●カネボウ化粧品、美容部員の再雇用制度を導入(10月15日 日経)
カネボウ化粧品は15日、美容部員として百貨店や化粧品専門店などで働く正社員を対象にした再雇用制度を導入したと発表した。出産や育児を理由に退職した美容部員は、退職から9年間はいつでも正社員として復帰できるようにする。化粧品についての深い知識や接客ノウハウを持つ優秀な美容部員をつなぎとめ、新卒をゼロから育てるコストを抑える。
5000人以上いる正社員の美容部員が対象で、原則として退職時の役職に復帰させるという。退職の際に復帰の意思を問い、再雇用を希望する美容部員には社内報を送るなどして会社とのつながりを維持する。
11月からは、勤続3年以上で育児や介護の時間が必要な内勤従業員に対して一定期間の在宅勤務制度を導入する。多様な働き方ができるようにして人材の流出を防ぐのが狙い。対象者を2週間に1度は出社させて打ち合わせに参加させるようにするなど、帰属意識の維持につとめる。
◇株式会社カネボウ化粧品
「ビューティカウンセラー(BC)の再雇用制度」並びに「内勤従業員の在宅勤務制度」を導入
●飲酒ひき逃げ、直前降車の同乗者に5300万円賠償命令(10月15日 読売)
鹿児島県・奄美大島で2003年に起きた飲酒ひき逃げ事故で、次男(当時24歳)を亡くした大分県国東市の遺族が、「危険な飲酒運転を止めなかったのは違法」として、事故を起こした元少年(当時19歳)と酒を飲み、事故直前まで元少年の乗用車に同乗していた鹿児島県内の男性(24)に慰謝料など約5300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が15日、鹿児島地裁であった。
小田幸生裁判長は「男性は元少年の事故を予見できた」として、男性に全請求額の支払いを命じた。
交通事故裁判に詳しい弁護士らによると、飲酒運転事故で、事故前に降車した同乗者の責任を認めた判決は極めて異例。
遺族は「飲酒・ひき逃げ事犯に厳罰を求める遺族・関係者全国連絡協議会」共同代表の佐藤悦子さん(57)と長男(34)。
判決によると、次男の佐藤隆陸(たかみち)さんは03年11月、仕事で名瀬市(現奄美市)に出張し、市道を歩いて横断中、同市内の元少年=業務上過失致死罪と道路交通法違反(酒気帯び、ひき逃げ)で有罪確定=の車にはねられ死亡した。元少年は事故前、同市内の知人宅で約4時間、男性と発泡酒や焼酎などを飲んでいた。
訴状などで、佐藤さんは「元少年は事故前、約6リットルのアルコール類を飲み、事故を起こしかねないほど酔っていたことを、男性は認識していた」と指摘。その上で「男性は元少年の飲酒運転を制止する責任があったのに怠った」と主張した。
これに対し、男性側は「元少年が事故を起こすほど酔っていると思わなかった」と争っていた。
再掲●企業向け「飲酒運転防止マニュアル」を作成(日本損害保険協会)
〜飲酒運転事故の防止に向けて、職場で活用を!〜
このマニュアルは、企業の経営者、運行管理者、安全運転管理者などの方々に、飲酒運転防止の教育や研修を行う際の手引きとしてご利用いただくものです。飲酒運転をした場合の企業等の罰則や、飲酒運転防止対策の各種提言、飲酒運転の啓発ツール・教育の紹介、さらには飲酒運転対策に困った時の相談先など様々な情報を網羅しており、各所から高い評価をいただいています。⇒ http://www.sonpo.or.jp/archive/publish/traffic/0003.html
●学生無年金障害者訴訟:最高裁で初勝訴 社保庁の上告棄却(10月15日 毎日)
成人学生の国民年金加入が任意だった時代に、未加入のまま統合失調症と診断された岩手県の男性=07年に43歳で死去、父が訴訟承継=が、社会保険庁長官に障害基礎年金の支給を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(古田佑紀裁判長)は15日、社保庁側の上告を退ける決定を出した。支給を認めた原告勝訴の1、2審判決が確定した。
全国の30人が9地裁に起こした学生無年金障害者訴訟は12人の敗訴が確定しているが、最高裁で原告勝訴が確定したのは初めて。
