管理監督者についての法条文及び行政通達 原文(08年10月3日)

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【管理監督者についての法条文及び行政通達 原文】

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◆ 管理監督者についての法条文 ◆

労働時間等に関する規定の適用除外

労働基準法第41条第2号(昭和22年法律第49号)(抄)

第41条 この章、第6章及び第6章の2で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。

一  (略)
二  事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
三  (略)

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◆ 管理監督者の範囲についての解釈例規 ◆

監督又は管理の地位にある者の範囲

昭和22年9月13日付け 基発17号、
昭和63年3月14日付け 基発150号「解釈例規」


法第41条第2号に定める「監督若しくは管理の地位にある者」とは、一般的には、部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称にとらわれず実態に即して判断すべきものである。具体的な判断にあたっては、下記の考え方によられたい。

(1) 原則
法に規定する労働時間、休憩、休日等の労働条件は、最低基準を定めたものであるから、この規制の枠を超えて労働させる場合には、法所定の割増賃金を支払うべきことは、すべての労働者に共通する基本原則であり、企業が人事管理上あるいは営業政策上の必要等から任命する職制上の役付者であればすべてが管理監督者として例外的取扱いが認められるものではないこと。

(2) 適用除外の趣旨
 これらの職制上の役付者のうち、労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない、重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないような立場にある者に限って管理監督者として法第41条による適用の除外が認められる趣旨であること。従って、その範囲はその限りに、限定しなければならないものであること。

(3) 実態に基づく判断
 一般に、企業においては、職務の内容と権限等に応じた地位(以下「職位」という。)と、経験、能力等に基づく格付(以下「資格」という。)とによって人事管理が行われている場合があるが、管理監督者の範囲を決めるに当たっては、かかる資格及び職位の名称にとらわれることなく、職務内容、責任と権限、勤務態様に着目する必要があること。

(4) 待遇に対する留意
 管理監督者であるかの判定に当たっては、上記のほか、賃金等の待遇面についても無視し得ないものであること。この場合、定期給与である基本給、役付手当等において、その地位にふさわしい待遇がなされているか否か、ボーナス等の一時金の支給率、その算定基礎賃金等についても役付者以外の一般労働者に比し優遇措置が講じられているか否か等について留意する必要があること。なお、一般労働者に比べ優遇措置が講じられているからといつて、実態のない役付者が管理監督者に含まれるものではないこと。

(5)スタッフ職の取扱い
 法制定当時には、あまり見られなかったいわゆるスタッフ職が、本社の企画、調査等の部門に多く配置されており、これらスタッフの企業内における処遇の程度によっては、管理監督者と同様に取扱い、法の規制外においても、これらの者の地位からして特に労働者の保護に欠けるおそれがないと考えられ、かつ、法が監督者のほかに、管理者も含めていることに着目して、一定の範囲の者については、同法41条第2号外該当者に含めて取り扱うことが妥当であると考えられること。

(関係通達)
昭和52年2月28日付け 基発第104号の2「都市銀行等の場合」
昭和52年2月28日付け 基発第105号の2「都市銀行等以外の金融機関の場合」

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◆ 管理監督者の範囲の適正化についての行政通達 ◆

都道府県労働局長 殿
基監発第0401001号
平成20年4月1日
厚生労働省労働基準局監督課長

管理監督者の範囲の適正化について

 労働基準法(昭和22年法律第49号)第41条第2号に規定する「監督若しくは管理の地位にある者」(以下「管理監督者」という。)は、同法が定める労働条件の最低基準である労働時間、休憩及び休日に関する規定の適用が除外されるものである。

 したがって、その範囲については、一般的には、部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者であって、労働時間、休憩及び休日に関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない、重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないような立場にある者に限定されなければならないものである。

 具体的には、管理監督者の範囲については、資格及び職位の名称にとらわれることなく、職務内容、責任と権限、勤務態様に着目する必要があり、賃金等の待遇面についても留意しつつ、総合的に判断することとしているところである(昭和22年9月13日付け発基第17号、昭和63年3月14日付け基発第150号。以下「解釈例規」という。)。

