■ 労働基準法の一部を改正する法律(平成20年法律第89号) ■
平成22年4月1日施行 労働基準法 改正条文抜粋
第36条・第37条・第39条・第138条・他

 

★赤字表記部分が追加・修正条文です
 
(時間外及び休日の労働)
 
第36条 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、第32条から第32条の5まで若しくは第40条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この項において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。ただし、坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務の労働時間の延長は、1日について2時間を超えてはならない。
 
2 厚生労働大臣は、労働時間の延長を適正なものとするため、前項の協定で定める労働時間の延長の限度、当該労働時間の延長に係る割増賃金の率その他の必要な事項について、労働者の福祉、時間外労働の動向その他の事情を考慮して基準を定めることができる。
 
3 第1項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者は、当該協定で労働時間の延長を定めるに当たり、当該協定の内容が前項の基準に適合したものとなるようにしなければならない。
 
4 行政官庁は、第2項の基準に関し、第1項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。
 
(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
 
第37条 使用者が、第33条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について60時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
 
2 前項の政令は、労働者の福祉、時間外又は休日の労働の動向その他の事情を考慮して定めるものとする。
 
3 使用者が、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第一項ただし書の規定により割増賃金を支払うべき労働者に対して、当該割増賃金の支払に代えて、通常の労働時間の賃金が支払われる休暇(第39条の規定による有給休暇を除く。)を厚生労働省令で定めるところにより与えることを定めた場合において、当該労働者が当該休暇を取得したときは、当該労働者の同項ただし書に規定する時間を超えた時間の労働のうち当該取得した休暇に対応するものとして厚生労働省令で定める時間の労働については、同項ただし書の規定による割増賃金を支払うことを要しない。
 
4 使用者が、午後10時から午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
 
5 第1項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない。
 
(年次有給休暇)
 
第39条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。
 
2 使用者は、1年6箇月以上継続勤務した労働者に対しては、雇入れの日から起算して6箇月を超えて継続勤務する日(以下「6箇月経過日」という。)から起算した継続勤務年数1年ごとに、前項の日数に、次の表の上欄に掲げる6箇月経過日から起算した継続勤務年数の区分に応じ同表の下欄に掲げる労働日を加算した有給休暇を与えなければならない。ただし、継続勤務した期間を6箇月経過日から1年ごとに区分した各期間 (最後に1年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日の前日の属する期間において出勤した日数が全労働日の8割未満である者に対しては、当該初日以後の1年間においては有給休暇を与えることを要しない。
 
3 次に掲げる労働者(1週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間以上の者を除く。)の有給休暇の日数については、前2項の規定にかかわらず、これらの規定による有給休暇の日数を基準とし、通常の労働者の1週間の所定労働日数として厚生労働省令で定める日数(第1号において「通常の労働者の週所定労働日数」という。)と当該労働者の1週間の所定労働日数又は1週間当たりの平均所定労働日数との比率を考慮して厚生労働省令で定める日数とする。
 
① 1週間の所定労働日数が通常の労働者の週所定労働日数に比し相当程度少ないものとして厚生労働省令で定める日数以下の労働者
② 週以外の期間によって所定労働日数が定められている労働者については、1年間の所定労働日数が、前号の厚生労働省令で定める日数に1日を加えた日数を1週間の所定労働日数とする労働者の1年間の所定労働日数その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める日数以下の労働者
 
4 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めた場合において、第1号に掲げる労働者の範囲に属する労働者が有給休暇を時間を単位として請求したときは、前3項の規定による有給休暇の日数のうち第2号に掲げる日数については、これらの規定にかかわらず、当該協定で定めるところにより時間を単位として有給休暇を与えることができる。
① 時間を単位として有給休暇を与えることができることとされる労働者の範囲
② 時間を単位として与えることができることとされる有給休暇の日数(5日以内に限る。)
③ その他厚生労働省令で定める事項
 
5 使用者は、前項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。
 
6 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第1項から第3項までの規定による有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは、これらの規定による有給休暇の日数のうち5日を超える部分については、前項の規定にかかわらず、その定めにより有給休暇を与えることができる。
 
7 使用者は、第1項から第3項までの規定による有給休暇の期間又は第4項の規定による有給休暇の時間については、就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより、それぞれ、平均賃金若しくは所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金又はこれらの額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した額の賃金を支払わなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、その期間又はその時間について、それぞれについて、健康保険法(大正11年法律第70号)第99条第1項に定める標準報酬日額に相当する金額又は当該金額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した金額を支払う旨を定めたときは、これによらなければならない。
 
