“成果主義”導入でリハビリの質向上を促す
この4月から、診療報酬に初めて“成果主義”が導入されます。対象となるのは、「回復期リハビリ病棟」(約3万6,000床)。患者の病状の改善度合いに応じて医療機関が受け取る報酬に差がつけられ、成果が上がっている病院では患者の入院費が高くなります。
病院にリハビリの質の向上を促すことで長期入院を減らし、結果として無駄な医療費を抑える狙いがあります。厚生労働省では、今後、同様の方式を他の分野にも広げていくことを検討するとしています。
◆成果主義導入の背景
現行では、医療の質は病院の施設面積・専門職数などにより外形的に判断され、基準以上であれば診療報酬に加算される方式となっています。治療結果は反映されていませんでした。
前述の「回復期リハビリ病棟」は、脳卒中などの後遺症を改善するために集中的にリハビリテーションを行うための病棟です。現行では、回復期リハビリ病棟の入院料は1日につき16,800円(現役世代の自己負担は原則3割)とされており、成果がなかなか上がらず入院が長期化しがちな病院でも、成果がすぐに出て早く退院できる病院でも、同じでした。
今後は、患者の回復度合いが高い病院の入院費は高くなり、低い病院は安くなります。これにより、各病棟のリハビリの質の向上が見込めるとされています。
◆成果主義導入後の入院料
1.在宅復帰率、2.重症度の高い患者の入院率、3.退院時と入院時での日常生活機能の改善率などを指標として、病棟ごとに患者の平均データをとり、一定の数値を満たした病棟には報酬を上乗せし、未達成なら現行より引き下げられます。
入院料が上がるのは、新規の入院者のうち15%以上が重症患者、退院者のうち他の病院に転院せず自宅に戻れた人が60%以上の病棟で、16,900円となります。一方、この条件に当てはまらない病棟の入院料は15,950円に下がります。入院料が上がる病棟のうち、患者の回復度合いが総じて高いと認められた病院に入院すると、入院費がさらに1日につき500円高くなり、17,400円となります。
これらは4月から実施されますが、10月までは現行基準の病院も残すとされています。