中小企業でも義務化! 長時間労働者に対する医師の面接指導
◆4月からは中小企業でも義務化
「長時間労働者を対象とした医師による面接指導等の実施」については、平成18年に改正された労働安全衛生法で義務化されました(同法第66条の8)。過重労働による健康障害を防止し、労働者の安全と健康の確保を推進するためです。
この面接指導等の実施については、従業員が常時50人未満の事業場についてはこれまで2年間猶予されていましたが,今年の4月からは義務化されています。つまり、すべての事業場において長時間労働者に面接指導を実施し,医師の意見を聴いて措置を講じなければならなくなったのです。
◆どんなことを行わなければならないか
面接指導は「問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うこと」とされており、対象となるのは「時間外・休日労働時間が1カ月当たり100時間を超え,かつ,疲労の蓄積が認められる者」であって、会社に申出を行った労働者です(ただし,1カ月以内に面接指導を受けた労働者で医師が面接指導を受ける必要がないと認めた場合は除かれます)。
基本的には、会社が指定した医師が行う面接指導を受けることになりますが、労働者が希望する場合は、他の医師の行う面接指導を受けることもでき、その場合は結果を証明する書面を会社に提出する必要があります。 そして、会社はその結果を記録しておく必要があります。
また、会社は、医師の意見を聴いて、必要があると認められたときは、労働者の実情を考慮しながら、以下のような措置を講じなければなりません。この考え方は健康診断(安衛法第66条の5)と同様のものです。
・就業場所の変更
・作業の転換
・労働時間の短縮
・深夜業の回数の減少
・医師の意見の衛生委員会もしくは安全衛生委員会または労働時間等設定改善委員会への
報告
◆その他の留意点
なお、(1)時間外・休日労働時間が1カ月あたり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者、(2)事業場において定めた基準に該当する(時間外・休日労働時間が1カ月45時間を超えた者は対象とすることが望ましい)者についても、努力義務としての面接指導の対象となります。面接指導の対象となる労働者以外の労働者であっても、予防的な意味から、会社は必要な措置を講ずることが重要とされています。
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■パンフレット「労働者の健康を守るために〜過重労働による健康障害防止対策〜」
(08年10月22日 中央労働災害防止協会)
常時50人未満の労働者を雇用する事業場においても平成20年4月より長時間労働を行った労働者には医師による面接指導の実施が義務づけられました。中災防では、厚生労働省から委託を受け、「過重労働による健康障害防止対策及びメンタルヘルス対策」の一環としてパンフレットを作成致しました。ぜひご活用ください。
●残業100時間超の医師面接(08年10月7日 労働新聞)
改正労働安全衛生法では、時間外労働が月100時間を超え、疲労の蓄積がみえる労働者が申し出たときには、医師による面接を行うことを義務付けている。面接では、医師は勤務状況、疲労の蓄積状況、メンタルヘルス面を質問するため、専門的知識を持った産業医が適当と通知されている。
同法は平成18年4月に施行されたが、従業員規模50人以下については、今年3月末まで適用が猶予されていた。現在、全面適用となっているがPR不足から、実施義務を知らない中小事業主は多い。50人以下規模については、産業医の選任義務もないため、この方面からの情報も入手し難いのが実情。地域に所在する産業保健センターの活用を図れば、産業医の手当ても可能となろう。
〔大阪産業保健推進センター⇒ http://www1.biz.biglobe.ne.jp/~sanpo27/〕
■長時間労働者への医師による面接指導制度について(厚労省パンフレット)
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