人事労務の最新ニュース(08年5月19日〜25日)

●労働者「融通」は8人止まり―建設業界に浸透せず(5月23日 労働)

厚生労働省が、平成17年にスタートさせた建設労働者の“送出制度”の利用が低迷している。送出に必要となる実施計画の認定を受けた業界団体は、これまでに3団体に留まり、実際に適用対象となった建設労働者もわずか8人となっている。一般労働者派遣事業より厳しい条件設定がネックとなっているが、建設現場での違法派遣が社会問題化しているため、利用拡大に向けた規制緩和は困難な状況という。

●半数で月100時間超の時間外―東京労働局調査(5月23日 労働)

1カ月100時間超の時間外・休日労働を行わせている企業が半数近くに上ることが、東京労働局(村木太郎局長)のアンケート調査で分かった。脳・心臓疾患の発症を懸念する企業割合も以前に比べ上昇し、全体の5割を超えている。同労働局では、労基署窓口における時間外・休日協定(36協定)届出時の指導を徹底するほか、特別条項付協定を提出した企業には自主点検を行わせるなど、長時間労働抑制対策を強化する意向だ。

●残業代求め審判申し立て 添乗員、みなし労働不当と(5月23日 共同通信)

阪急トラベルサポート(大阪市)に登録している派遣添乗員の女性が23日、細かい指示を受けてツアーに添乗しているのに、会社の指揮・監督が及ばないため所定労働時間働いたとみなす「事業場外みなし労働制」を適用し、残業代を支給しないのは不当だとして東京地裁に労働審判を申し立てた。

申し立てたのは東京都の大島由紀さん(43)。申立書によると、大島さんは昨年12月と今年1月に添乗した海外ツアー計19日間に残業した約85時間分、約20万円が支払われなかった。同社が作成した日程表や指示書に基づいて添乗し、詳細な行動を記した日報を提出しており、会社が労働時間を把握し監督することは可能と主張している。

大島さんとほかの添乗員の計9人は、会社に残業代の支払いを求めて東京地裁に提訴する準備も進めているという。

阪急トラベルサポートは「申立書を確認していないのでコメントは控えたい」としている

●労働相談、過去最多の19万件・「いじめ」増加(5月23日 日経)

労働者と企業の間のトラブルを迅速に解決することを目指す「個別労働紛争解決制度」に基づく2007年度の労働相談件数が、前年度比5.5%増の約19万7600件となり、過去最多を更新したことが厚生労働省の調査で分かった。パワーハラスメントなど職場内の「いじめ・嫌がらせ」に関する相談が同27.6%増と大幅に増加。派遣や契約社員などの相談も増えている。

内容別で最も多かったのは「解雇」で全体の22.8%。以下、「労働条件の引き下げ」12.5%、「いじめ・嫌がらせ」12.5%と続く。

●平成19年度個別労働紛争解決制度施行状況(5月23日 厚生労働省)
⇒ http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/05/h0523-3.html

●2008年 新社会人の意識調査(5月23日 マクロミル)

株式会社マクロミル(東京都港区)は、今春新たに社会人となった男女を対象に、「2008年 新社会人の意識調査」を実施いたしました。

□新社会人の約7割が、現在勤務している企業に「満足」している。
満足のポイントは、「職場の人間関係が良い(62%)」  「職場の雰囲気が自分に合う(58%)」
□新社会人は「失敗するのが怖い(67%)」、「指示をもらった方が動きやすい(66%)」
□理想の上司像は、「人格が尊敬できる人」が68%で最多。
次いで「仕事をよく 指導してくれる人(62%)」、「仕事の成果を正当に評価してくれる人(59%)」
詳細⇒ http://www.macromill.com/r_data/20080523freshman/index.html

●ストレスの原因、「勤務問題」が1位/内閣府調査(5月22日 労政機構)

内閣府は22日、「自殺対策に関する意識調査」結果を発表した。最近1カ月間にストレスが「ある」と答えた人にその原因をたずねたところ「勤務問題」が48.3%と最も多く、30歳代男性では80.6%にのぼる。仮にうつで仕事を休業する場合の支障を聞いたところ、「上司や同僚に迷惑をかける」(51.7%)、「職場復帰ができなくなる」(26.6%)などがあがった。
⇒ http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/survey/report/index.html