国民年金法は、初診日が20歳未満の障害者には未加入でも年金を支給すると定める。男性が診療を受けたのは20歳1カ月だが、1、2審は「突発的発症は考えられず、20歳前の発症と認められる」などと初診日要件を柔軟に解釈していた。
ただ、最高裁は10日、同様の訴訟の判決で初診日要件について厳格に解釈する判断を示している。この日の決定は理由を示さなかったが、2審が「男性は20歳前に統合失調症を原因とする胃腸の不調で医師の診療を受けていた」と認定しており、これにより初診日要件を満たすと判断したとみられる。
社保庁によると、本人が死亡しても、支給請求時以降に受け取れたはずの年金を遺族が受給できるという。
一方、札幌市の障害者4人が起こした同様の訴訟の上告審で、第2小法廷(古田裁判長)は15日、判決期日を31日に指定した。2審を見直す際に必要な弁論を開いていないため、原告敗訴の1、2審判決が確定する見通し。【北村和巳】
●労働時間をめぐる状況の変化(10月15日 日経BizPlus)
「労働時間」という場合、割増賃金など労働基準法の適用で問題となる労働時間と、過労死認定など労災補償保険法の適用で問題となる労働時間とでは、概念が異なり得ます。労働時間か否かを法論理的に決定できるという考え方から離れて、実態を直視する時期に来ています。
日経BizPlus 「法的視点から考える人事現場の問題点」第49回 弁護士 丸尾拓養氏
●数字で見る経済 大阪のポテンシャル その16(10月14日大阪都市経済調査会)
雇用創出につながる設備投資で突出する大阪〜情報通信、金融・保険、サービス業で集積を加速する大阪!〜⇒ http://www.tyosakai.jp/toukei/suji/number_85.html
●年金記録改ざん:疑い144万件 来年度から注意喚起通知(10月14日 毎日)
厚生年金保険料の算定基準となる標準報酬月額(給与水準)の改ざん問題で、改ざんが疑われる年金記録延べ約144万件について、舛添要一厚生労働相は14日、記録の持ち主全員を対象に、注意を促す通知を来年度から出すと明らかにした。同日の参議院予算委員会で、直嶋正行議員(民主)の質問に答えた。改ざんが疑われる場合は、「社会保険事務所に連絡を取ってほしい」(厚生労働省)としている。また、同相は閣議後記者会見で、記録の改ざんが疑われ、既に年金を受給する約2万人が対象の戸別訪問を16日から始めると述べた。社会保険庁職員が自宅を訪れて記録を調査、修正する。
約144万件に該当するのは、社会保険庁のコンピューター記録がオンライン化された86年以降で、(1)標準報酬月額を引き下げた日か翌日に、加入者の脱退処理が行われた15万6000件(2)標準報酬月額が5等級(5万円)以上引き下げられた75万件(3)標準報酬月額が6カ月以上もさかのぼって引き下げられた53万3000件のいずれかの記録の持ち主。
通知は、記録の持ち主がこの3条件のいずれかに該当し、処理が不適正だった恐れがあることを知らせる内容となる。
受給者には、来年後半から標準報酬月額を記載した通知に、現役の加入者には来年4月から標準報酬月額を載せて送る「ねんきん定期便」に、それぞれ注意書きを同封する。144万人中にどれだけ受給者が含まれているかは「不明」(社保庁)という。【吉田啓志、野倉恵】
●ホットライン等の開設について(10月14日 厚生労働省)
標準報酬遡及訂正事案等に関する調査委員会では、標準報酬月額の不正改ざん等に関する調査をすすめるにあたり、調査員に直接繋がるホットラインを開設しました。
●森永乳業、退職者の再雇用で「リターンジョブ制度」を導入(10月10日 労政機構)
森永乳業は、退職者の再雇用制度「リターンジョブ制度」を10月から導入した。同社では育児支援の一環として、出産や育児、配偶者の転勤などの理由により退職した社員に限定した再雇用制度を07年5月に導入。今回その対象を大幅に拡大し、同社で3年以上勤務した経験があれば、原則として退職時の理由を問わず再雇用できる制度とする。
◇森永乳業 社外での職務経験をもった当社退職者を再雇用し、社内を活性化!
●どうなる?大和生命の保険契約 受け皿引き継ぎ「原則補償」
(10月10日 FujiSankei Business i.)
