人事労務の時事解説 2008年6月号

 

若手社員はどんなことを考えているのか?
 
◆「今の会社に定年まで!」
 
社会経済生産性本部が今年入社した新入社員を対象に行った意識調査(約2,700人が回答)で、「今の会社に一生勤めようと思っている」と回答した人が5割近く(47.1%)もいたそうです。この数字は1990年の調査開始以来、最も高い数字とのことです。
 
◆「3年以内に辞める!」
 
これに対し、カシオ計算機が25歳の会社員を対象にインターネット上で行った調査(596人が回答)で、3年以内に今いる会社を辞めようと思っている若手会社員が約4割いることが明らかになりました。「定年まで辞めない」と回答した人はわずか12%だったそうです。
 
調査の仕方や回答者数が異なるため、上記2つの調査結果を単純に比較することはできないかもしれませんが、新入社員の意識と数年働いた社員の意識とでは、かなり異なってくるということでしょうか。
 
あなたの会社の若手社員は、「今の会社に定年まで!」「3年以内に辞める!」どちらの考え方が多いでしょうか?
 
◆上司とのコミュニケーション
 
また、日本能率協会が新入社員を対象に行った意識調査(1,334人が回答)では、「上司との人間関係構築のために有効だと思うこと」(複数回答)という問いに対して、上位から「飲み会への参加」(89%)、「社員旅行」(70%)、「運動会」(50%)という結果が出たそうです。
 
社員旅行や運動会を行う企業は以前と比べると少なくなっていると思いますが、社内コミュニケーションを図るために、これらを復活させる動きも一部の企業であるようです。
 
 
今国会に提出されている主な労働関係改正法案
 
◆通常国会の会期は6月15日まで
 
ここでは、現在開会中の通常国会に提出されている、企業に影響を与えると思われる労働関係の改正法案についてみていきます。
◆中小企業にも障害者雇用納付金を義務化
 
障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)の一部を改正する法律案が提出されています。
 
主な内容は、現在は障害者の雇用者数が法定雇用率(1.8%)に満たない従業員「301人以上」企業に課されている納付金の支払義務を、順次「201人以上」、「101人以上」の企業へも拡大するという内容です。また、障害者雇用義務の対象となる労働者に、週の労働時間が20時間以上30時間未満の「短時間労働者」も追加されることとされています。
 
この法案が可決されれば、2009年4月1日の施行予定です。ただし、納付金支払義務が課される企業の拡大については、「201人以上」へは2010年7月、「101人以上」へは2015年7月とされています。
 
◆「行動計画」提出義務付け企業を拡大へ
 
「ワークライフバランス」の実現に向けて、次世代育成支援対策推進法(次世代法)の改正案も今国会に提出されています。
 
従業員の子育てを支援する「仕事と育児の両立支援に関する行動計画」(一般事業主行動計画)の策定・届出を義務付ける対象企業を、現行の従業員「301人以上」の企業から「101人以上」の企業に拡大するのが主な内容です。この改正により、約4万2,000社が新たに策定・届出義務を負うことになると推計されています。また、「行動計画」の公表・従業員への周知も義務付けられるようになります(策定・届出義務のある事業主のみ)。
 
この改正法案自体の施行予定日は2009年4月1日となっていますが、「行動計画」の策定・届出義務付け企業の拡大は、2011年4月1日の予定です。
 
◆労働基準法の改正案
 
月の時間外労働が一定の時間を超えた場合に、高い割増賃金率を適用することなどを内容とする労働基準法の一部改正案も国会で審議中です。主な内容は以下の通りです。
 
・月の時間外労働時間が45時間を超え80時間までの場合の割増賃金率については、2割5分以上の率で、労使協定で定める率とする(努力義務)。
 
・月の時間外労働時間が80時間を超えた場合の割増賃金については、5割増とする。
 
 
注目を集める「キャリア形成促進助成金」
 
◆4月から制度改正
 
キャリア形成促進助成金制度とは、企業内における労働者のキャリア形成の効果的な促進のため、その雇用する労働者を対象として、目標が明確化された職業訓練や職業能力評価の実施、またキャリア・コンサルティングの機会の確保を行う事業主に対して助成される制度です。
 
2008年度4月よりこの制度が改正され、にわかに注目を集めています。
 
◆助成率の引上げと対象者の拡充
 
今回の改正の主な目的は、職業訓練等を実施するにあたり費用面の負担が大きい中小企業に対する支援の強化、および職業能力形成機会に恵まれない者を新たに有期雇用に雇い入れ有期実習型による組合せ訓練を実施する事業主への支援です。
 
