非正規雇用者の約4割が「正社員並み」の仕事
◆年収「300万円以下」が約8割
厚生労働省が「非正規雇用者」と「事業所」を対象に、今年の7月に初めて実施したインターネットによる実態調査によると、派遣労働者・契約社員・パート社員など、いわゆる非正規雇用者の約4割が「正社員並みの仕事をしている」ことが明らかになりました。
その一方で、非正規雇用者の約8割は「年収300万円以下」と回答しており、企業が正社員の代替として、低賃金でこれらの労働者を利用していることがわかります。
事業所への調査では、非正規雇用者を雇う理由として、37.7%が「人件費を低く抑えるため」、38.9%が「業務量の変化に対応するため」と回答しています。
◆非正規雇用者の待遇の今後
民主党はマニフェストに、正規・非正規を問わず、同じ職場で同じ仕事をしている人は同じ賃金を得るべきとする「同一労働・同一賃金」の実現を掲げ、ワーキングプアや賃金格差の問題解消に取り組む構えです。
同党の政策に影響力をもつ日本労働組合総連合会(連合)でも、職務の違い(職務の難易度、仕事に対する負担、要求される知識や技能)、職務遂行能力の違い、業績の違いなど、合理的な理由がない限り、勤務時間や契約期間が短いことを理由として正規雇用者と非正規雇用者とで労働条件に差をつけることを禁じた「パート・有期契約労働法」(仮称)の早期制定を目指しています。
◆企業の負担増に直結
こうした状況から、非正規雇用者の待遇を引き上げる施策が講じられることは必至ですが、いまだ経済情勢が混沌としている中、労働条件の底上げは企業の負担増に直結するため、使用者側としては容易には受け入れられないものと思われます。今後いかなる施策が実施されていくのか、要注目です。