指針改正で定められた派遣先企業の賠償責任(09年5月号)

指針改正で定められた派遣先企業の賠償責任

◆数年ぶりの指針改正

いずれも平成11年に労働省(現在の厚生労働省)が定め、派遣元・派遣先が講じるべき事項を示した「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」(以下「派遣元指針」)・「派遣先が講ずべき措置に関する指針」(以下「派遣先指針」)というものがあります。「派遣先指針」においては、派遣先企業が講じるべき事項として「派遣契約の解除の事前の申入れ」「派遣先における就業機会の確保」などが定められています。

このたび、この2つの指針が数年ぶりに見直され、今年の3月31日から適用されています。ここでは、この両指針について、どのような目的から、どのような改正が行われたのかを見ていきたいと思います。

◆指針改正の趣旨は?

昨今の不景気の影響により、労働者派遣契約の中途解除に伴う派遣労働者の解雇や雇止め等が、いわゆる「派遣切り」として新聞紙上でも大きく報道されています。

両指針の改正は、派遣元や派遣先が適切に対処することにより、派遣労働者の雇用の安全を確保しようという趣旨で行われました。

厚生労働省は、改正された指針に基づき、派遣契約中途解除への適切な対応について「周知啓発」や「的確な指導監督」を進めていくこととしています。

◆改正指針の内容は

今回の「派遣元指針」・「派遣先指針」の主な改正内容は次の通りです。

(1)派遣契約の中途解除に当たって、派遣元事業主は、まず休業等により雇用を維持する
 とともに、休業手当の支払い等の責任を果たすこと
(2)派遣先は、派遣先の責に帰すべき事由により派遣契約を中途解除する場合は、
 休業等により生じた派遣元事業主の損害を賠償しなければならないこと
(3)派遣契約の締結時に、派遣契約に(2)の事項を定めること

◆「非正社員の安全網整備」がポイントに

マスコミ報道等でもご承知の通り、政府は4月上旬に「未来開拓戦略」と称する経済対策を明らかにしましたが、雇用に関係する分野では、非正社員への対策として7,000億円の基金を3年間の時限措置として設置し、雇用保険の受給資格のない失業者に月10〜12万程度の職業訓練中の生活費を支給することを発表しました。

派遣社員のみならず、「非正社員全体の安全網整備」が重要なポイントであると、国も認識しているようです。
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■労働者派遣事業・職業紹介事業等 情報案内(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/haken-shoukai.html
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■派遣法改正の行方(09年9月28日 労務安全情報センター
労働・SPOT情報&ニュースNo179
 

民主党(与党)は、「臨時国会」に派遣法の改正案を提出する意向である。現与党の3党が野党であった平成21年6月26日、3党共同で衆議院に「派遣法改正案」を提出していたこともあり、この3党合意案が、新規提出法案の基礎となる可能性が高い。だたし、「労働政策審議会」の大筋合意を前提とした現行法の法改正システムを踏襲する場合、政府案の確定はかなりの難航が予想される。

[民主・社民・国民新党3党合意の派遣法改正案(平成21年6月26日)の概要]

1)法案の名称に「派遣労働者の保護」を盛り込む。
2)法案では、日雇い派遣を禁止。
 派遣労働者の雇用契約については、雇用契約期間が2カ月以下の労働者派遣を禁止。(2カ月以下の雇用契約期間の場合、2カ月に1日を加えた雇用契約期間とみなす。)
3)直接雇用みなし規定を創設。
 みなし規定は、派遣先が(1)禁止業務で派遣を受け入れた、(2)無許可・無届と知りながら派遣を受け入れた、(3)期間制限を超えて派遣を受け入れた、などの違法行為を行った場合、適用する。
4)労働者を派遣し、または派遣の役務の提供を受ける場合は、就業の実態に応じ均等な待遇の確保を図るものとすること。
5)「派遣元から派遣労働者、派遣元から派遣先に対する通知義務事項を拡大」
6)「労働者派遣の受け入れにあたり、派遣先から派遣先労働組合へ通知義務」
7)「いわゆるマージン率を含め事業運営の情報等についてHP等への公開の派遣元への義務づけ」
8)「派遣先での不利益取り扱い禁止」
9)「未払い賃金や社会保険未払いの派遣先の連帯責任」
10)「派遣先への安全衛生教育の義務付け」「派遣先による定期健康診断の代行実施」
11)「派遣労働者の個人情報保護」
12)「派遣労働者所属労働組合と派遣先との団体交渉応諾義務」

[専ら派遣問題]
 専ら派遣に関しては、法人及びその子法人から成る法人グループを「一つの派遣先」とみなし、派遣元は労働者派遣の役務のうち8割を超えて、一つの派遣先に提供してはならないとしている。

[罰則]
1)罰則の最高額を300万円から3億円に引上げる。
2)「違法な労働者派遣事業を行った法人に対する罰則」「違法な労働者供給事業を行った法人に対する罰則」それぞれの強化する。
3)「派遣先に対する罰則の導入」も法案に盛り込んでいる。

[製造業派遣の問題]
1)専門的な知識や技術を必要とする業務及び育児・介護休業期間中の代換要員を除き製造業派遣を禁止する。
2)一般労働者派遣事業について26専門業務以外は常用雇用のみとする。
3)派遣労働者等について、雇用される期間が6月未満であっても、雇用保険の被保険者とすること。

(参考)■法案要綱⇒ http://www.dpj.or.jp/news/files/090626youkou.pdf
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