●過労自殺81人、最悪を更新 心の病、労災申請4年で倍、厚労省
 (5月23日 共同通信)


過労が原因でうつ病などの精神疾患にかかり自殺した(未遂を含む)として、2007年度に労災認定された人が前年度を15人上回る81人と、2年連続で過去最悪だったことが23日、厚生労働省のまとめで分かった。過労自殺を含む精神疾患全体の認定者は3割増。労災の申請は4年間で倍増、過労による脳・心臓疾患の申請者数を初めて上回り、2、30代の若手社員を中心に心の病が職場に広がっている実態が浮かんだ。

脳・心臓疾患で労災認定された人は1割増え、392人と過去最悪。うち死亡した人は142人だった。

集計によると、精神疾患の労災申請は952人で、前年度比16%増。03年度の447人から大幅に増えた。認定は268人で30%増え、いずれも過去最多。認定者の年代別では30代が37%、20代25%、40代23%の順で、若い世代が目立った。職種別では専門技術職が28%で最も多かった。

自殺で認定された81人のうち80人は男性。年代別では4、50代が50%を占め、2、30代は44%だった。

●脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況(5月23日 厚生労働省)
⇒ http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/05/h0523-2.html

●海外出張原因と労災認定/遺族が2審で逆転勝訴(5月22日 共同通信)

セイコーエプソン(長野県諏訪市)の海外事業担当社員だった犬飼敏彦さん=当時(41)=が、くも膜下出血で死亡したのは度重なる海外出張が原因として、妻洋子さん(51)が労災認定を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は22日、請求を棄却した1審長野地裁判決を取り消し、労災と認めた。

青柳馨裁判長は、労働時間や業務の過重性は否定したが、犬飼さんが約10カ月間に米国や中国など5カ国に計10回、計183日の海外出張をしていたことを指摘。「多数回にわたる海外出張で長時間の移動を強いられ、生活が不規則となり、精神的、肉体的に疲労を蓄積したことは明らか。発症と業務には因果関係がある」と判断した。

遺族の弁護士は「労働時間が長くないケースで、業務との因果関係が認められるのは珍しい」と評価している。

判決によると、犬飼さんは2000年11月から品質向上や海外での技術指導を担当。01年10月、国内出張先の東京都内のホテルで死亡した。死亡直前の同年8月からほぼ連続して計39日間、フィリピンやインドネシアに出張していた。

国の過労死の基準では、死亡前の半年間の時間外労働が月45時間を超えると関連が強いとされるが、犬飼さんの死亡前の時間外労働は毎月30時間未満だった。

松本労働基準監督署は02年7月、洋子さんの請求を認めず、1審も「多数回の海外出張はしているが、長時間の時間外労働は認められない」と退けていた。

●「後期高齢者」保険料の負担増分、低所得者に還付方針(5月22日 読売)

政府・与党は22日、75歳以上を対象とした後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の導入で保険料の負担が増えた低所得の加入者に対する激変緩和措置として、本人の申し出があれば負担の増額分を還付する方針を固めた。

還付を認める加入者は、年間収入が国民年金モデル額(約80万円)以下の低所得者を対象とする方向だ。同制度の運営主体である都道府県の広域連合に計数百億円の交付金を支給し、還付に充てる財源とする考えだ。還付をいつまで続けるかは、今後、調整する。

同制度の根拠である高齢者医療確保法の改正が必要なく、広域連合が決めた条例上の「特別な事情」に該当すると解釈することで対応できる即効性がある。

●「知財戦略コンサルティング活用事例集」のご案内(5月22日 関東経済産業局)

関東経済産業局特許室では、知財戦略コンサルティングをわかりやすく紹介した新しい事例集「知財戦略コンサルティング活用事例集〜専門家との協働で実践する知的財産経営〜」をとりまとめました。本書の事例を読めば、企業経営に対する知的財産戦略の意義や、専門家と共に知的財産経営を実践していくためのポイントが具体的に理解できるでしょう。
⇒ http://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/tokkyo/20080520consuljireisyu.html

●岩崎電気、全社員に知財研修・特許取得を倍増へ(5月22日 日経産業)