まず、専門的な訓練への助成率が3分の1から2分の1(中小企業)へと引き上げられました。併せて、認定実習併用職業訓練への助成率も中小企業が3分の1から2分の1、大企業は4分の1から3分の1へと、それぞれ引き上げられました。
 
対象者も拡充され、短時間等労働者への訓練に対する助成および認定実習併用職業訓練に対する助成について、それぞれ、雇用保険被保険者だけでなくこれから雇用保険者になろうとする者もその範囲となりました。
 
また、新たな制度として、正社員になるには当該有期実習型訓練を受講することが適切であり、職業能力形成機会に恵まれなかった者として、キャリア・コンサルタントが認めた者を対象とした有期実習型訓練に対する助成も実施されることとなりました。
 
◆活用のための注意点
 
上記の助成金制度を活用するためには、様々な条件を満たしている必要があります。代表的なものとしては、「雇用保険の適用事業主であること」、「職業能力開発推進者を選任・届出していること」、「労働組合等の意見を聴いて計画を作成し労働者に周知していること」「過去2年間の労働保険料滞納や過去3年間の助成金の不正受給がないこと」等があります。
 
また、「職業能力開発休暇を与える場合は、その期間中に労働協約または就業規則に定めた賃金を支払っていること」や「事業主命令による職業訓練については、通常の賃金を支払っていること」も定められています。短時間労働者に対する訓練では「正社員への転換を行うこと」も条件となります。
 
訓練内容に関しては、あくまでも労働者個人のキャリア形成促進に役立つものが対象です。一般的なマナー研修や新入社員研修、またOJTで実施するもの等は対象になりませんので注意が必要です。
 
 
未成年者をアルバイトなどで雇う場合の注意点
 
◆雇用に関するトラブルに注意!
 
人材難と言われる昨今、高校生などの年少者や未成年者のアルバイト等は、貴重な労働力となっています。しかし、社会的経験の浅い年少者や未成年者の雇用はトラブルにつながりやすい危険性もあります。
 
採用の際や労働に関して、どのようなことに注意しなければならないのでしょうか。
 
◆親の許可が必要なのか?
 
ある会社からの質問で、「高校生のアルバイトを採用するにあたり、履歴書の親権者の署名捺印欄が空白ですが、何か問題があるでしょうか?」という相談がありました。
 
未成年者の雇用についてはまず、労働基準法第58条第1項 の「親権者又は後見人は、未成年者に代って労働契約を締結してはならない」といった部分が思い浮かびます。また、賃金についても、未成年者であっても独立して受け取ることができます。そう考えると、特に親権者の承認が必要とは考えにくいものです。
 
しかし、労働基準法第58条第2項では、「親権者若しくは後見人又は行政官庁は、労働契約が未成年者に不利であると認める場合においては、将来に向ってこれを解除することができる」とあります。また。民法第5条第1項では「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない」とあり、そして第2項では「前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる」とあります。
 
つまり、親権者(法定代理人)の同意がない労働契約は、親権者によって取り消す(結果として、突然アルバイトを辞めてしまい会社に迷惑がかかる)ことがあり得るのです。したがって、履歴書の親権者の署名捺印は、トラブル防止のためにも記入してもらい、親権者の同意を得ておいたほうがよいでしょう。
 
◆年齢を証明する書面、身元保証人
 
また、年少者(18歳未満)の場合、年齢を証明する書面(住民票記載事項証明書など)を、事業場に備え付ける必要があります。また、万一の際のトラブル防止に備え、身元保証人をつける(できれば複数)ことも大切です。併せて身元保証人の連絡先も把握しておき、万一の際に連絡できる体制を作っておいたほうがよいでしょう。
 
◆その他の注意点
 
他に注意するポイントとしては、年少者はほとんどの変形労働時間制(例外あり)や午後10時以降の業務等も禁止されており、注意が必要です。そして、未成年者の場合、特に注意しなくてはならないのが、飲酒や喫煙です。飲酒や喫煙が発覚した際にどのような処置をとるかといったことは、労働契約時に書面および口頭でしっかり確認しておくことが望ましいでしょう。
 
 
違法派遣・偽装請負の一掃へ向けた取組み
 
◆「緊急違法派遣一掃プラン」がスタート
 
厚生労働省は、社会問題化している違法派遣や偽装請負を一掃するため、「緊急違法派遣一掃プラン」を4月からスタートさせました。新たに制定した「日雇派遣指針」や「労働者派遣法施行規則の改正」等をもとに、労働者派遣制度の周知と指導を強化していく方針です。
 
