すようになりました。

日本弁護士連合会などは、調査権や救済命令を出す権限も与えるべきだと主張しています。調停の打ち切り後は、裁判で争うか、原則3回までの審理で解決する「労働審判」も選択肢になります。


年金加入記録の不一致で揺らぐ年金制度

◆24万件の加入記録が不一致

社会保険庁は、昨年夏から始めた年金加入者からの加入記録の照会が約180万件にのぼり、そのうちの24万件について、本人の申告と同庁の記録に不一致があったことを明らかにしました。

記録が確認しきれず再調査に回された分も2万5000件に達したそうです。保険料未納の問題を含め、年金制度運営そのものの甘さが背景にありそうで、公的年金の信頼性に改めて不安を投げかけています。

◆加入記録不一致の原因は?

申告と記録の不一致がこれほど多いのは、同庁の入力や記録ミスだけでなく、複雑な制度への加入者の理解が進まず、加入者の手続きの不備が相次いだことにも原因があるようです。記録を不備なままにしておくと、将来受け取る年金額が減るおそれもあります。これを避けるためには、加入記録に空白期間がないか、加入者本人のチェックが重要になります。

さらには、一部の古い記録は破棄されていたことも判明しています。国の年金管理のあり方に問題があったとはいえ、同庁の出直し改革の焦点にもなりそうです。

<加入記録と本人申告に不一致が生じる主な理由>
・社会保険庁による登録ミス
・企業による届出ミス
・年齢をごまかして加入
・会社を辞めて結婚後、別姓で年金手帳を再発行  
・転職後に前の年金番号を忘れて年金手帳を再発行 
・年金手帳を紛失して別の番号で再発行 など

◆強制徴収の目標数を倍の60万件に

国民年金保険料の納付率が現在も7割に満たないという状況において、同庁では、納付率向上のため2005年に策定した業務改革プログラムの見直しを行いました。十分な所得や資産があるのに保険料を納めない悪質な未納者・滞納者の預貯金などを差し押さえる強制徴収を強化し、2006年度に35万件としていた目標を、2007年度は60万件に引き上げています。納付率向上のため、市区町村から集めた情報により未納者のタイプを分類し、未納者のタイプ別に納付者数の目標などを策定する方針です。

また、これとは別に、健康保険や厚生年金の保険料を滞納している事業所に対しても、各地にある社会保険事務所に徴収目標の数値や具体的な取り組みの策定を求めています。


ますます増える?「労働審判」の申立て

◆申立件数が1000件を突破

新聞報道などによれば、会社と労働者間の紛争を迅速に解決するために昨年4月から開始された「労働審判制度」について、今年2月末までの全国の地裁への申立件数が1000件を超えたことが、最高裁判所の集計でわかりました。

そのうち約7割で審理を終え、平均審理期間は「73日」と当初目標の「3カ月以内」をクリアしており、早期救済という制度の趣旨にかなう結果となりました。

◆労働審判制度の流れ

職業裁判官である労働審判官1名と、労使の代表である審判員2名で構成される労働審判委員会が、まず民事訴訟の和解に相当する調停を試みます。調停が不成立の場合、労働審判委員会による公的な審判で解決を図ります。

最高裁判所によると、2月末までの申立件数は1,055件です。2月末までに終了した778件のうち、538件は調停で解決し、審判に至らず決着しているケースが多いことがわかりました。

◆最も多い申立理由は?

審理が終わった778件の申立理由は、以下のようになっています。
・解雇無効などの「地位確認」……393件(約51%)
・「賃金など」………………………187件(約24%)
・「退職金」……………………………63件(約 8%)

◆審理期間はどのぐらい?

審理が終わった778件のうち、757件は「3回以内」に審理を終了しており、4回に達したのは21件だけでした。

申立てから終了までの審理期間は1カ月以内が42件(約5%)、2カ月以内が243件(約31%)、3カ月以内が277件(約36%)で、約7割は3カ月以内に終了しています。平均審理期間は「73.7日」で、制度創設時に目標とされていた「3回以内で3カ月程度の決着」をおおむねクリアしています。

地裁別にみると、最も申立てが多かったのは東京(309件)で、以下は大阪(98件)、横浜(92件)、名古屋(64件)の順でした。


外食産業の回復は雇用状況にも影響?