岩崎電気は2008年度内をめどに、全社員を対象に知的財産権に関する知識の習得を目的とした研修を開く。次世代技術として発光ダイオード(LED)の需要が増えるなど、照明市場は拡大が見込まれている。反面、異業種からの新規参入も予想され、技術を囲い込む重要性が高まっている。知財戦略を強化する一環として、研究者だけではなく社員全員の啓発が必要と判断した。

4月に役員向けに知的財産に関する研修を実施しており、今後は対象を全社員に広げて受講を義務づける。同社が契約している弁護士、弁理士や社内の知的財産部の社員らが講師を務める。

●すかいらーく、店長独立でFC展開(5月22日 日経)

ファミリーレストラン最大手のすかいらーくは来年1月から、店長を務めるベテラン社員を独立させ、フランチャイズチェーン(FC)店を持たせる仕組みをつくる。5年後をメドに既存店全体の2割強に当たる1000ほどをFC店に切り替える。売り上げに直結する報酬体系にして有能な人材をつなぎ留める。社外から加盟店を募る方式のFCが一般的ななか、社員への「のれん分け」でのFC展開は珍しい。

管理職を理由に店長らに残業代を払っていなかった日本マクドナルドが、東京地裁から支払いを命じられたことをきっかけに、流通業界の間で店長らの処遇を見直す動きが広がっている。すかいらーくも店長ら管理職に残業代を払っておらず、店長らの処遇改善策の検討を進めていた。

●競争力、働きやすさの両立難しく 「残業代に上限」なお多く(5月22日 産経)

トヨタ自動車が残業代の上限を撤廃する「QC(品質管理)サークル」活動。「現場発」でものごとを提案し、品質やチームワークの向上につなげるこの取り組みはトヨタだけでなく、日本のものづくりの根幹を支えてきた。しかし、一部のQC活動はサービス残業という労働者の負担の上に成り立ってきたことも事実。トヨタの方針転換は、日本の会社が「競争力の強化」と「社員の働きやすさ」の両立を見直す契機になりそうだ。

「QC活動については奨励しており、一部(月2時間まで)を業務扱いとしてきたが、6月から業務扱いの部分を拡大する」(幹部)というトヨタ。実は、多くの大手製造業がトヨタと同様、残業代に上限を設けているとされる。

ホンダはQC活動について、上限ではなく月4時間の「目安」を設けている。「残業する際は事前に計画書を作り、4時間を超える場合は上司と話し合うようにしている」という。

残業代に上限を設けない企業も多い。日産自動車はQC活動を時間外労働として認めて残業代を支給。日立製作所や東芝、キヤノンなど電機メーカーも残業代に上限がない。ただ、こうした企業の多くは「業務改善につながると上司が判断した場合」という条件付き。QCが業務なのか自主活動なのかという線引きの難しさは残る。

非製造業では日本マクドナルドが店長に残業代を支払うことを決めたばかりだが、サービス残業への批判はなお根強い。「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」が叫ばれて久しいが、労働者と産業界の双方が納得できる「理想の働き方」はいまだに手探り状態だ。

●トヨタ:「カイゼン」に残業代全額支払いへ(5月22日 毎日)

トヨタ自動車は、生産現場などの従業員が勤務時間外にグループで取り組む「QC(品質管理)サークル活動」について、6月から残業代を全額支払うことを決めた。これまで月2時間までとしていた上限を撤廃する。QCサークル活動は生産効率を上げる取り組みとして製造業で広く採用されているが、「自主的な活動」と位置付けられ、サービス残業との指摘もあった。業務と認めるトヨタの方針転換は、他の製造業にも影響を与えそうだ。

トヨタのQCサークル活動は、生産現場の従業員が職場単位で約10人のチームを組み、不良品の削減や安全策などのテーマを決め、「カイゼン」策を考える取り組み。従業員のアイデアを引き出すとともに、改善力やチームワークを養う場として64年から実施。国内に約5000サークルある。勤務時間外に自主的な活動として行われている。

現在、QCサークル活動を支援するため月2時間に限り、残業代を支給している。しかし、活動内容が人事評価の対象になっているほか、昨年12月には、愛知県豊田市にある堤工場の元男性従業員(当時30歳)の過労死認定訴訟で、名古屋地裁がQCサークル活動を「使用者の指揮命令下における業務」と認定した判決が確定した。