◆「労働者派遣法施行規則」のポイント
 
労働者派遣法施行規則の改正では、まず、派遣元が年1回労働局に提出する事業報告書の様式に、「日雇派遣労働者の数」、「従事した業務にかかる派遣料金」、「日雇派遣労働者の賃金」等を追加しました。また、派遣先責任者については、労働者派遣が1日を超えない場合でも選任を義務化し、派遣先管理台帳の作成も義務化しています。
 
その他にも、派遣先管理台帳の記載事項に、「派遣労働者が従事した事業所の名称及び所在地その他派遣就業した場所」を追加し、また、派遣元事業主への通知事項には、それらに加え「従事した業務の種類」も追加しました。
 
◆「日雇派遣指針」のポイント
 
日雇派遣指針は、日々または30日以内の期間を定めて雇用される者(30日以内の期間を定めた雇用契約を更新して通算30日を超えるような場合も対象となる)を対象とした、派遣元事業主および派遣先が講ずべき措置を定めたものです。
 
今回、厚生労働省から発表された指針は10項目ほどです。主なものとしては、まず「日雇派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置」として、事前の就業条件の確認や雇用契約の期間の長期化、契約解除の際に就業のあっせんや損害賠償等の適切な措置を図ること等が挙げられます。また、「労働者派遣契約に定める就業条件の確保」では、派遣先の巡回や就業状況の報告により、契約に定められた就業条件の確保が望まれています。
 
また、「労働・社会保険の適用の促進」「教育訓練機会の確保」「関係法令等の関係者への周知」「安全衛生に係る措置」などの、いずれも「派遣労働者や日雇労働者だから」という理由でおざなりにされがちだった分野についても、今回の指針では着目されています。「情報の公開」では、労働者派遣の実績、派遣料金の額、派遣労働者の賃金等の事業運営の状況に関する情報の公開が求められ、これにより、派遣労働者側も情報による選択をしやすくなると思われます。
 
◆今後の動きは?
 
今回の改正の多くは、日雇派遣に関するものですが、厚生労働省はこれを機会に期間制限業務や26業務の適正な運用等を含め、従来の違法派遣についても指導と監督を強化する方針を打ち出しています。
 
 
各自治体で広がる子供の医療費助成
 
◆少子化対策・子育て支援の一環
 
少子化対策の一環として、小中学生などに対して医療費の自己負担が軽くなるよう助成金を出し、子育てを支援する自治体が増えてきています。
 
助成の対象年齢や条件などの内容が自治体ごとに異なるうえ、制度の拡充が急速に進んでいるため、住んでいる自治体の助成メニューを把握しておく必要があります。
 
◆子育て支援対策として
 
東京都港区では、独自の助成制度に基づき、2005年4月から小中学生の入院費と通院費を無料にしています。健康保険に加入する区民であれば、外国人でも助成を受けられます。助成を受けるには区役所に「子ども医療証」の交付を申請し、医療機関で保険証とともに提示します。この医療費助成をはじめとする子育て支援対策の充実により、2004年度には0.78%と低かった合計特殊出生率は2006年度には0.97%まで持ち直しました。
 
このような子供の自己負担が軽くなるよう独自の助成制度を設ける自治体は増えています。名古屋市では、2008年1月から小学校高学年の入院費が無料となり、さらに8月からは中学生までその範囲が広がります。
 
◆各地域で内容に差
 
助成内容については、各自治体の財政状況やトップの方針によってまったく異なります。
 
また、基本的な内容以外に、助成対象年齢が入院と通院で異なるケース(前述の名古屋市など)や、国が定める児童手当の支給要件に準拠した所得制限があったり、一部自己負担金が必要になったりする自治体もあります。例えば浜松市では、未就学児が対象の入院費への助成を4月から小中学生まで拡大しましたが、入院1日当たり500円の自己負担が求められています。
 
また、窓口での支払いがない「現物給付」方式なのか、窓口で支払いを済ませたうえで自治体に申請して払い戻しを受ける「償還払い」方式なのかも、注意するポイントです。
 
住民が歓迎する医療費助成制度ですが、課題もあります。自己負担の無料化は安易な受診を助長し医療費の膨張を招くおそれがあります。また、助成を拡充し過ぎると、本当に医療が必要な子供の診療が後回しにされかねない危険性も含んでいます。
 
せっかく拡充された自治体の助成制度の恩恵を、多くの住民が長期的に公平に受けられるようにするには、住民側にも「軽症なら様子を見る」「家庭での健康作りを行う」などの姿勢が求められるといえるでしょう。
 
