改正パートタイム労働法(平成19年5月成立 平成20年4月施行)の概要 法令条文 改正経緯

◆ 改正パートタイム労働法(平成19年5月)の概要 ◆

政府の再チャレンジ支援策の一環である「改正パートタイム労働法」が5月25日成立しました。一部を除き、平成20年4月1日より施行されます。

★改正のポイント解説
⇒ パートタイム労働法が変わります 平成20年4月施行

今回の改正では、業務内容が正社員と同程度のパートタイム労働者については、給与などの面での差別的待遇を禁止し、正社員と平等な扱いを事業主に義務付けています。

具体的には、1.職務内容や責任、勤務時間の長さが正社員とほぼ同じ、2.契約更新の繰り返しがあり雇用期間が限定されていない、などの条件を満たすパートタイム労働者については、賃金や教育訓練、福利厚生などの待遇面で正社員との差別を禁止しました。

また、パートタイム労働者を雇用する企業に対しては、パートタイム労働者が正社員になるための応募の機会を設けるなど、正社員への転換の機会を義務付け、また、対象外となるパートタイム労働者にも正社員と均衡の取れた待遇を確保するよう努力義務を課しています。

改正パートタイム労働法の概要

(1) 法律の目的として、適正な労働条件の確保等のほか「通常の労働者への転換の推進」をうたい、「通常の労働者との均衡のとれた待遇の確保等を図ることを通じて」福祉の増進、社会経済の発展に寄与するものへと改正を図った(1条)

(2) 労働条件の文書交付義務(労基法15条の事項に加え、特定事項-昇給、賞与、退職金の有無-の明示を義務付けた)(6条1項)

(3) 「業務の内容及び責任の程度が通常の労働者と同一の短時間労働者」であり、かつ、「期間の定めのない雇用契約」者のうち、事業場慣行からみて、雇用の全期間おいて、業務の内容・責任の程度・配置が通常の労働者と同視すべき短時間労働者については、「賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について差別的取扱いをしてはならない。」(8条1項)

(4) 「業務の内容及び責任の程度が通常の労働者と同一の短時間労働者」に対しては、通常の労働者と同様の教育訓練を実施する義務(10条1項)

(5) 福利厚生施設(給食施設、休憩施設及び更衣室)の利用について、通常労働者と同様の機会を与えるように配慮しなければならない(11条)

(6) 通常の労働者への転換のための選択的措置義務(12条)

(7) 短時間労働者の求めがあったときは待遇の決定経緯(考慮した事項)について説明する義務(13条)

なお法改正に伴い、パートタイム労働指針については、今回、現行指針から法律上措置されたたもの(教育訓練の実施、福利厚生施設の利用など)を削除し、また、他の労働関係法令に規定があるもの(労働条件の明示、年次有給休暇、有期労働契約、解雇の予告、健康診断、妊娠中・出産後の措置、育児・介護休業、雇用保険の適用など)については、指針上に個別規定を置かず、関係法令の適用・遵守を確認する予定です。

□厚生労働省: パートタイム労働法の一部改正の概要
⇒ http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/tp0605-1a.html
□総務省法令集: 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律
(最終改正平成19年4月23日)⇒ http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H05/H05HO076.html


◆ パートタイム労働指針の改正(平成15年8月)の概要 ◆

「パートタイム労働指針(事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針)」が平成15年8月25日に改正され、平成15年10月1日に適用されました。

改正パートタイム労働指針の概要

(1)事業主が、パートタイム労働者の雇用管理の改善等のための措置を講ずる際の就業の実態、均衡等を考慮して処遇するとの基本的考え方を具体的に示しました。

職務が通常の労働者と同じであり、人材活用の仕組みや運用等も通常の労働者と実質的に異ならないパートタイム労働者については、同一の処遇決定方式等により均衡の確保を図るように努めるものとすること(同一の処遇決定方式:例えば同じ賃金表を適用する、賃金の支給、査定や考課の基準を合わせることである)

職務は通常の労働者と同じであるが、人材活用の仕組みや運用等が通常の労働者と異なるパートタイム労働者については、意欲、能力、経験、成果等に応じた処遇に係る措置等を講ずることにより、均衡を図るように努めるものとすること

(2)事業主に対し、(1)の基本的考え方に立って、雇用管理の改善等のための措置を講ずることを求めることとしますが、新たに以下の措置を講ずるよう努めることを示しました。