こうした動きを受けてトヨタは、自主的な活動と業務の線引きは難しいと判断した。6月から上司に申請したうえで、会社内で行うQCサークル活動について業務と認める。

QCサークル活動では近年、資料作りや発表の練習など「活動のための活動」が増える傾向があった。活動を明確に業務と認定することで、カイゼンや人材育成といった効果を高めたい考え。コスト削減の徹底を図る中で、人件費のアップにつながるが、渡辺捷昭社長は22日朝、報道陣に「人件費増より、カイゼンの効果の方が高い」と話した。【鈴木泰広、中井正裕】

◇ カイゼン
徹底して無駄を省く「トヨタ生産方式」の基本的な考え方。一般的な「改善」とは区別して使われ、作業手順の効率化などのアイデアを現場から提案するなど、社員全員が参加してボトムアップで行う。そのための手法の一つがQCサークル活動で、QCはクオリティー・コントロール(品質管理)の略。トヨタの強さの源泉として知られ、欧米の製造業にも広く普及している。

●ねんきん特別便、会社員向けに企業経由で配布・社保庁(5月21日 日経)

社会保険庁は21日、6月23日から現役の会社員などに送付を始める「ねんきん特別便」のうち、55.7%に相当する2200万通は企業経由で配布すると発表した。大企業を中心に全事業所の22.3%が配布に協力すると回答したため。社保庁が段ボール箱などにつめてまとめて企業に送り、各事業所が社内便などで本人の手元に届ける。

中小企業では事務負担を嫌って社保庁の協力要請を拒む事業所も多く、こうした企業の社員には直接自宅に郵送する。その場合、本人が転居しているような場合は届かない可能性もある。

●改正介護保険法が成立・不正防止へ規制強化(5月21日 日経)

訪問介護大手コムスンの不正問題を受け、事業者規制の強化策を盛り込んだ改正介護保険法は21日午前の参院本会議で全会一致で可決、成立した。周知期間を経て来年施行する。

同法は組織的な不正行為が疑われる場合は国や自治体が事業所の本部に立ち入り検査し、是正を勧告・命令できるようにするのが柱。介護事業から撤退する場合も利用者がサービスを引き続き受けられるように事業者が必要な対策を実施することも義務付けた。

●介護労働者処遇改善法が成立(5月21日 日経)

介護現場の深刻な人手不足の解消に向け2009年4月までに介護労働者の賃金引き上げなどの処遇改善策を検討し、必要な措置を講じると定めた介護従事者処遇改善法が21日午前の参院本会議で全会一致で可決、成立した。月内にも施行する。

同法は介護事業者の収入となる介護報酬の09年度改定での引き上げを政府に促すことを主目的に超党派で取りまとめた議員立法。成立を受け、自民党は具体的な処遇改善策を8月までにまとめる方針だ.

●仕事・役割・貢献度を基軸とした賃金制度の構築・運用に向けて
 (5月20日 日本経団連)


賃金制度の設計にあたっては、「企業戦略との整合性」「公正性」という2つの視点を重視するよう提唱したうえで、具体的な賃金体系のあり方を示している。
⇒ http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2008/029.html

■今後の賃金制度における基本的な考え方(日本経団連)
― 従業員のモチベーションを高める賃金制度の構築に向けて ―
⇒ http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2007/039.html

●「企業の採用と教育に関するアンケート調査」結果(5月20日 経済同友会)

教育研修費は5年前より「増加している」企業が62.3%と前回調査(2006年)より6ポイント上昇。2003年調査と比べると27.6ポイントも増加している。費用を「全額会社負担」とする企業は86.3%だが、今後の見込みを尋ねると73.6%に減少する。
⇒ http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2008/080520a.html

●「今後の仕事と家庭の両立支援に関する調査」結果(5月20日 厚生労働省)

・法律を上回る育児休業制度導入企業は、全体では4社に1社。
・短時間勤務制度の対象者やニーズが少ないと考える未導入企業でも、当該企業の従業員は制度を利用したいと考えている。
・育児休業制度や短時間勤務制度を利用したいという男性は3割を超える。
・企業が思うほど、従業員は育児休業制度や育児のための短時間勤務制度の内容を認知していない。
詳細⇒ http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/05/h0520-1.html