 しかしながら、近年、以上のような点を十分理解しないまま、企業内におけるいわゆる「管理職」について、十分な権限、相応の待遇等を与えていないにもかかわらず、労働基準法上の管理監督者として取り扱っている例もみられ、中には労働時間等が適切に管理されず、割増賃金の支払や過重労働による健康障害防止等に関し労働基準法等に照らして著しく不適切な事案もみられ、社会的関心も高くなっているところである。

 また、このような状況を背景として、管理監督者の取扱いに関して、労使双方からの相談が増加している。

 このため、労働基準監督機関としては、労働基準法上の管理監督者の趣旨及び解釈例規の内容について正しい理解が得られるよう十分な周知に努めるとともに、管理監督者の取扱いに関する相談が寄せられた場合には、企業内におけるいわゆる「管理職」が直ちに労働基準法上の管理監督者に該当するものではないごとを明らかにした上で、上記の趣旨及び解釈例規の内容を十分に説明するほか、管理監督者の取扱いについて問題が認められるおそれのある事案については、適切な監督指導を実施するなど、管理監督者の範囲の適正化について遺憾なきを期されたい。

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多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における
管理監督者の範囲の適正化について
―具体的な判断要素を整理した通達を発出―

平成20年9月9日
厚生労働省労働基準局監督課

 小売業、飲食業等において、いわゆるチェーン店の形態により相当数の店舗を展開して事業活動を行う企業における比較的小規模の店舗における店長等について、十分な権限、相応の待遇等が与えられていないにもかかわらず労働基準法第41条第2号に規定する管理監督者として取り扱い、長時間の労働が行われ、また、時間外労働に対する割増賃金が支払われないなど不適切な事案がみられるため、今般、全国の労働基準監督署において監督指導を行うとともに、把握した実態を踏まえ、最近の裁判例も参考として、店舗の店長等の管理監督者性の判断に当たっての特徴的な要素を取りまとめ、本日、厚生労働省労働基準局長から都道府県労働局長あて通達した。

 この通達において示した管理監督者性の判断に当たっての判断要素は、別添のとおりである。

 厚生労働省においては、今後、法令や関係通達の内容と併せて、この通達で示した判断要素の周知を図るとともに、適切な監督指導を実施し、管理監督者の範囲の一層の適正化を図っていくこととしている。

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都道府県労働局長 殿
基発第0909001号
平成20年9月9日
厚生労働省労働基準局長

多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における
管理監督者の範囲の適正化について

 小売業、飲食業等において、いわゆるチェーン店の形態により相当数の店舗を展開して事業活動を行う企業における比較的小規模の店舗においては、店長等の少数の正社員と多数のアルバイト・パート等により運営されている実態がみられるが、この店舗の店長等については、十分な権限、相応の待遇等が与えられていないにもかかわらず労働基準法(昭和22年法律第49号)第41条第2号に規定する「監督若しくは管理の地位にある者」(以下「管理監督者」という。)として取り扱われるなど不適切な事案もみられるところである。

 店舗の店長等が管理監督者に該当するか否かについては、昭和22年9月13日付け発基第17号、昭和63年3月14日付け基発第150号に基づき、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者であって、労働時間、休憩及び休日に関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないような立場にあるかを、職務内容、責任と権限、勤務態様及び賃金等の待遇を踏まえ、総合的に判断することとなるが、今般、店舗の店長等の管理監督者性の判断に当たっての特徴的な要素について、店舗における実態を踏まえ、最近の裁判例も参考として、下記のとおり整理したところである。ついては、これらの要素踏まえて判断することにより、店舗における管理監督者の範囲の適正化を図られたい。

 なお、下記に整理した内容は、いずれも管理監督者性を否定する要素に係るものであるがこれらの否定要素が認められない場合であっても、直ちに管理監督者性が肯定されることになるものではない ことに留意されたい。


1 「職務内容、責任と権限」についての判断要素

店舗に所属する労働者に係る採用、解雇、人事考課及び労働時間の管理は、店舗における労務管理に関する重要な職務であることから、これらの「職務内容、責任と権限」については、次のように判断されるものであること。

(1) 採用
店舗に所属するアルバイト・パート等の採用(人選のみを行う場合も含む。)に関する責任と権限が実質的にない場合には、管理監督者性を否定する重要な要素となる。

(2) 解雇
店舗に所属するアルバイト・パート等の解雇に関する事項が職務内容に含まれておらず、実質的にもこれに関与しない場合には、管理監督者性を否定する重要な要素となる。