◆外食産業に回復の兆し

低迷していた外食産業に回復の兆しが出てきました。日本フードサービス協会がまとめた3月の外食の既存売上高(120社)は、ファーストフードがけん引して前年同月比2.0%増と、3カ月連続でプラスになりました。客数も同3.7%増と高い伸びを示しています。

各社は人手の確保に向け、賃金や働き方で新手法も取り入れ始めました。外食産業の回復は消費のすそ野の広がりを裏づけ、雇用の需要にも影響しそうです。

◆ファーストフードの売上好調

既存店売上高を個別に見ると、ファーストフードが7.1%増と高い伸びとなっています。ファーストフード以外でも高級レストラン(1.2%増)、喫茶(0.4%増)などが3カ月連続でプラスとなっています。

既存店売上高の増加を支えているのは全体の客数の伸びです。3月の客数は3.7%増で、1月、2月と月を追うごとに伸び率が大きくなっています。中でもファーストフードの3月の伸び率は7.8%でした。これに対して、客単価は総じて横ばいから減少傾向に転じています。

ただ、外食の中でもファミリーレストランや居酒屋は構造的な問題を抱え低迷しています。ファミリーレストランは、主力客層である家族連れの来店が減少し、居酒屋は昨年夏以降の飲酒取締まり強化で郊外店が苦戦しています。

◆人手不足で人材確保にひと工夫

回復の兆しが出てきた外食産業ですが、人件費や原材料の上昇が、収益回復の足かせになっています。中でも人手確保の問題は深刻で、各社はパートやアルバイトの採用・つなぎ留めに向け、賃金体系や働き方などで知恵を絞っています。外食産業は、店舗従業員の約9割をパートやアルバイトに依存していますが、特に都心部などは人手確保の激戦区になっています。

2007年2月時点の「飲食店・宿泊業」のパートの雇用状況は、「不足」から「過剰」の割合を引いた値が47と、全生産業の中で最も高く人手不足が常態化しています。そのような状況の中、人手を確保するために、以下のように様々な工夫をこらしているところもあるようです。

・3カ月継続して働いた人に5万円支給する。
・事前登録しておけば、定期給料日以外の希望日に給料を支払う。
・1カ月ごとに働く店舗の変更を可能にする。
・友人、知人を紹介すると一定の報奨金を支払う。


普及・定着するか?「短時間勤務正社員制度」

◆「短時間勤務正社員制度」の目的

短時間勤務正社員制度は、フルタイム勤務一辺倒の働き方ではなく、自己のライフスタイルに応じて多様な働き方を実現させるとともに、これまで育児や介護をはじめとして様々な制約によって就業を継続できなかった人や就業の機会を得られなかった人たちの就業の継続を可能にするための制度です。

労働者が育児や介護・自己啓発などの必要性に応じて、正社員のまま仕事を継続することができるため、「多様就業型ワークシェアリング」の代表的制度として、今後定着が期待されている制度です。

◆2つのタイプがある「短時間勤務正社員」

短時間勤務正社員とは、フルタイム正社員より1週間の所定労働時間が短い社員のことをいいます。タイプは2種類あり、フルタイム正社員が短時間・短日勤務を一定期間行う場合と、正社員の所定労働時間を恒常的に短くする場合に分かれます。

前者のメリットとしては、従業員が育児や介護、社会活動など必要性に応じて時間をとることができ、有能な人材の確保が容易であること、後者のメリットとしては、仕事と家庭のバランスを図りやすく、健康面や体力面での配慮が可能になることとされています。

どちらにしても、企業が人事・労務管理を見直す機会となり、企業運営の効率性を高めるきっかけにもなります。

◆制度導入にあたっての注意点

制度を導入する際には、導入のメリットを確認した後、実際に現場の管理職や従業員の声を拾い上げるための調査を実施する必要があります。その留意点としては、以下のことが考えられます。