■日本マクドナルド【新報酬制度の導入、及び労務管理体制の整備に関するお知らせ】(08年5月20日)
プレス発表全文⇒ http://www.mcd-holdings.co.jp/news/2008/release-080520.html

―主な改定点―
(1)成果を反映させた、公正な報酬制度の導入
(2)残業を含め労働時間をより明確化にした労務管理と残業手当の支払い
(3)労務監査室の設置

●日本マクドナルド:残業代支給へ 「名ばかり管理職」で新制度、職務給廃止
 (08年5月20日 毎日)


◇総人件費変わらず

外食大手の日本マクドナルドは20日、管理職扱いで時間外手当(残業代)を払ってこなかった直営店の店長約2000人に、8月1日から残業代を支払う新報酬制度を導入すると発表した。店長など管理職の肩書が付くだけで残業代などが支払われない「名ばかり管理職」の問題は、制度上解消されることになる。

現行制度では店長は管理職扱いで、基本給に店長手当などの職務給、業績による成果給を加えた報酬が支払われているが、残業代は払われていなかった。新報酬制度では職務給を廃止し、従来と同額の基本給に加え、成果給と時間外労働手当(残業代)を支払う。総人件費に増減はないという。さらに、この制度を店長の上司にあたるエリア営業管理職数百人にも適用する。

「名ばかり管理職」問題を巡っては、同社の店長や元店長が「管理職扱いされ時間外手当を支払われないのは違法」として未払い残業代や慰謝料などの支払いを求めて相次ぎ提訴。東京地裁は今年1月、「未払いは違法」として755万円の支払いを命じた。同社はこれを不服として控訴したが、企業イメージの低下を避けるため、新制度導入に踏み切ることにしたとみられる。

会見で原田泳幸(えいこう)会長兼社長は「報酬制度見直しは訴訟とは関係ない」と控訴を取り下げない意向を表明。労務管理強化に向け、労務監査室を新設し、現在平均18・3時間の残業時間をゼロにする方針を示した。原田会長兼社長は「日本には遅くまで働くことを『頑張っている』と評価する文化があるが、社内から意識改革したい」と話した。【望月麻紀】

◇「サービス残業ますます増える」「プライド持てる扱いを」――不安、不満口々に

日本マクドナルドの労務制度変更に、店長らが加盟する労組は、残業代支払いを評価しながら、不安と不満も口にした。

労組の若松淳志書記長は「サービス残業がますます増えるのではないか」と指摘する。会見で原田社長は「店長の残業時間は4月時点で(月に)18.3時間」と数字を挙げ、「業績を上げている店長ほど残業が少ない」と断言した。

これに対し若松書記長は「人手不足が進んでおり、アルバイトが足りない時間は店長がやらざるを得ない。そのまま残業時間として報告すれば能力がないとされる。圧力の中で、正確な労働時間を申告できない人が多いのが実態だ」と話した。

別の30代の店長は「残業代が出るといっても、職務給がなくなるのでは納得できない。必死で24時間営業を支えている。管理職のプライドと社長は言っていたが、それならプライドの持てる扱いをしてほしい」と訴えた。

◇弁護士「効果期待できぬ」

残業代の支払いを求めて裁判を闘っている店長の高野広志さんの代理人、棗(なつめ)一郎弁護士は「今回のような、職務給を丸々残業代に付け替える方法では賃金低下を招きかねず、労働条件の不利益な変更に当たる可能性がある。残業時間の抑制を掲げているが、アルバイトや正社員の配置を厚くするとか、営業時間を短くするなどの具体的な方策は何も語られていない。効果は期待できない」と厳しい見方を示した。【東海林智】

●日本マクドナルド:管理職に残業代 イメージ悪化回避、他企業の制度変更促進へ
 (08年5月20日 毎日)


日本マクドナルドが「名ばかり管理職」に残業代の支払いを始めるのは、違法と判断された勤務制度を続けることによる企業イメージの悪化を避ける思惑もある。「名ばかり管理職」問題の発端となったマクドナルドの方針転換で、同様の制度を持つ他の企業でも勤務実態に合わせた制度変更が進みそうだ。

