働きながら年金を満額もらうには?
◆在職老齢年金制度
厚生年金は働きながら受け取ることもできますが、「在職老齢年金制度」により、賃金・年金額に応じて受給額が減額されてしまいます。これには釈然としない人も多いようですね。
厚生年金を満額受け取って働くにはどうすればよいか、対策を考えてみます。
◆対策その1:個人事業主になる
在職老齢年金の仕組みでは、給料と年金を組み合わせた収入が多い人について、厚生年金の支給額が減額されます。ポイントは、これらの計算対象となる収入とは、あくまで「給料と賞与」である、ということです。
減額制度は、厚生年金に加入し続けて働く人が対象です。個人事業主として独立すれば、雇われて給料をもらうことはないので厚生年金から外れ、支給される年金が減額されることも年金保険料を負担する必要もなくなります。また、勤めていた会社で働き続ける場合でも、個人事業主として業務委託契約を結べば、満額もらうことができることがあります。
◆対策その2:厚生年金に加入しなくても済む形態で働く
独立できるだけの専門的知識と技能がない場合、最も現実的なのは、厚生年金に加入しなくても済む、非正規のパートやアルバイトとして働くことでしょう。原則、勤務日数か勤務時間のどちらかが正社員の4分の3未満であれば、厚生年金の加入義務はありません。
また、従業員5人未満の個人事業所に就職することも1つの方法です。業種にもよりますが、勤務先の事業所が厚生年金に加入しなくてもよいので、働く人も減額の仕組みから外れます。
◆気をつけたいポイント
厚生年金に加入せずに働く場合、落とし穴もあります。妻が専業主婦の場合、夫が厚生年金保険から外れれば、妻も国民年金の第1号被保険者となります。60歳未満であれば国民年金保険料を支払う必要が生じ、保険料負担が増えて世帯収入が減るおそれもあります。また、厚生年金保険料を支払い続ければ、当然退職後に受け取る年金総額が増えます。目先の年金額に目を奪われすぎると、かえって損につながる恐れもあるのです。
満額支給にこだわって手取り総額の減少を我慢するか、減額されても手取り総額を増やすか、あるいは満額受給しつつ起業に挑戦するか、様々な選択肢が広がります。年金の受取り方は、働き方やライフスタイルといった、老後生活全体を考えることにつながりますので、よく考えて選択するべきといえます。
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■社会保険庁 配布パンフレット一覧
■社会保険庁 老齢基礎年金・老齢厚生年金の仕組み パンフレット
(PDF 2,572kb) ⇒ http://www.sia.go.jp/infom/pamph/dl/rourei.pdf
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