「日雇い派遣」の規制が強化されます(08年2月号)

「日雇い派遣」の規制が強化されます

◆派遣法に基づく事業停止命令

大手日雇い派遣の企業が、偽装請負の状態で、都内の港湾地区に派遣した男性を労働者派遣法で禁止されている港湾での荷物の積み下ろし作業に従事させていたことが判明しました。同社が労働者派遣法で禁止されている港湾業への派遣などの行為を繰り返していたとして、厚生労働省は、労働者派遣法に基づく事業停止命令を出しました。

◆料金や条件明示を徹底

厚生労働省は、「労働者保護が不十分」との指摘が出ている日雇い派遣制度を2008年度中にも見直し、規制を強化する方針を固めました。派遣先企業が支払う料金を公開させることにより派遣会社が極端に多額の手数料を取ることを防止し、業務内容など労働条件の事前明示を徹底することが柱です。

日雇い派遣は、派遣会社と1日単位の雇用契約を繰り返し、条件も契約ごとに変わる仕組みで、同省は派遣先企業が支払う料金が公開されれば、労働者が派遣会社に賃金の引上げを要求しやすくなるとみています。また、業務内容が明示されていれば、派遣労働者が過酷な契約を避けることが可能になり、労働条件の改善につながると期待しています。

◆派遣労働の規制緩和は見送り

労働政策審議会は、2007年12月に派遣労働に関する中間報告をまとめ、規制緩和の早期実施の見送りを決めました。派遣労働力を効率的に活用したいという企業や規制改革会議の要望は退けられた形になりました。厚生労働省は規制緩和を盛り込んだ労働者派遣法改正案の2008年の通常国会への提出を断念しましたが、一方で、日雇い派遣は規制を強化する方針を正式に決定しました。

政府は当初、柔軟な働き方を広げるため、規制緩和に前向きでした。規制改革会議などでの議論を踏まえて受け入れ企業が採用前に直接面接する「事前面接」の解禁や、派遣社員を一定期間以上雇うと派遣先企業が直接雇入れを申し出なければならないという「直接雇用義務」の撤廃などの方向を打ち出していました。

働いても生活保護水準以下の収入しか得られない「ワーキング・プア」の問題などが表面化し、「不安定な派遣労働者には規制強化が必要」という労働者側の意見が勢いを増しました。労働者派遣は徐々に規制が緩和されてきましたが、労働者保護のための派遣期間や業種などに制限が残ります。

「規制が逆に派遣の雇用を不安定にしている」との批判もあります。厚生労働省は大学教授ら有識者5〜6人で組織する研究会を立ち上げ議論の打開を目指す考えで、今年はじめに研究会の第1回会合を開き、来夏をメドに報告書をまとめ、労働政策審議会で再度議論する予定です。

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■労働者派遣事業・職業紹介事業等 情報案内(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/haken-shoukai.html
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■労働者派遣法施行規則が改正されます(08年2月28日 厚生労働省)

「緊急違法派遣一掃プラン」の実施について
日雇派遣指針・省令改正パンフレット
日雇派遣指針の概要、労働者派遣法施行規則改正の概要、他

⇒ http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/02/h0228-1.html

日雇派遣指針・労働者派遣法施行規則改正について
平成20年2月28日から労働者派遣事業報告書が改正されます
⇒ http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/haken-shoukai.html

●日雇い派遣の指針案などが諮問・答申される(08年1月28日 労働調査会)
〜新指針の適用は20年4月1日〜


厚生労働省は1月28日、日雇い派遣労働者の保護を目的とした新たな指針案要綱などを労働政策審議会に諮問した。諮問を受けた同審議会は、これを同審議会職業安定分科会で検討した結果、諮問案をおおむね妥当と認める答申をとりまとめ、同日、舛添厚労相に提出した。

今回、諮問・答申されたのは、(1)「日雇派遣労働者の雇用の安定等を図るために派遣元事業主及び派遣先が講ずべき措置に関する指針案要綱」、(2)「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針の一部を改正する告示案要綱」、(3)「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」−の3本。

このうち、(1)の指針は、現行の派遣元指針及び派遣先指針で規定されている内容から、日雇い派遣で働く派遣労働者の雇用の安定を図るために、特に必要な事項を抜き出して新たな指針にまとめたもの。

その中には、(1)雇用期間をできるだけ長くするよう必要な配慮を行う、(2)派遣元は、派遣先を定期的に巡回するなどにより、日雇い派遣労働者から派遣先での就業状況が派遣契約に違反していないかどうか確認する、(3)派遣先は、一派遣契約について少なくとも1回以上の頻度で就業場所を巡回する、(4)派遣元は、日雇い派遣労働者が雇用保険の日雇労働被保険者、健康保険の日雇特例被保険者に該当する場合は、印紙の貼付等の手続きを適切に行うこと−など、現行の派遣元指針、派遣先指針にはない新たな事項が盛り込まれている。

また、上記(3)の省令案要綱には、日雇い派遣についても派遣先管理責任者の選任や派遣先管理台帳の作成を義務づけることのほか、派遣元が毎事業年度終了後に行う事業報告書の記載事項に、日雇い派遣の実績などに関する事項を追加することなどが盛り込まれている。

なお、これら改正省令及び指針の施行・適用は、平成20年4月1日となっている。

●厚労省審議会、日雇い派遣規制へ新指針…効果に疑問の声も(1月25日 読売)

日雇い派遣の規制強化のために厚生労働省が検討していた新指針と省令改正案が25日、厚労相の諮問機関である労働政策審議会の部会で了承された。

いずれも4月から施行の予定。労働時間や賃金など労働条件を労働者に書面で示すことや、派遣料金や派遣実績の情報公開を派遣元に求めたほか、派遣先にも就業場所の定期的な巡回や管理台帳の作成を求めているが、指針に罰則はなく、効果を疑問視する声も出ている。

日雇い派遣をめぐっては、「フルキャスト」や「グッドウィル」で違法派遣が繰り返されていたことなどから、同審議会で労働者派遣法の見直しについて議論していた。しかし、さらなる規制緩和を求める経営側と、日雇い派遣の禁止を求める労働側との溝が埋まらず、昨年12月には同法改正の先送りが決定。日雇い派遣の規制強化についてのみ、省令改正や新指針で対応することを決めていた。

指針では、二重派遣や禁止業務への就業を防ぐために、派遣元と派遣先の双方が就業場所を巡回し、特に派遣元には、就業状況を労働者から確認することを求めている。また、違法な天引きが横行していたことから、福利厚生施設の費用など使途が明白で適正な労使協定が締結された場合に限り、控除を認めるとした。

省令改正案では、これまで派遣期間が1日を超えない場合には必要とされなかった派遣先管理台帳について、日雇い派遣や短時間の派遣の場合でも作成することを義務づけた。

しかし、新指針については、特に労働側から不満の声が上がっている。審議会の議論でも、労働側委員から「指針ではなく、法改正で規制しないと効果が期待できない」といった声が相次いだ。

また、社団法人日本人材派遣協会(東京都)は「指針の中身は大半の企業がすでにやっていること。施行されてもあまり変わらない」としている。

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