不法滞在外国人減少に向けた取組みと
新在留資格「技能実習」の創設
 
◆不法滞在外国人が大幅に減少
 
ここ数年、不法滞在の外国人が大幅に減少しているようです。法務省の入国管理局によれば、2004年に約25万人いた日本国内における不法滞在外国人の数は、2009年1月時点では約13万人になっているそうです。5年間でなんと約48%も減少しており、同省では、政府の中期的計画に基づいた「摘発の強化」と「入国審査の厳格化」が功を奏したとみているようです。
 
不法滞在外国人については、犯罪の温床になっているとも言われていますが、来日外国人の犯罪(不法滞在者以外によるものも含む)も減少傾向にあり、2007年中の来日外国人犯罪の検挙件数は3万5,800件(1万5,923人)で、前年比で4,328件(10.8%)減少しています。
 
◆法改正による「在留カード」の発行
 
政府は、さらなる対策にも取り組もうとしています。従来からあった「外国人登録証」(外国人登録制度)を廃止して、新たに「在留カード」(3カ月以上の滞在を認められた外国人について発行される)を作成するため、入国管理・難民認定法の改正案を3月6日閣議決定しました。今国会での成立を目指しています。
 
法務省の推計によれば、現在、約2万人の不法滞在外国人に「外国人登録証」が発行されていますが、「在留カード」には、偽造を防止するためにICチップが付けられ、不法就労者かどうかをすぐに見分けられるようにしまう。また、顔写真・氏名・国籍・住所・在留資格・有効期間などの情報が明記され、情報の変更には届出が義務付けられます。また、就労する資格があるかどうかについても記載されるとのことです。
 
なお、この在留カードを偽造した者には非常に重い罰則(1年以上10年以下の懲役など)が課せられることになっています。この法律改正により、さらなる不法滞在者の減少が期待されています。
 
◆「適法滞在者」には有利に
 
一方で、不法でない、適法な滞在外国人については、在留期間の上限をこれまでの3年から5年に延長することなども改正案に盛り込まれています。また、再入国については、原則として1年以内は政府による許可が不要とされるようです。
 
また、特別永住者(在日韓国人・在日朝鮮人など)は上記の改正された制度の対象外とされ、「特別永住者証明書」が発行されるそうです。
 
 
新在留資格「技能実習」の創設
 
低賃金労働などのケースが問題になっていた外国人研修制度では、実体に即していないとして異論の多かった「就労研修」と「技能実習」の2本の在留資格を創設する案は見直され、1本化された新たな在留資格「技能実習」(最長3年)として創設される見込みです。
 
1年目の研修に実務が含まれる場合は雇用契約締結が必要な「技能実習1」、2年目以降に実習が行われる場合は「技能実習2」とされます。 これには、実務研修時の企業との雇用契約を結ばせることで、労働基準法や最低賃金法など労働関係法令の適用を可能にする狙いがあります。
 
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●「技能実習」3年間に 入管法改正案(09年4月24日 労働新聞社)
 
法務省はこのほど、ほぼ厚生労働省の考え方に沿った外国人研修・技能実習制度の見直し案(入管法改正案)を通常国会に提出した。
 
平成20年6月にまとまった厚労省の研究会報告によると、研修生の法的保護を図る観点から、現在、研修1年、技能実習2年となっている制度を、最初から雇用関係を結んで3年間の実習とする案を打ち出していた。入管法改正案では、技能実習を3年とすると同時に、受入団体に対して入国当初の日本語講習を義務付けた。2年目への移行時に、従来どおり入管の許可が必要となる。
 
技能実習の3年間を通して受入団体が管理責任を負い、不正を認定されたときの受入停止期間を現行3年から5年以上に延長している。企業における技能実習の実効性を高める狙いから、実習指導員の配置を義務付けるほか、生産現場の多能工化に対応して関係する複数職種についての実習を可能とする。
 
外国人研修・技能実習制度の見直しに関しては、当初各方面から改正案が公表された。経済産業省研究会では、研修・技能実習の現行枠組み維持を提言していた。
 
●入管法改正案:衆院法務委で審議入り(09年4月24日 毎日)
 
入管法改正案が24日、衆院法務委員会で審議入りした。外国人登録制度に代わる新たな在留管理制度の導入と、研修・技能実習制度に在留資格を新設することが柱で、民主党などには修正を求める動きも出ている。
 
新たな在留管理制度では、中長期の外国人滞在者に在留カードを交付し、入管が外国人情報を一元化する。研修・技能実習生には「技能実習」の在留資格を設け、入国3カ月目から労働関係法令を適用して低賃金労働から保護する。【石川淳一】
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