政府の雇用対策と雇用調整助成金等の状況
 
◆対象者・事業所数がともに減少
 
厚生労働省が10月初めに、「休業等実施計画届」(雇用調整助成金等の申請時に事業所が提出する書類)の受理状況を発表しました。
 
それによれば、8月の対象者数は211万841人となり、7月の243万2,565人と比較して13.2%も減少しました。また、8月の対象事業所数は7万9,922カ所となり、7月の8万3,031カ所から3.7%減少しました。「雇用調整助成金」(中小企業の場合は「中小企業緊急雇用安定助成金」)の利用も、いくらか落ち着いてきたようです。
 
また、8月における「大量雇用変動届」(会社都合等により30人以上が離職した場合に提出する書類)の届出事業所数は284事業所(7月は251事業所)、離職者数は1万4,550人(7月は1万891人)となっており、こちらのほうは増加しています。
 
◆新政権による雇用対策
 
民主党を中心とする政権に変わり、政府は、鳩山首相を本部長とする「緊急雇用対策本部」を設置する方針を発表し、新たな雇用対策も明らかになっています。
政府は、今後、当面の雇用対策を盛り込んだ「緊急雇用創造プログラム」をまとめる方針を示しており、主な対策としては、「介護分野における雇用者数の拡充」、「公共事業削減に伴う建設・土木労働者の転職支援」、「生活保護の受給促進等の貧困層対策」などが挙げられています。
 
◆さらなる雇調金要件の緩和
 
また、助成金に関しては、「雇用調整助成金」「中小企業緊急雇用安定助成金」の支給要件を緩和する方針も示されています。支給の要件とされている「直近3カ月間の売上高の減少幅」について、現行よりも少ない幅で支給を認める考えです。
 
企業にとっては従来よりも使い勝手が良くなる改正だといえます。
 
◆今後の政策に注目
 
8月の完全失業率は「5.5%」と過去最悪の水準となりました。企業にとっても労働者にとっても、まだまだ景気は上向いてきたとはいえない状況です。今後、「6%に達するのでは」といった懸念もあります。
 
そのような状況にならないためにも、企業を支援する助成金の拡充を含め、どのような対策を政府が打ち出し、実行していくのか、注目したいところです。

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