【通常の労働者への転換に関する条件の整備】

○ 職務の内容、意欲、能力、経験、成果等に応じた処遇に係る措置の実施
○ 労使の話合いの促進のための措置の実施
○ パートタイム労働者の求めに応じた処遇についての説明
○ パートタイム労働者の意見を聴く機会を設けるための適当な方法の工夫
○ 事業所内の苦情処理の仕組みの活用等苦情の自主的な解決

□大阪労働局: パートタイム労働指針のポイント
⇒ http://osaka-rodo.go.jp/joken/kinto/part.php
□厚生労働省: 改正パートタイム労働指針のポイント
⇒ http://www.mhlw.go.jp/topics/2004/bukyoku/koyou-l/10.html


◆ パートタイム労働法(平成5年6月)の概要 ◆

パートタイム労働が、我が国の経済社会で重要な役割を果たしていることから、パートタイム労働者の福祉の増進を図ることを目的として「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(いわゆるパートタイム労働法)が平成5年6月11日に成立し、同年12月1日から施行されました。

この法律の目的(第1条)
○この法律は、短時間労働者について、その適正な労働条件の確保及び教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善に関する措置、職業能力の開発及び向上に関する措置などを講ずることによって、短時間労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、短時間労働者の福祉を増進しようというものです。

この法律の対象となる労働者(第2条)
○この法律の対象となる短時間労働者は、1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者です。

事業主等の責務(第3条)
○事業主は、その雇用する短時間労働者について、その就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して、適正な労働条件の確保及び教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善(以下「雇用管理の改善等」という。)を図るために必要な措置を講じ、当該短時間労働者がその有する能力を有効に発揮することができるように努めなければなりません。
○事業主の団体は、その構成員である事業主の雇用する短時間労働者の雇用管理の改善等に関し、必要な助言、協力その他の援助を行うように努めなければなりません。

短時間労働者対策基本方針(第5条)
○厚生労働大臣は、短時間労働者の雇用管理の改善等の促進、職業能力の開発及び向上等に関する施策の基本となるべき方針を定めるものとしています。
○基本方針に定める事項は、次のとおりです。
・短時間労働者の職業生活の動向に関する事項
・短時間労働者の雇用管理の改善等を促進し、並びにその職業能力の開発及び向上を図るために講じようとする施策の基本となるべき事項

事業主が講ずべき雇用管理の改善等に関する措置

(1)労働条件に関する文書の交付(第6条)
事業主は、短時間労働者を雇い入れたときは、速やかに、当該短時間労働者に対して、労働時間その他の労働条件に関する事項(労働基準法第15条第1項に規定する命令で定める事項を除く。)を明らかにした文書を交付するように努めなければなりません。

(2)就業規則の作成の手続(第7条)
事業主は、短時間労働者に係る事項について就業規則を作成し、又は変更しようとするときは、当該事業所において雇用する短時間労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めなければなりません。

(3)指針(第8条)
厚生労働大臣は、(1)、(2)のほか、事業主が講ずべき雇用管理の改善等のための措置に関し、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を定め、これを公表するものとしています。

(4)短時間雇用管理者の選任(第9条)
事業主は、短時間労働者を常時労働省令で定める数以上雇用する事業所ごとに、指針に定める事項その他の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する事項を管理する短時間雇用管理者を選任するように努めなければなりません。

(5)報告の徴収並びに助言、指導及び勧告(第10条)
厚生労働大臣は、短時間労働者の雇用管理の改善等を図るために必要と認めるときは、事業主に対して、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができます。
前項に定める厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、その一部を都道府県労働局長に委任することができます。

職業能力の開発及び向上等に関する措置

(1)職業訓練の実施等(第11条)
国、都道府県及び独立行政法人雇用・能力開発機構は、短時間労働者及び短時間労働者になろうとする者がその職業能力の開発及び向上を図ることを促進するため、職業能力の開発及び向上に関する啓もう宣伝を行うよう努めるとともに職業訓練の実施について特別な配慮をするものとしています。

(2)職業紹介の充実等(第12条)
国は、短時間労働者になろうとする者がその適性、能力、経験、技能の程度等にふさわしい職業を選択し、及び職業に適応することを容易にするため、雇用情報の提供、職業指導及び職業紹介の充実等必要な措置を講ずるように努めるものとしています。

□厚生労働省: パートタイム労働法のあらまし(事業者向け関連制度の解説)
⇒ http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/parttime1.html