 
夫の年金を強制的に分割する「3号分割制度」
 
◆「離婚分割」とは異なる「3号分割」
 
平成19年4月から、夫婦が離婚した場合に厚生年金を分割する制度(「離婚分割制度」)が始まって大きな話題を呼びましたが、平成20年4月からは新たに「3号分割制度」がスタートしました。
 
「3号分割制度」は「夫が厚生年金保険の被保険者、妻が第3号被保険者」という夫婦が離婚した場合、平成20年4月1日以降の第3号被保険者期間について、妻からの請求により、夫の特定期間(特定被保険者が被保険者であった期間であり、かつ、その被扶養配偶者が当該特定被保険者の配偶者として第3号被保険者であった期間)中の被保険者期間の標準報酬を自動的に2分の1に分割するというものです。
 
この「3号分割」は、「離婚分割」のように夫婦間の合意は必要ないのが大きな特徴です(なお「離婚分割」の場合であっても、按分割合等についての合意は必要です)。
 
◆保険料は夫婦が共同して負担したもの
 
標準報酬を自動的に2分の1にするという考え方は、「第3号被保険者を配偶者とする第2号被保険者の保険料は夫婦が共同して負担したものである」という基本的認識を根拠にしています。
 
なお、平成20年4月以後の「離婚分割」についてですが、「3号分割」をまず行ったうえで「離婚分割」を行う必要があります。「3号分割」のみの請求も可能とされています。
 
また、複数回結婚・離婚等をした場合には、それらの特定期間を通算して3号分割の請求を行うことはできません。それぞれの離婚等ごとにその請求期限内に3号分割の請求を行わなければならないのです。
 
◆「離婚分割」の申立てはどのぐらいあったか?
 
「離婚分割」の申立ては、制度開始時から昨年末までの9カ月間で8,322件あったことが最高裁判所の集計で明らかになっています。1カ月平均800〜1,000件で推移しており、離婚調停・訴訟に合わせて申し立てられたケースが7,479件あり、合意に至らずに審判などに持ち込まれたケースが843件あったそうです。
 
今後、果たして「3号分割」の申立てはどのぐらいあるのでしょうか? また、この制度のスタートにより離婚の件数にも影響を与えるのか、注目したいところです。
 
 
「年金記録問題」関連での新たな動き
 
◆年金記録訂正後の見込額を示す「仮計算書」を発行へ
 
先日、舛添厚生労働大臣は、「ねんきん特別便」が到着した受給者が社会保険事務所で年金記録を訂正した際に、訂正後はどのぐらい年金額が変動するかの試算結果を示した「仮計算書」を発行することを明らかにしました。
 
今月からこの「仮計算書」を発行するとしており、すでに訂正が終了している人にも発行されるそうです。
 
◆記録訂正で年金減額となる場合の対応
 
新たに年金記録が判明した場合、年金記録を訂正することにより「年金増額」となるのが一般的ですが、「年金減額」となる場合もあります。そのような場合、これまでは窓口の職員により、減額したりしなかったりと対応がまちまちだったようですが、「減額とするのは合理性に欠ける」との理由から、基準が統一されることになりました。
 
社会保険庁は、上記のように減額となる場合には「修正なし」として取り扱って受給額が減らないようにする方針を決定しました。同庁は、今月からこの措置を実施するよう全国の社会保険事務所に指示を出したそうです。
 
◆年金保険料の過払いを通知へ
 
また、社会保険庁は、年金を満額受給するのに必要な期間を超えて保険料を支払った人に対して、何らかの通知を行うことを検討しているようです。
 
今月から、過払いの申出をした人に対しては過払い分の保険料の返還を開始しましたが、申出を前提とした対応自体を改めることとしました。しかし、現行のシステムを改善するのには1年程度かかるため、実施されるのはまだ先になりそうです。
 
◆「ねんきん特別便」いまだに55万通が未着
 
上記のように、受給者や被保険者のための対策がいろいろと講じられています。
 
しかし、「宙に浮いた年金記録」の持ち主である可能性が非常に高い約1,030万人に送付された「ねんきん特別便」については、全体の約5.3%に相当する約55万通が未着となっているそうです。「年金記録問題」の収束にはまだまだ時間がかかりそうです。
 
 
問題噴出の「後期高齢者医療制度」
 
◆低所得なのに保険料増!?
 
