リース会計の基準の改正が企業に及ぼす影響は?
 
平成19年度の税制改正で、新しいリース取引に係る税務上の取扱いが規定されました。これにより、平成20年4月1日以降、リースに関する会計基準が変更になります。
 
この改正は、一般報道等ではあまり注目されていません。ところが、今後の企業経営に大きく影響する可能性があるようです。
 
◆リース会計基準改正が持つ意味
 
リース取引は、中途解約ができる「オペレーティング・リース取引」と、中途解約できない「ファイナンス・リース取引」に分類されます。さらに後者は、いずれ所有権が移転する「所有権移転ファイナンス・リース」と、移転しない「所有権移転外ファイナンス・リース」に分けられます。
 
どちらのファイナンス・リースも、固定資産を購入したときと同様に、貸借対照表にリース資産とリース債務を計上し、損益計算書では減価償却費と支払い利息相当額を費用として落とす、いわゆる売買処理が原則的な処理方法になります。
 
ところが、現行、所有権移転外ファイナンス・リースにおいては、原則の売買処理のほかに、例外処理として賃貸借処理が認められています。この例外処理は日本国内では非常に多く利用され、とても“例外”と呼べる状況ではないのです。この処理は、「投資家等から財務状況が見にくい」「違う会計基準を採用していることにより、財務諸表の比較がしにくい」「国際的には所有権移転外ファイナンス・リースについては売買処理を行っており、国際的な比較がしにくい」など、多くの問題点が指摘されていました。
 
そこで、今回の改正により、この例外処理が廃止され、ファイナンス・リースについては、一律、売買処理が適用されることになるのです。
 
◆改正後の影響と対応策
 
リース取引の中でも、所有権移転外ファイナンス・リースは、「設備投資時に多額の資金を必要としない」「事務処理が簡単」などの理由から、日本国内では多く利用されています。しかし、今回の改正を受け、今後は貸借対照表上にリース資産・リース債務が計上されるため、自己資本比率の低下などが起こります。
 
また、リースにするか、借入金で購入するかは、財務諸表上での違いはほとんどなくなり、購入資金を銀行から借りるかリース会社から借りるか、といっただけの差になってしまうともいえます。企業としては、設備投資を行う際、貸借対照表に及ぼす影響や資金繰り、その他のリスク等を考慮したうえで、購入にするのか、リースにするのかを検討していかなくてはならないでしょう。
 
今後は、毎年引き上げられる社会保険料や、度々引き上げられる雇用保険料等ばかりではなく、今回のリース会計基準改正のような税制面の細かい改正も念頭に置いておかなくてはなりません。そのうえでの総合的な資産管理が、先を読む企業経営には必要なのかもしれません。

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