1.「企業のコスト削減等のための労働時間短縮制度」との誤解を招かないよう、労働者側のメリットも周知すること
2.各識層のニーズを偏りなく把握すること
3.意見を述べた個人の特定ができないように、調査票は無記名にするなどの配慮が必要ではあるが、所属部署・業務内容等は回答してもらうこと

◆可能な部署からの導入も

制度を全社的に導入できることが望ましいでしょうが、可能な部署から実施し、徐々に拡大していく方法もあります。いずれにしても、制度の円滑な導入を進めるためには、労使それぞれの立場からの意見が反映できるように、社内での十分な検討が必要になります。


労働・雇用に関する企業の社会的責任(CSR)

◆企業に求められる「社会的責任」の内容

企業には、その利害関係者(ステークホルダー)に対して責任ある行動をとるとともに、説明責任を果たしていくことが求められており、その傾向は年々高まっているといえます。このような考え方は、「社会的責任」(CSR)と呼ばれますが、労働・雇用の観点からもCSRを検討する必要性が高まっています。その主な理由は次の通りです。

1.従業員の働き方に十分な考慮を払い、個性や能力を活かせるようにしていくことは、企業にとって本来的な責務であるといえる
2.従業員に責任ある行動を積極的にとっている企業が、市場において投資家、消費者や求職者等から高い評価を受けるようにしていくことは有益である

◆企業はどういった取り組みをすべきか?

企業が従業員に対して取り組む事項としては、次のことが挙げられます。

1.従業員がその能力を十分に発揮できるよう、人材の育成、従業員個人の生き方・働き方に応じた働く環境の整備、安心して働く環境の整備などを行う
2.事業の海外展開が進む中、海外進出先の現地従業員に対し、責任ある行動をとる
3.人権への様々な配慮を行う

◆労働・雇用のCSR推進のための環境整備

労働・雇用の分野において企業がCSRを進めるための具体的な国の施策としては、どこまで自社の取り組み
が進んでいるか企業が自主点検できる材料を開発すること、表彰基準や好事例の情報の提供を行うことなどが想定されています。

CSRはあくまで企業の自発性に基づいて進められるものですが、それぞれの企業が、社会的公器としての認識を深め、多種多様な取り組みを積み重ねていくことで、「人」の観点からも持続可能な社会が形成されていくことが期待されます。


外国人研修・技能実習制度をめぐるトラブル

◆制度の概要は?

発展途上国への技術移転を本来の目的として、日本企業が外国人を一定期間受け入れる制度があります。日本における研修生の受け入れは、多くの日本企業が海外に進出するようになった1960年代後半から実施されており、1990年には従来の研修制度を改正し、より幅広い分野における研修生の受け入れが可能となりました。

具体的には、1年間の研修期間と、2年間の技能実習の2段階があり、最長で3年間働きながら学ぶことができます。

2006年に来日した外国人は9万人を超えており、そのうち、8割超は中国人だそうです。

◆多発するトラブルと国の対応

1年目の研修中は雇用契約がないため、労働諸法令が適用されず、企業が最低賃金を下回る金額で働かせるなどといったトラブルが多発しているようです。

政府は、今後、実習指導員の配置や帰国前の技能評価を義務付けるほか、1年目の研修生についても労働法令の適用対象としていく見込みです。また、研修期間を廃止し、雇用契約を当初からの3年とすることも検討しており、不正行為をした企業への罰則も強化し、外国人の新規受け入れ停止期間を3年から5年に延ばすとしています。


派遣労働者の労災事故が増加している!