日本マクドナルドの原田泳幸(えいこう)会長兼社長は20日の会見で残業代支払いを決めたことについて「企業の信頼を向上させ、消費者らの理解を得るために決断した」と語り、問題の長期化による企業イメージの悪化を避ける狙いがあることを認めた。

東京地裁が1月、マクドナルドの勤務実態を違法と判断したことを受け、コンビニ最大手のセブン−イレブン・ジャパンや紳士服チェーンの青山商事、AOKIホールディングスなどが相次いで残業代の支払いや休日出勤手当の支給を決断した。現段階で残業代を支払っていない企業でも「労組との検討の場を近々に設ける」(すかいらーく)、「社長直轄プロジェクトで長時間労働させない仕組みづくりや他社の事例を参考に勤務の改善を検討する」(ロッテリア)などの動きも出始めた。

ただ、流通・外食業界は、消費低迷と原材料費高騰によるコスト増にあえいでいる。労働力不足の深刻化で、従業員の確保が一層難しくなれば、賃上げ圧力が高まる可能性もある。店舗の賃料代上昇など他のコスト増懸念で、値上げを探る動きも出てきそうで、企業イメージの改善と収益確保の間で、企業は難しい判断を迫られることになりそうだ。【小倉祥徳、田畑悦郎】

●「洋服の青山」店長が提訴/残業代など730万円請求(5月20日 共同通信)

権限や裁量がないのに残業代が支払われない「名ばかり管理職」にされているとして、紳士服店「洋服の青山」を展開する青山商事(広島県福山市)に対し、福島県内の男性店長が過去2年分の残業代など約730万円の支払いを求め、福島地裁に提訴したことが20日、分かった。

訴状などによると、店長は1月、社外の労働組合に加入し、過去2年分の未払い残業代として約550万円を要求。会社は役職手当などに残業代が含まれていたと説明したが、一度は全額支払いで合意した。しかしその後、高額すぎるとして拒否されたという。

厚生労働省の時間外労働基準も超過したため、健康維持の注意義務を怠ったとして、請求には労働基準法に基づいた約190万円の支払いも求めている。

△青山商事広報室 「訴状が届いていないので、コメントはできない」

●労基署の不支給取り消し/過重労働で脳内出血、大阪(5月19日 共同通信)

大阪府東大阪市の縫製会社に勤めていた女性(38)=大阪市=が、脳内出血を発症したのは過重労働が原因かどうかが争われた訴訟の判決で、大阪地裁は19日、障害補償などを給付しなかった東大阪労働基準監督署長の処分を取り消した。

判決理由で山田陽三裁判長は、月60時間程度の時間外労働が約4年間続いていたと指摘。「納期に追われる中で業務は量も質も過重だった」と発症と業務との因果関係を認めた。

判決によると、女性は1989年から勤務し縫製作業に従事。いったん退社したが、95年に復職し、99年3月、休日に脳内出血で倒れ、右手足がまひする重度の障害が残った。

労基署側は、発症の原因は業務ではなく、高血圧などが自然に悪化したためと主張していた。

●判例と「部下手当」にみる企業のコミュニケーション対策(5月19日 日本総研)
―安全配慮義務をいかに果たすか―

「名ばかり管理職」問題で残業代の未払いがクローズアップされた。管理職の線引きが焦点になっているが、むしろ注目すべきは企業の安全配慮義務である。
⇒ http://www.jri.co.jp/consul/column/data/713-takahashi.html

●ビジネススキルに関する意識調査(5月19日 ソフトバンク・ヒューマンキャピタル)

ソフトバンク・ヒューマンキャピタル株式会社(東京都中央区)が運営する転職サイト『イーキャリアプラス』は、2008年4月25日〜27日の3日間、20代〜30代のビジネスパーソン400名に、ビジネススキルに関する調査を実施いたしました。

【アンケート総括】
今回の調査では、ビジネスパーソンの9割以上が仕事でのスキルや知識に不足を感じていることが明らかになりました。「十分に足りている」は9.3%のみで、6割が「困ってはいないが満足してない」、3割が「業務で困る事がある」「全く足りない」という結果になりました。一方、全体の7割以上がプロ意識をもって仕事をしており、またスキルと知識習得に対する意欲も強く、全体の9割弱が「専門的な知識とスキルを高めたい」と回答、8割弱が具体的に「努力している」と回答し、ビジネスパーソンのプロ意識の高さと知識・スキル取得意欲や向上心の高まりがわかります。