更生特例法を申請し、破綻(はたん)した大和生命保険の保険契約などは、どうなるのかQ&Aでまとめた。⇒ http://www.business-i.jp/news/kinyu-page/news/200810110020a.nwc
●大企業の9割超、心の健康対策 中小は取り組みに遅れ(10月10日 共同通信)
従業員の心の健康対策に取り組む企業が33%と、5年前より10ポイント増加し、1千人以上の大企業では90%を超えることが10日、厚生労働省の調査で分かった。企業規模が小さくなるほど低く、中小では取り組みが遅れている実態が浮かんだ。
5年に1回の調査で昨年10月末、企業約1万4千社と労働者約1万8千人を対象に実施した。
健康対策を取る企業を規模別にみると、5千人以上で100%、1千人以上5千人未満で95%と高かった。一方で50人以上100人未満は45%、30人以上50人未満が36%、10人以上30人未満は29%にとどまった。
取り組みの内容(複数回答)は「相談対応の体制整備」59%、「労働者への教育研修・情報提供」49%、「管理監督者(管理職)への教育研修・情報提供」34%など。
「仕事に関して強い不安、悩み、ストレスがある」と答えた労働者は58%と前回より微減。前回との比較で増加が目立った内容(複数回答)は「職場の人間関係」38%(3ポイント増)、「仕事の質」34%(4ポイント増)、「昇進、昇給」21%(7ポイント増)などだった。
■平成19年労働者健康状況調査結果の概況(10月10日 厚生労働省)
●成人後初診に受給資格なし=精神疾患でも敗訴確定
−学生無年金訴訟・最高裁(10月10日 時事通信)
国民年金に未加入だった学生時代に統合失調症と診断された東京都内の男性2人が、初診日が20歳すぎだったことを理由に障害基礎年金が支給されないのは違法として、社会保険庁長官を相手に不支給処分取り消しを求めた2件の訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(古田佑紀裁判長)は10日、原告側の訴えを退けた。男性側の敗訴が確定した。障害基礎年金は初診日が成人前であれば支給対象となる。身体障害と異なり、発症に気付きにくい精神疾患は受診までに時間がかかることが多いため、原告側は「20歳未満の発症だったと事後に確認できれば、初診日要件を形式的に解釈すべきでない」と訴えていた。
判決で同小法廷は、国民年金法上の「初診日」の意味について、「初めて医師の診療を受けた日であることは明らか」と述べた。
また、行政側が個々人の発症日を的確に認定することが難しい点を挙げ、「発症日ではなく初診日を基準としたのは、客観的で画一的、公平な認定判断をするためだった」と指摘。字義通りに解釈することが立法趣旨にかなうと判断し、原告側の主張を退けた。
4裁判官中3人の多数意見。今井功裁判官は「発症が20歳前と確定できれば、支給することは合理的だ」との反対意見を述べた。
両訴訟で一審東京地裁は、初診日要件を例外的に拡張解釈して2人の受給資格を認めたが、二審東京高裁では1件が原告側の逆転敗訴、1件は勝訴が維持され、判断が分かれていた。
●ベンチャーでも「長くコツコツ働く人」を評価します(10月9日 @IT自分戦略研究所)
―「100年続く企業」の人材戦略 第2回―
サイボウズへのインタビューを通じて、「優秀なITエンジニアを集め、その能力を発揮させられる制度」を探る本連載。第2回は、「最長6年の育児・介護休業制度」および「成果重視と年功重視の選択型人事制度」導入の経緯、新人事制度全体の導入成果を紹介する。
●運転手の過労死認め賠償命令=健康診断で高血圧−福岡地裁
(10月9日 時事通信)
福岡県篠栗町でタクシー運転手をしていた男性(当時56)がくも膜下出血で死亡したのは、会社が高血圧と知りながら過酷な労働を強いたためだとして、妻と子供が勤務先のタクシー会社を相手に約7900万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が9日、福岡地裁であった。野尻純夫裁判官は「健康保持に対する配慮を欠いた」と会社の責任を認め、約3600万円の支払いを命じた。
野尻裁判官は、会社は健康診断で男性が高血圧と認識していたにもかかわらず、「時間外労働を禁止したり、勤務時間を制限するなどの措置を取った形跡はなく、公休出勤も打診していた」と配慮不足を指摘。死亡は「過重な労働によるもの」と認定した。