後期高齢者医療制度(長寿医療制度)に関するマスコミ報道が跡を絶ちません。
 
厚生労働省は当初、「低所得者は保険料負担が軽くなる」と説明してきましたが、国民健康保険(国保)から移行した低所得の夫婦世帯の多くで、保険料負担が増えている可能性が高いことが明らかになりました。
 
これまで同省は、全国の市町村の8割が採用している算定方式を用いた試算により、同制度の保険料は国保のときよりも減ると説明していましたが、この算定方式が適用されるのは国保の加入者数で見ると5割に満たないことから、試算方法を見直すほか、市区町村ごとの実態調査を実施するようです。
 
◆1万2,000人に新保険証が届かない
 
保険証の問題も深刻です。厚生労働省は、新たな保険証が届いていない高齢者が5月1日の時点で約1万2,000人いることを発表しました。
 
転居の届出をしていないために行方がわからなくなっている人も多いそうで、同省では、未着の場合には引き続き古い保険証や免許証で医療が受けられるように医療機関に要請するとしていますが、すべての保険証が届くのはまだまだ先のことのようです。
 
◆障害者が事実上「強制加入」
 
寝たきりなどの理由から障害者と認定された人が後期高齢者医療制度に加入しないと医療費補助を打ち切る措置をとっている自治体があることもわかっています。
 
この措置をとっているのは10道県(北海道、青森、山形、茨城、栃木、富山、愛知、山口、徳島、福岡)で、任意とされているはずの障害者の加入が「事実上強制となっている」との批判が起きつつあるようです。
 
◆保険料は7年後に4割増!
 
厚生労働省は、本人負担の保険料が7年後には約4割も増えると試算しています。現役世代の負担が大きくならないよう、高齢者の負担割合を引き上げるのがその理由であり、2008年度は年額6万1,000円の保険料が2015年度には約39%増の8万5,000円になると見込まれています。
 
◆果たして制度の見直しはあるのか?
 
野党4党は、後期高齢者医療制度の廃止法案を共同で参議院に提出し、早期可決を目指す意向を示しています。また、与党である公明党でも制度の見直し(低所得者の保険料引下げ、保険料天引きの廃止など)に着手しているといわれています。
 
 
新たに導入された「診療5分ルール」
 
◆4月からスタート
 
「3分診療」という言葉にあるように、医師の診察時間が短いことに不満を持つ患者さんは多いようです。こうした状況を変えようと、2008年の4月からいわゆる「診療5分ルール」がスタートしました。診療時間が5分を超えるかどうかにより、医療費が変わることになります。
 
◆診療所や中小病院が対象
 
手術や検査など、すべての医療行為には「診療報酬」という全国共通の価格がついています。この診療報酬は2年ごとに見直されますが、「5分ルール」は4月に行われた診療報酬改定に盛り込まれました。
 
対象となるのは、診療所や一般病床数が200床未満の中小病院です。2回目以降の受診(再診)の場合、従来は基本の再診料(病院600円、診療所710円)に外来管理加算(520円)を診療時間に関係なく上乗せできましたが、改定後は「診察時間が5分以上」という条件がつきました。例えば、会話がほとんどなく常用薬の処方箋を出すような「薬だけ診療」には加算がつかず、現役世代の患者なら、自己負担(3割)は約150円安くなります。
 
◆「5分」の算定方法は?
 
では、どうやって「5分」という時間を計るのでしょうか。厚生労働省は「丁寧な診察を求めることが狙いであり、ストップウォッチや砂時計などを使って厳密に計ることを求めているわけではない」と説明しています。
 
不正を防ぐため、医師には診察内容や所要時間をカルテに記載させます。1時間に12人以上の患者を診察したり、5分以上を要したりする診察内容だったかどうかがチェックの対象になります。また、今回の診療報酬改定では、精神科外来の再診にも時間制が導入されました。カウンセリングなどの精神療法が「5分未満」、「5分以上30分未満」、「30分以上」で医療費が変わるようになっています。
 
◆制度導入で何が変わるか?
 
「5分ルール」に関しては、「丁寧な診療が期待できる」という患者側の期待に対して、医師側からは、「時間要件を満たして診療時間内に診察を終えようとすれば、1日に診察する患者数を削減せざるを得なくなる」といった意見や、「患者数を減らせば経営が悪化するし、時間要件を満たしてすべての患者を診察しようとすれば診察時間を大幅に延ばさねばならなくなり、医師の疲弊や看護師の労働強化につながる」といった意見も出ています。
 
賛否両論の中でスタートした「5分ルール」。いずれにせよ、新しい医療のあり方に一石を投じることになりそうです。

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