さらに、日常、頻繁に行う学習方法としては、1位「インターネットで情報を収集する」、2位「専門サイトを見る」、3位「専門家やプロのブログを見る」と、インターネットの利用がすでに主流となっています。約9割がインターネットは「学習に役立っている」と回答し、「時間を問わず学習できる」「必要な情報を得ながら学習できる」をそのメリットとしてあげています。また、従来の「専門書を読む」「専門誌を読む」といった方法は「たまに行う」「定期的に行う」といった回答が多く、書物や雑誌による学習は、オフタイムや一定の時間が取れる時に行なうという傾向が読み取れました。

詳細⇒ http://www.softbankhc.co.jp/press/release/fy2008/20080519/130000.html

●看護や介護、インドネシア人受け入れ・日本政府が覚書に調印(5月19日 日経)

日本、インドネシア両政府は19日、ジャカルタで経済連携協定(EPA)に基づくインドネシア人看護師・介護福祉士の受け入れを正式決定する覚書に調印した。これを受けて、厚生労働省と傘下の社団法人の国際厚生事業団は同日、受け入れを希望する国内の医療・介護施設の募集を開始。7月末にも受け入れを始める。

インドネシア側は同日から看護師・介護福祉士の募集を始め、選抜試験を経て派遣者を決める。初年度の派遣数は看護師が最大200人、介護士が同300人。スパルノ労働・移住相は「積極的に技能者を派遣する考えで、受け入れ枠や職種を拡大してほしい」と要望した。

●時短・残業免除を義務化へ改正案 子育て支援で厚労省(5月19日 朝日)

子育てと仕事を両立できるように、厚生労働省は企業に短時間勤務と残業を免除する制度の導入を義務づける方針を固めた。少子化対策の一環で、育児休業を取った後も、働き続けられる環境を整えるのが狙い。早ければ、来年の通常国会に育児・介護休業法の改正案を提出する。

有識者らによる厚労省の研究会が6月にもまとめる報告にこうした方針を盛り込む。経営者側から反対も予想されるが、厚労省は少子化対策の柱として実現を目指す。

育児・介護休業法は、3歳未満の子どもを持つ人が働きながら子育てしやすい環境を整えるため、(1)短時間勤務(2)残業の免除(3)フレックスタイム(4)始業・終業時刻の繰り上げや繰り下げ(5)託児施設の設置運営(6)育児費用の援助措置――のいずれかの導入を企業に求めている。

厚労省は昨年、40歳以下の正社員を対象にアンケート(回答数約1560)。育休が取れなくなる1歳半以降の子どもを育てる際に、短時間勤務と残業免除が必要だとする答えが多かった。一方、別の調査で、短時間勤務制度のある企業は31%、残業免除は23%にとどまっていた。

こうした実態をふまえ、厚労省は育児と仕事の両立には短時間勤務と残業免除が有効と判断。利用できる期間も小学校入学前後の時期まで延長することも検討する。

研究会では、義務化する方法として、従業員が会社側に短時間勤務や残業免除を請求できる権利を与える仕組みも論議している。

政府は「子育てか仕事か」の二者択一を迫られる状況が少子化の背景だとして、多様な働き方の普及や長時間労働の是正を目指す少子化重点戦略を昨年末に決めた。厚労省は今後、原則1回しか取れない育休の再度取得や、取得率1%未満の父親の育休取得を促す仕組みの具体化も急ぐ。(高橋福子)

●共立メンテナンス、第3子以降の育児手当年30万円(5月19日 日経)

学生寮と社員寮を運営する共立メンテナンスは16日、社員に第3子以降の子供が生まれた場合、毎年30万円の育児手当を支給すると発表した。第3子以降の子供がそれぞれ小学校を卒業するまで12年間支給する。育児支援を充実し、少子化問題に取り組む姿勢をアピールする。

子会社を含むグループの社員に毎年、原則4月に支給する。第3子以降なら、既に小学校卒業までの子供がいる社員も対象になる。グループ全体で約2700人の社員のうち、今年は13人に支給する予定という。