会社側は、超過勤務は男性の意思だったと主張。しかし、野尻裁判官は「自分の意思としても(売り上げ目標を設定し、達しない場合は給料が減額される)足切り制度が、乗務員に勤務時間の長期化を強いることは否定できない」と退けた。
■「メンタルヘルス・過重労働対策」指針や関連情報をHPに掲載(10月9日 厚労省)
「職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策」に関する指針、通達などをホームページに掲載しました。「労働者の疲労蓄積チェックリスト」やパンフレット、関連リンク先なども紹介しております。⇒ http://www.mhlw.go.jp:80/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/index.html
●どうなる後期高齢者医療(10月9日 産経 ゆうゆうLife)
後期高齢者医療制度が始まって半年。健康診査内容と保険料軽減について解説します。
●改ざんで救済されない恐れ 厚生年金、給与明細などない場合
(10月9日 時事通信)
厚生年金の算定基礎となる標準報酬月額や加入期間の記録改ざん問題で、被害者が記録回復につながる給与明細などの証拠書類を持っておらず、当時の会社同僚らの証言も得られない場合、救済されない恐れのあることが9日、分かった。
証拠がない場合の年金給付を判断する総務省の「年金記録確認第三者委員会」の担当者が同日、民主党の会合で明らかにした。例えば数十年前の被害では、給与明細を保存していないケースなどが多数出るとみられ、特例的な救済措置が求められそうだ。
社会保険庁は標準報酬月額が大幅に引き下げられているなど3条件に当てはまる6万9000件を改ざん疑いの濃い記録と判断。このうち、既に年金を受け取り始めている受給者約2万人に対し、来週から職員が戸別訪問して記録回復を促す。
給与明細を持っているなど一定の条件を満たしている場合は第三者委の審査を省略し、社保事務所で記録を回復する方針だが、それ以外は第三者委の審査が必要となる。
第三者委は、勤務先の会社に残された書類や当時の同僚に当たるなど周辺状況も調べるが、判断材料が得られない場合は、記録回復を認めない可能性もあるという。
厚生年金保険料が給与から天引きされていたにもかかわらず、事業主から保険料の納付や資格などの届出がされていない方に年金をお支払いする法律ができました。
(案内リーフレット:PDF)⇒ http://www.sia.go.jp/topics/2007/n1218.pdf
●重要性を増す中小企業の「人材獲得」「人材育成」(10月8日信金中金総合研究所)
―創意工夫で「人材獲得」を図る中小企業などの対応事例、他―
●ビジネス・レーバー・トレンド9月号 一般公開(10月8日 労政機構)
―労働者派遣制度の見直しと今後の課題、高齢者雇用の現状と課題、他
●自宅残業で過労死 労災に 家族申請58歳女性部長月50時間(10月7日 読売)
藤沢市の保育施設運営会社の保育運営部長だった小林たづ子さん(当時58歳、鎌倉市在住)が昨年10月、くも膜下出血で死亡したのは、長時間労働による過労が原因だったとして、藤沢労働基準監督署が労災認定していたことが7日、わかった。自宅のパソコンでの作業記録などから月平均で約50時間の「持ち帰り残業」があったと認定した。
遺族が7日、県庁で記者会見して明らかにした。労災認定は9月24日付。会見した夫の忍さん(62)によると、たづ子さんは保育士や公立の保育園長を経て、2006年1月に保育施設運営会社「サクセスアカデミー」に入社。亡くなる前の半年間は、翌年に控えていた計5か所の新設保育所の人材確保などの準備に追われ、昨年10月30日午前2時ごろ、自宅で仕事中に倒れ、そのまま帰らぬ人となった。
家族は今年6月、労災認定を申請。たづ子さんは、各地の保育所に勤務する保育士の巡回指導を担当しており、ほとんど会社に寄れず、会社への報告書類や保育士向けのマニュアルなどの作成を自宅に持ち帰って作業していた。
たづ子さんは、長年の保育所勤務で培われた専門知識が評価され、当初から管理職として入社しており、亡くなる1か月前に副部長から部長に昇進。忙しい時には午前3時、4時まで自宅で作業し、遠い仕事場に行く時などは、午前6時に家を出ていたという。
忍さんによると、労基署は、亡くなる前の半年間は月平均で約50時間の「持ち帰り残業」があったと認定。この結果、過労死の基準を5時間上回る85時間の時間外労働を強いられていたとしている。