(3) 人事考課
人事考課(昇給、昇格、賞与等を決定するため労働者の業務遂行能力、業務成績等を評価することをいう。以下同じ。)の制度がある企業において、その対象となっている部下の人事考課に関する事項が職務内容に含まれておらず、実質的にもこれに関与しない場合には、管理監督者性を否定する重要な要素となる。

(4) 労働時間の管理
店舗における勤務割表の作成又は所定時間外労働の命令を行う責任と権限が実質的にない場合には、管理監督者性を否定する重要な要素となる。

2 「勤務態様」についての判断要素

管理監督者は「現実の勤務態様も、労働時間の規制になじまないような立場にある者」であることから、「勤務態様」については、遅刻、早退等に関する取扱い、労働時間に関する裁量及び部下の勤務態様との相違により、次のように判断されるものであること。

(1) 遅刻、早退等に関する取扱い
遅刻、早退等により減給の制裁、人事考課での負の評価など不利益な取扱いがされる場合には、管理監督者性を否定する重要な要素となる。
ただし、管理監督者であっても過重労働による健康障害防止や深夜業に対する割増賃金の支払の観点から労働時間の把握や管理が行われることから、これらの観点から労働時間の把握や管理を受けている場合については管理監督者性を否定する要素とはならない。

(2) 労働時間に関する裁量
営業時間中は店舗に常駐しなければならない、あるいはアルバイト・パート等の人員が不足する場合にそれらの者の業務に自ら従事しなければならないなどにより長時間労働を余儀なくされている場合のように、実際には労働時間に関する裁量がほとんどないと認められる場合には、管理監督者性を否定する補強要素となる。

(3) 部下の勤務態様との相違
管理監督者としての職務も行うが、会社から配布されたマニュアルに従った業務に従事しているなど労働時間の規制を受ける部下と同様の勤務態様が労働時間の大半を占めている場合には、管理監督者性を否定する補強要素となる。

3 「賃金等の待遇」についての判断要素

管理監督者の判断に当たっては「一般労働者に比し優遇措置が講じられている」などの賃金等の待遇面に留意すべきものであるが、「賃金等の待遇」については、基本給、役職手当等の優遇措置、支払われた賃金の総額及び時間単価により、次のように判断されるものであること

(1) 基本給、役職手当等の優遇措置
基本給、役職手当等の優遇措置が、実際の労働時間数を勘案した場合に、割増賃金の規定が適用除外となることを考慮すると十分でなく、当該労働者の保護に欠けるおそれがあると認められるときは、管理監督者性を否定する補強要素となる。

(2) 支払われた賃金の総額
一年間に支払われた賃金の総額が、勤続年数、業績、専門職種等の特別の事情がないにもかかわらず、他店舗を含めた当該企業の一般労働者の賃金総額と同程度以下である場合には、管理監督者性を否定する補強要素となる。

(3) 時間単価
実態として長時間労働を余儀なくされた結果、時間単価に換算した賃金額において、店舗に所属するアルバイト・パート等の賃金額に満たない場合には、管理監督者性を否定する重要な要素となる。
特に、当該時間単価に換算した賃金額が最低賃金額に満たない場合は、管理監督者性を否定する極めて重要な要素となる。

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多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における
管理監督者の具体的な判断要素について

 昭和22年9月13日発基第17号・昭和63年3月14日基発第150号において示された管理監督者の「職務内容、責任と権限」「勤務態様」「賃金等の待遇」について、多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗の実態を踏まえ、店長等の管理監督者性の判断に当たっての特徴的な要素を具体的に整理

「職務内容、責任と権限」

管理監督者性を否定する重要な要素
@アルバイト・パート等の採用について責任と権限がない
Aアルバイト・パート等の解雇について職務内容に含まれず、実質的にも関与せず
B部下の人事考課について職務内容に含まれず、実質的にも関与せず
C勤務割表の作成、所定時間外労働の命令にについて責任と権限がない

「勤務態様」

管理監督者性を否定する重要な要素
@遅刻、早退等により減給の制裁、人事考課での負の評価など不利益な取扱いがされる

管理監督者性を否定する補強要素
@長時間労働を余儀なくされるなど、実際には労働時間に関する裁量がほとんどない
A労働時間の規制を受ける部下と同様の勤務態様が労働時間の大半を占める

