●改正育児・介護休業法の運用基準が明らかに―流れ作業の製造業務を除外―
厚労省(11月13日 労働新聞社)
厚生労働省は、平成22年4月1日以降に施行する改正育児・介護休業法の運用基準を明らかにした省令・指針を近く決定する。 実施が義務化された所定労働時間の短縮措置は、雇用期間が1年に満たない者のほか、1日の所定労働時間が6時間以下、1週の所定労働日数が2日以下の者を労使協定の締結により対象外とすることができる。 業務の性質などを考慮して、同短縮措置が困難とされる業務には、流れ作業や交替制勤務による製造業務などを例示している。
同改正法によると、第23条により、所定労働時間の短縮措置の実施を義務化した。 事業主は、3歳に満たない子を養育する労働者が申し出た場合、所定労働時間を短縮して、子の養育を容易にする措置を講じなければならないとしている。
省令・指針では、同短縮措置の適用対象外となる労働者を明らかにした。 雇用期間が1年に満たない労働者のほか、1日の所定労働時間が6時間以下、1週の所定労働日数が2日以下の労働者を対象外とすることができる。
業務の性質または業務の実施体制に照らして、同短縮措置が「困難な業務」としては、①国際路線などに就航する航空機の客室乗務員、②労働者が少ない事業所において、その業務に従事し得る労働者数が著しく少ない場合、③流れ作業方式による製造業務、④交替制勤務による製造業務、⑤個人ごとに担当する企業、地域などが厳密に分担され、他の労働者では代替が困難な営業業務を示した。 ただし、同短縮措置が「困難な業務」は、「例示」であって、これら以外は該当しないというものではない。
いずれも書面による労使協定を締結して、同短縮措置の対象外とする定めを置く必要がある。 育児・介護休業の取得などを理由とする不利益取扱いと認められる事業主の行為例も拡大している。 たとえば、「昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行うこと」の勘案事項として、①育児・介護休業期間を超える一定期間について昇進・昇格の選考対象としない、②実際には労務不提供が生じていないにもかかわらず、育児休業などの申出をしたことのみをもって不利に評価するなどを新たに加えた。
所定労働時間の短縮措置の対象となっている業務に従事する労働者を、同短縮措置の申出後、労使協定により同短縮措置の対象外とした業務に転換させることについては、「不利益な配置の変更」に該当する可能性が高いとしている。
●「緊急保証」の代位弁済、制度開始1年で2259件・501億円(11月12日 日経)
東京商工リサーチが12日発表した緊急保証制度に関する調査によると、昨年10月末の制度開始から約1年間で、同制度を利用した企業の代位弁済が2259件、501億円発生した。代位弁済の割合は全体の0.3%程度と低く、商工リサーチでは「審査などのハードルが高く、そもそも借りられなかった企業が多かったためでは」と分析している。
代位弁済は保証協会が融資を返済できなくなった企業の代わりに、金融機関に借入金を返済する仕組み。
全国52信用保証協会 「緊急保証制度」利用状況(東京商工リサーチ)
●NTT東の元社員急死、残業ゼロでも労災認定(11月12日 読売)
NTT東日本の社員だった北海道旭川市の奥村喜勝さん(当時58歳)が心臓病で急死したのは、長期の宿泊研修を強いられた過労が原因であるとして、遺族が国を相手に、労災による補償の不支給決定の取り消しを求めた訴訟の判決が12日、札幌地裁であった。
橋詰均裁判長は「研修と異動への不安が、大きな肉体的、精神的ストレスとなり、死につながった」として処分の取り消しを命じた。
訴状によると、奥村さんは心臓病の持病のため、会社は残業や宿泊出張を禁止していたが、2002年1月、職種変更に伴う宿泊研修を2か月以上受けるよう命じられ、一時帰宅していた同年6月9日、心臓病で急死した。
遺族は03年3月、旭川労働基準監督署に労災と認めるよう申請していたが、監督署側は残業など長時間労働がないことを理由に認定しなかった。
妻の節子さん(63)は、「夫のような立場の方が救済される道が見えた気持ちだ」と話し、原告代理人の竹中雅史弁護士は、「持病を抱え、残業のない人でも、労災が認められた画期的な判決だ」と評価した。旭川労働基準監督署は、「主張が認められず残念」としている。
●無年金者、14万人は救済へ 厚労省、12月中に確認通知送付
(11月11日 日経)
厚生労働省の山井和則政務官は11日、年金を受給できない無年金者73万人のうち14万人が記録の確認などで救済できる可能性があると発表した。12月中に無年金者になりそうな約50万人に保険料納付期間のチェックなどを促す確認通知を送付する。無年金者をできるだけ出さず老後の生活の安定を狙う。
公的年金制度で年金をもらうには、保険料の納付期間などが25年必要となる。
厚労省が25年を満たさない73万人を対象にサンプル調査したところ、訪問聴取できた685人のうち約2割が記録の確認などで25年を満たし無年金にならないことが判明した。保険料納付期間と見なせる期間を新たに確認できたケースや70歳まで任意加入できる仕組みを使って不足期間を埋められ25年に達するケースがあった。
●雇用助成金の要件緩和へ 菅副総理、予算委で明言(11月9日 共同通信)
菅直人副総理兼国家戦略担当相は9日午後の参院予算委員会で、雇用の維持に努める企業に、休業手当などの一部を国が助成する雇用調整助成金制度に関し「要件の緩和を緊急対策に盛り込む方向で検討している。鳩山由紀夫首相の了解のもと約束する」と明言した。具体的内容は今後詰めるが、これまでは売上高の減少幅が一定基準を超えていることなどが要件になっており、産業界から緩和の要望が出ている。