忍さんは目に涙をためながら、「子供の命や発達を保証する会社が、そこで働く人たちを大事にしないと、子供たちを守れない。利益に追われず、足元を見つめ直して」と訴えた。
同社の大前昭夫・人事担当取締役は「労災認定を真摯(しんし)に受け止め、持ち帰り残業の調査も含めて管理職・社員の労務管理を徹底したい」としている。
●残業100時間超の医師面接(10月7日 労働)
改正労働安全衛生法では、時間外労働が月100時間を超え、疲労の蓄積がみえる労働者が申し出たときには、医師による面接を行うことを義務付けている。面接では、医師は勤務状況、疲労の蓄積状況、メンタルヘルス面を質問するため、専門的知識を持った産業医が適当と通知されている。
同法は平成18年4月に施行されたが、従業員規模50人以下については、今年3月末まで適用が猶予されていた。現在、全面適用となっているがPR不足から、実施義務を知らない中小事業主は多い。50人以下規模については、産業医の選任義務もないため、この方面からの情報も入手し難いのが実情。地域に所在する産業保健センターの活用を図れば、産業医の手当ても可能となろう。〔大阪産業保健推進センター http://www1.biz.biglobe.ne.jp/~sanpo27/〕
■長時間労働者への医師による面接指導制度について(厚労省パンフレット)
●企業の定年年齢「65歳以上」が1割に 厚労省調査(10月7日 日経)
厚生労働省が7日発表した2008年の就労条件総合調査によると、定年年齢を「65歳以上」とする企業は前年比0.9ポイント上昇して10.0%となり、初めて1割に達した。06年4月に改正高年齢者雇用安定法が施行され、60歳を超えた人にも就労の機会を用意することが義務づけられた事情が背景にある。
同法は(1)定年の引き上げ(2)定年の廃止(3)継続雇用制度の導入――のいずれかの措置を企業に求めている。定年を「60歳」に設定している企業はなお85.2%あり、多くは定年後の継続雇用で対応している。
継続雇用の内訳を見ると、そのまま勤務を延長する企業は11%にとどまる。いったん退職して条件などを変更してから再雇用する企業が70.9%と大半で、給与水準を引き下げやすい再雇用を選ぶ企業が多いようだ。
●大卒の退職金2026万円 10年前より800万円減少(10月7日 共同通信)
厚生労働省が7日発表した就労条件総合調査によると、2007年の1年間に定年を迎えた大卒社員の退職金(勤続20年以上、管理・事務・技術職)の平均受給額は2026万円で、10年前の調査(2868万円)と比べ約800万円減少した。退職金の調査は5年ごとに行われ、前回調査と比べても400万円以上減った。
厚労省は「退職金の算定基準となる退職時の賃金が減少したため」とみている。年功序列が崩れて賃金が減少したことに加え、転職者の増加などで勤続年数の長い労働者の割合が低下したことや、退職金の運用環境の厳しさも影響したとみられる。
同省は調査対象企業を従来の「本社の常用労働者30人以上」から「会社の常用労働者30人」に拡大。今回調査の退職金は、従来基準でみても2075万円にとどまり、10年前より約800万円減っている。
高卒社員(勤続20年以上、管理・事務・技術職)の退職金は1606万円で、5年前の調査(2161万円)より500万円以上減少。高卒社員の現業職は1123万円だった。
■平成20年「就労条件総合調査」結果の概況(10月7日 厚生労働省)
●雇用延長導入は96・2% 「希望者全員」は39%(10月7日 共同通信)
厚生労働省が7日発表した高年齢者の雇用状況によると、65歳までの段階的な雇用継続など高年齢者の雇用延長制度を導入済みの企業は96・2%で、前年より3・5ポイント増加した。
大企業(従業員301人以上)は99・8%で、中小企業(同51−300人)も3・8ポイント増の95・6%。
段階的な雇用継続は2006年4月から企業に義務付けられており、厚労省は「高齢者の雇用確保が着実に進んでいる」としている。
延長制度を導入している企業のうち、定年廃止は2・1%、定年引き上げも12・5%にとどまった。再雇用など継続雇用制度の導入が最も多く、85・4%を占めた。
希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は39・0%で、2・0ポイント増加した。同省は2010年度までに50%への引き上げを目指す。