「賃金等の待遇」

管理監督者性を否定する重要な要素
@時間単価換算した場合にアルバイト・パート等の賃金額に満たない
A時間単価換算した場合に最低賃金額に満たない

管理監督者性を否定する補強要素
@役職手当等の優遇措置が割増賃金が支払われないことを考慮すると十分でなく労働者の保護に欠ける
A年間の賃金総額が一般労働者と比べ同程度以下である

⇒「他の要素を含め総合的に判断」

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都道府県労働局長 殿

基監発第1003001号
平成20年10月3日
厚生労働省労働基準局監督課長

多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における
管理監督者の範囲の適正化を図るための周知等に当たって
留意すべき事項について

標記については、平成20年9月9日付け基発第0909001号「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について」(以下「通達」という。)等により当該店舗における労働基準法(昭和22年法律第49号)第41条第2号に規定する「監督若しくは管理の地位にあるもの」(以下「管理監督者」という。)の範囲の適正化を図るよう指示されたところである。

通達については、一部に、管理監督者の範囲について誤解を生じさせかねないとの意見があることを踏まえ、管理監督者の範囲の適正化を図るための周知及び監督指導等に当たっては、以下の点について十分留意の上懇切丁寧な説明を行い、通達の趣旨・内容が正確に理解されるよう配意されたい。

(1) 通達は、店舗の店長等について、十分な権限、相応の待遇等が与えられていないにもかかわらず管理監督者として取り扱われるなど不適切な事案もみられることから、その範囲の適正化を図ることを目的として発出したものであること。

(2) 通達は、昭和22年9月13日付け発基第17号・昭和63年3月14日付け基発第150号(以下「基本通達」という。)で示された管理監督者についての基本的な判断基準の枠内で、店舗における特徴的な管理監督者の判断要素を整理したものであるので、基本的な判断基準を変更したり、緩めたりしたものではないこと。

(3) 通達で示した判断要素は、監督指導において把握した管理監督者の範囲を逸脱した事例を基に管理監督者性を否定する要素を整理したものであり、これらに一つでも該当する場合には、管理監督者に該当しない可能性が大きいと考えられるものであること。

(4) 通達においては、これらに該当すれば管理監督者性が否定される要素を具体的に示したものであり、これらに該当しない場合には管理監督者性が認められるという反対解釈が許されるものではないこと。これらに該当しない場合には、基本通達において示された「職務内容、責任と権限」、「勤務態様」及び「賃金等の待遇」の実態を踏まえ、労務管理について経営者と一体的な立場にあるか否かを慎重に判断すべきものであること。

なお、別添のとおり「「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について」に関するQ&A」を取りまとめたので、説明等に当たって参考とされたい。

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別添

「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における
管理監督者の範囲の適正化について」
(平成20年9月9日付け基発第0909001号)
に関するQ&A


問1 今回の通達を発出した理由は何ですか。

答 今回の通達は、「名ばかり管理職」として、多店舗展開企業における小規模な店舗の店長等について、十分な権限、相応の待遇が与えられていないにもかかわらず、労働基準法上の管理監督者であるとして、長時間労働を行わせるなど不適切な事案がみられることから、こうした事態に対処し、管理監督者の範囲の適正化を図る目的で出したものです。

問2 今回の通達で示された判断要素は、管理監督者に係る「基本的な判断基準(昭和22年発基17号・昭和63年基発150号。以下同じ。)」を緩めているのではないですか。

答 今回の通達では、「基本的な判断基準」において示された職務内容、責任と権限、勤務態様及び賃金等の待遇に関する基準の枠内において、また、いわゆるチェーン展開する店舗等における店長等の実態を踏まえ、最近の裁判例も参考にして、特徴的に認められる管理監督者性を否定する要素を整理したものです。

したがって、「基本的な判断基準」を変更したり、緩めたりしたものではなく、逸脱事例を具体的に示すことで、「基本的な判断基準」が適正に運用されるようにするものです。

問3 今回の通達で示された否定要素に当てはまらない場合は、管理監督者であると判断されるのですか。

答 今回の通達で示された否定要素は、監督指導において把握した管理監督者の範囲を逸脱した事例を基に整理したものであり、すべて管理監督者性を否定する要素です。したがって、これに一つでも該当する場合には、管理監督者に該当しない可能性が大きいと考えられます。