◆労災事故の内容

派遣労働者の労働災害事故が急増していることが、東京都内の派遣業者を対象とした東京労働局による調査で明らかになりました。前年に比べ5割近くも増加しています。

2006年の同局管轄の死亡災害は99人(前年比15人増)で、怪我は10,078人(同169人増)でした。このうち、派遣労働者の死亡災害は2人(前年ゼロ)、怪我は401人(同268人)で49.6%増となりました。

死亡した2件の労災は、造園事業に派遣され、マンションの樹木の剪定作業中にはしごからコンクリートの路上に落下したケースと、事務職の派遣で、外階段を移動中に突風を受けて転落したケースでした。

怪我では、機械に挟まれたり、転落したりしたケースなどが多く、また腰痛やプレス作業中に左手をはさまれるといった、経験と安全教育不足からくる事故が目立っているようです。

◆今後の対応策

東京労働局では、今後、派遣社員に対する安全教育を図るよう企業に呼びかける予定だそうです。派遣労働者の労働組合「派遣ユニオン」は、「派遣業者が安全衛生教育を何とかしない限り被災は増え続けるであろう」と見ています。

景気の回復や労働者の高齢化により、企業の労働環境が改善されつつあるといわれる昨今ではありますが、派遣労働者は、ノウハウや経験不足から労働集約的な仕事しか任されないことが多く、また、正社員と比べても企業が教育に費やす費用は明らかに少ないとみられています。

正社員雇用が増加している現在の日本の雇用情勢。今後、派遣労働者はどういった位置付けになっていくのかまだまだ未知だといえるでしょう。


運行管理者に対する規制が強化されます

◆悪質行為の取締まり基準強化 

国土交通省は、飲酒運転などの問題が相次いでいることから、タクシーやバス会社などの運行管理者が、運転手の悪質な行為を容認した場合などについて、管理者資格を直ちに取り消すことができるよう、資格返納命令の発令基準を今年の7月から改正するそうです。

これまでは、違反行為を繰り返し、運転手への監督や指導が不十分と判断された場合などに限って資格返納命令を出していたものを、より強化していきます。

◆返納命令が出せるケース

以下のような場合、直ちに資格の返納命令が出せるようになります。

1.管理者が運転手に飲酒運転、無免許、薬物使用などの悪質行為をさせたり、容認したりした場合
2.管理者自身が事業用車両で飲酒運転などを行った場合
3.管理者が運転手への点呼をまったくしていなかった場合
4.安全確保に関する違反行為を隠ぺいしていた場合

◆貸し切りバスに対する安全対策

また、今年2月に大阪府吹田市でスキー客ら27人が死傷したバス事故を受け、貸し切りバスへの安全対策も実施します。

目的地での運転手の睡眠施設の確保を義務化し、運輸局の監査などで確認できるように、バス事業者が作成する運行指示書に施設名を記入させる方針で、今年の夏ごろに省令を改正する方針です。

また、警察庁は、今通常国会に飲酒運転の罰則引上げなどを盛り込んだ道路交通法改正案を提出しています。


裁判外紛争解決手続(ADR)の時代が到来!?

◆「ADR」とはどんなものか?

裁判外紛争解決手続(ADR)は、裁判によらない紛争解決手段(仲裁、調停、あっせん等)を広く指すものであり、厳格な手続きによってすすめられる裁判と比較すると、「柔軟な対応」、「迅速な解決」に特徴があるといえます。

ADRは「訴訟手続によらず民事上の紛争を解決しようとする紛争当事者のため、公正な第三者が関与して、その解決手続を図る手続」などと定義され、「司法型ADR」、「行政型ADR」、「民間型ADR」に分類されます。

労働分野の代表的な「行政型ADR」には、都道府県労働局で行われる「あっせん」の制度があります。

<ADR機関の例>
・司法型……民事調停、家事調停
・行政型……公害等調整委員会、中央労働委員会、国税不服審判所
・民間型……財団法人交通事故紛争処理センター、弁護士会仲裁・あっせんセンター

◆4月1日から「ADR法」が施行

4月1日から、「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」(いわゆる「ADR法」)が施行されました。この法律の目的は、「紛争の当事者がその解決を図るのにふさわしい手続を選択することを容易にし、もって国民の権利利益の適切な実現に資すること」(同法1条)とされています。

ADR法の施行で定められた「認証制度」(一定の要件に適合した民間事業者を法務大臣が認証する制度)により、これまで十分に機能しているものばかりとはいえなかった「民間型ADR」の充実・活用が期待されています。
 

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