調査は従業員51人以上の企業約9万4000社が対象で、6月1日の状況を調べた。
■平成20年6月1日現在の高年齢者の雇用状況(10月7日 厚生労働省)
(大阪労働局管内分の集計結果)
●「新人育成に対する現場社員の反応」(10月07日 アルー)
―入社4〜10年目社員 意識調査の結果発表について―
この度、’09新人育成を考えるために、アルー株式会社(東京都渋谷区 http://www.alue.co.jp/ )は、’08新入社員と業務上関わりのある4〜10年目の会社員310名(男性155名、女性155名)を対象に、新人育成に関する意識調査を実施しました。
〔調査結果 概要〕
過半数の先輩・上司が、新入社員が一人前になるためには約3年の年月が必要だと考えていることが分かりました。さらに、彼ら・彼女ら自身の経験を振り返り、各年次で身につけておくべきだと考えるものを聞いたところ、 1年目では社会人として、2年目ではプレーヤーとして、3年目ではリーダーとして一人立ちするために必要な、具体的なスキルや意識が明らかとなりました。
また、’08新入社員については、これまでと比較して、マナー・常識の欠如とともに、消極的で大人しいと感じている人が多く、全体の約7割の先輩・上司が何らかの違いを感じていることが分かりました。しかし、具体的な新入社員の育成については、これまでと変えていると回答した人は全体の2割強となりました。さらに、変えた場合にもその効果を感じている人は全体の1割弱に留まり、育成に対する試行錯誤がうかがえる結果となりました。現場が新入社員の配属時に求めているのは、決して高度なスキルでなく社会人として基本ですが、現状は満足するレベルには達していない企業が多いようです。育成担当者には、新入社員が現場にいち早く貢献するとともに、対外的なトラブルを引き起こすリスクにも備え、配属前の彼らに対する、社会人としての基本徹底が求められているようです。
■外国人雇用状況届出 Q&A(10月6日 厚生労働省)
雇用対策法に基づき、全ての事業主の方に、外国人(特別永住者を除く)の雇入れと離職の際に、その都度、当該外国人の氏名、在留資格等を確認し、ハローワークに届け出ることが義務付けられています。どのような場合に届出が必要となるのか、在留資格ごとにQ&Aをまとめております。⇒ http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/gaikokujin-koyou/05.html
●インテージ 午後10時で強制消灯 無駄な残業の削減促す(10月6日 日経)
市場調査サービスのインテージ( http://www.intage.co.jp/ )は長時間労働の抑制を目的に、東京・秋葉原にある本社ビルの照明を午後10時以降は強制消灯するようにした。社員に無駄な残業の削減を促し、ワークライフバランス(仕事と生活の調和)の確保につなげる。
強制消灯後は社員が再点灯しても10分間隔で強制的に消灯する。消灯しないフロアを一カ所設けており、必要な仕事はそこで続ける。午後10時以降に残業する場合は事前申告を義務付けている。
同社は以前から午後8時に強制消灯しているが、再点灯して残業を続ける社員もいる。勤労意欲の低下や健康障害を防ぐためにも、従来より強制力のある仕組みを導入した。同制度を導入した7月の一般社員の時間外労働は、前年同月に比べて約2時間減少した。
●厚生年金の標準報酬「大幅下げ」75万件 改ざん問題拡大の様相
(10月3日 日経)
舛添要一厚生労働相は3日の閣議後の記者会見で、厚生年金の算定基礎となる標準報酬月額(月給水準)の改ざんが疑われる事例の詳細を公表した。30等級に分けられている標準報酬を5等級以上も大幅に引き下げたものは75万件に上るという。改ざん問題は拡大の様相をみせており、厚労相は実態の解明を急ぐとともに、すでに年金を受け取っている人への戸別訪問などで記録を修復する方針を示した。
これまで改ざんの疑いがある記録の件数については (1)標準報酬が5等級以上引き下げられた (2)引き下げ処理とほぼ同時に厚生年金の加入資格が消された (3)記録を6カ月以上さかのぼって修正した――の3つの条件でコンピューター上の1億5000万件の記録を調査。全条件にあてはまるものが6万9000件あった。
