厚生労働省が示した「名ばかり管理職」の基準
 
◆飲食業・小売業の店長などが対象
 
昨今、大きな社会問題となっている「名ばかり管理職」(職務権限や待遇が不十分にもかかわらず管理監督者とみなされて残業代が支払われない労働者)について、新たな動きがありました。
 
厚生労働省は、チェーン展開している飲食業・小売業の店長などが労働基準法上の「管理監督者」に該当するかどうかの具体的な判断基準を盛り込んだ通達を、都道府県労働局長あてに出しました(平成20年9月9日)。個別の業種・業態について詳細な基準を示したのは、異例のことです。
 
◆具体的な判断基準は?
 
この通達(「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について」)では、「名ばかり管理職」の判断基準として、以下のことなどが挙げられています。
 
(1)職務内容や権限について、「パートやアルバイトなどの採用権限がない」ことや「パートらに残業を命じる権限がない」こと。
(2)勤務時間について、「遅刻や早退をした場合に減給などの制裁がある」ことや「長時間労働を余儀なくされるなど、実際には労働時間の裁量がほとんどない」こと。
(3)賃金について、「時間あたりの賃金がパートらを下回る」ことや「役職手当などが不十分である」こと。
 
◆「名ばかり管理職」最近の事例
 
紳士服大手「コナカ」の店長2人が「名ばかり管理職」だったとして、未払い残業代(計約1,280万円)を求めて申し立てていた労働審判において、横浜地裁は8月22日、原告の主張を認めました。同社の店長が司法の場で「名ばかり管理職」だと認定されたのは初めてのことだそうです。
 
また、昨年10月に死亡した日本マクドナルドの元店長の女性(当時41歳)の遺族らが、死亡したのは長時間労働による過労が原因だったとして、横浜南労働基準監督署に労災申請を行いました。遺族を支援している連合によれば、元店長の1カ月の残業時間は多い月で120時間にも及んでいたそうです。
 
厚生労働省では、上記の通達を出すにあたって「適切な監督指導を行い、管理監督者の範囲の適正化を図りたい」としており、今後の実務や裁判等にも大きな影響を与えそうです。
 
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◆「名ばかり管理職」問題 マクドナルド裁判のその後◆
「管理職」と「管理監督者」の違いについて
〔行政通達〕〔日本マクドナルド裁判判決要旨〕〔論説・関連報道〕

 

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