一方、こうした否定要素の性格からは、「これに該当しない場合は管理監督者性が肯定される」という反対解釈が許されるものではありません。仮に、今回の通達で示された否定要素に当てはまらない場合であっても、実態に照らし、「基本的な判断基準」に従って総合的に管理監督者性を判断し、その結果、管理監督者性が否定されることが当然あり得るものです。

問4 「重要な要素」と「補強要素」を区分けして示した理由は何ですか。

答 今回の通達で示した要素は、いずれも重視すべき要素ですが、その中でも「重要な要素」は、監督指導において把握した実態を踏まえ、これらの事項すら満たされていないのであれば、管理監督者性が否定される可能性が特に大きいと考えられる逸脱事例を強調して示したものです。

問5 今回の通達で「職務内容、責任と権限」について挙げられている要素だけでは、労務管理について経営者と一体的な立場にある重要な職務と権限を有するとは言い難いのではないですか。

答 「基本的な判断基準」において、管理監督者は「労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意」であるとされ、その範囲として、「労働時間等に関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない重要な職務と責任を有し」ていることとされています。今回の通達は、「基本的な判断基準」を前提として、その枠内で、監督指導において把握した実態を踏まえ、裁判例も参考にして、管理監督者性を否定する特徴的な判断要素を示したものであって、これに該当すれば、労務管理について経営者と一体的な立場にある重要な職務と権限を有するものとして管理監督者性が肯定される、という要素を示したものではありません

問6 店長であればパートタイマー等の採用権限があるのは当たり前であって、判断要素にならないのではないですか。

答 監督指導において把握した実態においては、店長であってもパートタイマー等の採用権限がないケースが認められたところです。また、今回の通達の対象は、店舗の店長だけではなく、その部下であって管理監督者として取り扱われている者も対象としていますが、このような者については、パートタイマー等の採用権限がない者が多い実態にあるので、判断要素として有効に機能するものと考えています。

なお、店舗における管理監督者の判断に当たっては、裁判例においてもパートタイマー等の採用権限の有無について判断しています。

問7 今回の判断要素の中で、「時間単価に換算した賃金額が最低賃金額に満たない場合」などのあまりに低い水準を示したにすぎない判断要素は、これによって管理監督者性が否定されるものはまれであるばかりか、結果として管理監督者の範囲を広げることになるではないですか。

答 今回の判断要素は、監督指導で把握した管理監督者の逸脱事例を踏まえ示したものであり、ご質問のような「基本的な判断基準」からの逸脱が特に著しく、問題であると考えられる実態も認められたため、否定要素として挙げたものです。

もちろん、実際の労働時間数に応じて時間単価に換算した賃金額が最低賃金額を上回ったとしても、管理監督者性が肯定されることにはならないのは当然のことです。(問3参照)

むしろ、「基本的な判断基準」において、管理監督者は賃金等についてその地位にふさわしい待遇がなされていること、とされており、最低賃金額に近い賃金水準である場合などには、当然これを満たさないこととなります。

問8 「賃金等の待遇」についての「アルバイト・パートの賃金額」「時間単価換算した場合の最低賃金額」などの要素は当然のことを言っているに過ぎず、むしろ補強要素として示されている「基本給、役職手当等の優遇措置」や「支払われた賃金の総額」の要素こそ重視されるべきではないですか。

答 今回の通達で示した要素は、いずれも管理監督者性の判断に当たって重視すべき要素であり、補強要素としているものについても、重視されるべきことに変わりはありません。(問4参照)

時間単価に換算した賃金額を比較した判断要素は、仮に賃金について何らかの優遇措置が講じられているとしても実態として長時間労働を余儀なくされている場合には、実際の労働時間数で賃金額を割り戻すと、優遇どころか、実質的にはアルバイト・パート等の賃金額や、さらには最低賃金額にも満たないようなケースもあり、このような場合には、管理監督者性が否定されて当然と考えられることから、重要な否定要素として、特に示したものです。

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■「名ばかり管理職」問題 マクドナルド裁判のその後
〔判決要旨・論説・関連報道 等〕


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