今回、公表したのは個別の条件ごとに該当する件数。大幅に標準報酬を引き下げたものが75万件あるほか、記録を6カ月以上さかのぼって変更しているのは53万3000件、報酬引き下げとほぼ同時に加入資格を取り消したものが15万6000件あるとしている。
●「管理監督者の範囲の適正化」、監督指導の留意点を労働局に通知
(10月3日 労政機構)
厚生労働省は3日、9月9日付の通達「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化」について、「一部に、管理監督者の範囲について誤解を生じさせかねないとの意見がある」ことを踏まえ、その周知、監督指導に当たって留意すべき事項を都道府県労働局に通知した。同通達は、店舗の店長等が労働基準法の「管理監督者」に該当するか否かの判断要素を示したもの。
通達の周知等に当たって留意すべき事項について
通達に関するQ&A
●フルキャスト、2度目の事業停止命令 日雇い派遣撤退へ(10月3日 日経)
労働者派遣法に違反したとして、厚生労働省が事業停止を命令した日雇い派遣大手の「フルキャスト」(東京)が処分期間中に労働者の派遣業務を継続していた問題で、同省は3日、同社に対し、2度目の事業停止命令を出した。期間は10日から11月9日までの1カ月間。事業改善命令も出し、報告を求めた。
一方、フルキャストは3日、2009年9月末までに日雇い派遣から完全撤退する方針を発表した。漆崎博之社長の役員報酬50%返上3カ月など経営幹部への処分も実施する。今年7月には日雇い最大手だった「グッドウィル」が廃業したばかりで、日雇い派遣労働者の雇用確保が改めて課題となりそうだ。
フルキャストの事業停止命令に違反した労働者派遣は121支店で、計959件に上った。処分期間中に新たな派遣契約を結んだケースはなかったが、期間中に業務が始まる契約について、命令に違反する形で、派遣を継続するなどしていた。
◇フルキャストの日雇い撤退、中小企業の経営に影響
グッドウィルに次ぎ、フルキャストまで手を引くことで、大手の日雇い派遣業者はなくなる。ユーザーの中小企業の経営にも影響を及ぼしそうだ。
日雇い派遣を利用している企業のなかでも、中小・零細業者が大きな打撃を受ける。春には人手不足に陥る引っ越し業者などは労働力を日雇い派遣に依存しているケースも多い。携帯電話などの検品を手がける業者も「数カ月ごとに訪れる新製品発売の前の大量の人手確保に日雇い派遣の活用は欠かせない」。
●裁判員制度:トヨタ、期間従業員も含めた特別休暇を新設(10月3日 毎日)
トヨタ自動車は来年5月に始まる裁判員制度に対応し、従来の特別休暇制度が適用されていない期間従業員も含め、裁判員に選ばれた社員の給与を全額保証する「裁判員特別休暇」制度を新たに導入することを決めた。来春までに就業規則を改定する。期間従業員に特別休暇を認めるのはトヨタとして初めて。
トヨタには冠婚葬祭時などに給与を全額保証する特別休暇制度があるが、対象は正社員やパート(約100人)などに限られていた。新制度は、裁判員に選ばれた労働者に対する不利益な扱いを禁じた裁判員法に対応し、正社員やパートに期間従業員(約7000人)を含めた直接雇用者全員を対象に、裁判員休暇中の給与を全額保証する。期間従業員の契約満了時に勤務日数に応じて支払う慰労金や報奨金についても、裁判員休暇を出勤日に算入する。
期間従業員については、トヨタ労働組合が今春から組合員化を進めるなど、トヨタ労使で待遇改善を図っている。新制度もこの流れに沿ったもので、今後、裁判員休暇以外の特別休暇制度の期間従業員への適用も検討していく。
日本経団連が9月に公表した調査結果では、会員企業の6割が裁判員制度に対応する特別休暇制度を導入しており、うち86%が有給休暇としている。ただ、中小企業の対応は遅れており、トヨタの方針決定の波及が期待される。
【中井正裕】
●長時間残業で書類送検/長崎のタクシー会社社長ら(10月3日 共同通信)
長崎労働基準監督署は3日までに、労使協定で定めた労働時間を上回る残業をさせたとして、労働基準法違反の疑いで、長崎市の安全タクシーと、同社の浜崎行男社長(49)、元統括運行管理者(60)の2人を書類送検した。
元統括運行管理者は「収入面から運転手が残業を希望しており、会社の利益にもなった」と話しているという。
同労基署によると、社長らは昨年5月1日から31日にかけ、運転手4人に、労働基準法36条に基づき労使で定めた月間上限50時間を超える残業をさせた疑い。残業時間は最高で91時間。24時間以上連続勤務しているケースもあった。
元統括運行管理者は、車両の運行状況が記録される用紙を勤務中に取り換えるよう運転手に指示。2枚に分けることで長時間労働を隠そうとしていたが、昨年9月の同労基署の立ち入り調査で、運行記録と運転手の勤務日報に食い違いがあり発覚した。
●“名ばかり管理職”の現状―労働時間総合調査(10月2日 労務行政研究所)
―時間外手当を不支給としている役職者について、2割の企業が
「管理監督者の要件に照らして問題あり」と認識―
民間調査機関の(財)労務行政研究所(東京都港区 http://www.rosei.or.jp/ )では,毎年定例的に実施している『労働時間総合調査』の付帯項目として、最近注目を集めている,いわゆる“名ばかり管理職”をめぐる問題に関し、企業における現状認識と問題解消に向けた取り組み予定等について、今回、規模・業態を特定せず、匿名を前提として調査を行ったところ、次のような実態が明らかになった。
1.回答企業232社のうち、20.7%が「時間外手当を支給していない役職者に、管理監督者の要件を満たしていない者がおり、問題視している」と回答。
2.“問題視している内容”(複数回答)では、「管理監督者扱いだが、組織運営や採用等に関する権限・裁量が与えられていない」が85.4%で最多。
3.“名ばかり管理職”解消に向けた取り組みの予定については、「見直し要否について検討中」が56.3%と過半数を占める。
●京都中央信金、子育て期の時間外勤務を小学校入学まで免除
(10月2日 日経産業)
京都中央信用金庫( http://www.chushin.co.jp/ )は育児支援や退職者雇用などの人事制度を10月から拡充したと発表した。子育て支援では時間外勤務や休日勤務の免除期間を「子供が小学校に入学する前日まで」と、従来のほぼ2倍に延長した。70歳未満の定年退職者を非常勤嘱託職員として雇用する新制度も始める。
時間外勤務などの免除はこれまで子供が満3歳になる前日までを対象としていた。同金庫は4月、結婚や育児などを理由に退職した職員を一定期間内、再雇用するリターン・ジョブ制度も導入しており、子育てと仕事を両立できる環境を整え人材の流失を防ぐ。
●政管健保、10月から「けんぽ協会」 保険料率は都道府県別に(10月1日 産経)
中小企業のサラリーマンらが加入する政府管掌健康保険(政管健保)は10月1日、運営主体が社会保険庁から、新設される民間型公法人「全国健康保険協会 http://www.kyoukaikenpo.or.jp/」(通称・協会けんぽ)に移行する。現在の加入者約3600万人はそのまま全員移ることになり、保険証も順次切り替わる。
協会の発足に伴い、全国一律だった保険料率は、地域の医療費に応じて都道府県ごとに設定されるように変更される。
当面は、政管健保と同じ労使折半で8・2%の保険料率が維持されるが、1年以内に都道府県ごとに決められ、医療費が高いところほど保険料率も高くなることになる。
厚労省の試算によると、最高は北海道(8・7%)で、最低は長野県(7・6%)で、1・1ポイントの差が生じる見込み。ただ、保険料が大幅に上昇しないよう、激変緩和措置が設けられ調整される。
一方、高齢化による医療費の伸びや後期高齢者医療制度への拠出金の増加などで政管健保の財政状況は厳しくなっており、運営を引き継ぐ「協会けんぽ」の保険料率も、全体としては今後上昇することは避けられないとの見方が強い。
■本年10月、政管健保は「協会けんぽ」に変わりました(社会保険庁)
案内リーフレット(PDF)⇒ http://www.sia.go.jp/topics/2008/pdf/n0930.pdf
●新しい厚労省通達と『2009年問題』への対応(10月1日 日経Biz‐Plus)
厚生労働省から先週末(9月26日)、「いわゆる『2009年問題』への対応について」が発表されました。これによると、労働者派遣を再度受け入れるために「クーリング期間(派遣を受け入れていない空白期間)」を用いる場合には、企業の慎重な対応が求められています。
日経Biz‐Plus 「法的視点から考える人事現場の問題点」第48回 弁護士 丸尾拓養氏
●キャリア形成促進助成金が改正されます(10月1日 雇用・能力開発機構)
平成20年10月1日より、有期実習型訓練に対する助成(対象有期実習型訓練)について、助成対象となる訓練形態及び対象者が変更されます。