8 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第2条第1号に規定する育児休業又は同条第2号に規定する介護休業をした期間並びに産前産後の女性が第65条の規定によって休業した期間は、第1項及び第2項の規定の適用については、これを出勤したものとみなす。
 
(中小事業主に対する猶予措置)
 
第138条 中小事業主(その資本金の額又は出資の総額が3億円(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については5千万円、卸売業を主たる事業とする事業主については1億円)以下である事業主及びその常時使用する労働者の数が300人(小売業を主たる事業とする事業主については50人、卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については100人)以下である事業主をいう。)の事業については、当分の間、第37条第1項ただし書の規定は、適用しない。

■ 附 則

(施行期日)
 
第1条 この法律は、平成22年4月1日から施行する。
 
(罰則に関する経過措置)
 
第2条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
 
(検討)
 
第3条 政府は、この法律の施行後3年を経過した場合において、この法律による改正後の労働基準法(以下この条において「新法」という。)第37条第1項ただし書及び第138条の規定の施行の状況、時間外労働の動向等を勘案し、これらの規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
2 政府は、前項に定めるものを除くほか、この法律の施行後5年を経過した場合において、新法の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、新法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

■ 資 料

条文(PDF:80KB)
新旧対照表(PDF:130KB)
 
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■改正労働基準法(平成22年4月施行)に関する省令および告示

「労働基準法施行規則等の一部を改正する省令」
(平成21年5月29日 厚生労働省令第113号)

 

労働基準法施行規則
【概要】 労働基準法の一部を改正する法律(平成20年法律第89号)の施行に伴い、法第37条第3項及び第39条第4項の委任事項である代替休暇及び時間単位年休に係る労使協定の締結事項の細目を定める。
 
1 代替休暇に係る労使協定(第19条の2関係)
 
(1)使用者は、これまでの2割5分以上の率に代えて5割以上の率で計算することによる割増賃金の引上げ分の支払に代わる通常の労働時間の賃金が支払われる休暇(代替休暇)に係る労使協定をする場合には、次に掲げる事項について、協定しなければならない。
(ア)代替休暇として与えることができる時間の時間数の算定方法
(イ)代替休暇の単位〔1日又は半日(代替休暇以外の通常の労働時間の賃金が支払われる休暇と合わせて与えることができる旨を定めた場合においては、当該休暇と合わせた1日又は半日を含む。)とする。〕
(ウ)代替休暇を与えることができる期間(時間外労働が1箇月について60時間を超えた当該1箇月の末日の翌日から2箇月以内とする。)
 
(2)(1)(ア)の算定方法は、1箇月について60時間を超えて時間外労働をさせた時間数に、労働者が代替休暇を取得しなかった場合に支払うこととされている割増賃金率と、労働者が代替休暇を取得した場合に支払うこととされている割増賃金率との差に相当する率(換算率)を乗じるものとする。
(3)(1)の割増賃金の引上げ分の支払が不要となる時間は、労働者が取得した代替休暇の時間数を換算率で除して得た時間数の時間とする。
 
2 時間単位年休に係る労使協定
 
(1)時間を単位として与える年次有給休暇(時間単位年休)に係る労使協定で定める事項は、次に掲げるものとする(第24条の4関係)。
(ア)時間を単位として与えることができることとされる有給休暇1日の時間数(1日の所定労働時間数〔日によって所定労働時間数が異なる場合には、1年間における1日平均所定労働時間数。(イ)において同じ。)を下回らないものとする。〕
(ウ)1時間以外の時間を単位として有給休暇を与えることとする場合には、その時間数(1日の所定労働時間数に満たないものとする。)
(2)使用者は、時間単位年休として与えた時間については、平均賃金若しくは所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金の額をその日の所定労働時間数で除して得た額の賃金又は標準報酬日額をその日の所定労働時間数で除して得た金額を、当該時間に応じ支払うものとすることとされた(第25条第2項・第3項関係)。
 
【施行日】 平成22年4月1日から施行
 
厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令
 
【概要】 労働基準法の一部を改正する法律(平成20年法律第89号)の施行に伴い、電磁的記録の作成の対象に法第37条第3項(代替休暇)及び第39条第4項(時間単位年休)に係る労使協定を追加する等の改正を行う(別表第2関係)。
 
【施行日】 平成22年4月1日から施行
 
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「労働基準法第三十六条第一項の協定で定める
労働時間の延長の限度等に関する基準を改正する件」
(平成21年5月29日 厚生労働省告示第316号)

 

特別条項付き時間外労働協定
 
1.特別条項付き時間外労働協定に「限度時間を超える時間の労働に係る割増賃金の率」を定めなければならない。
 
2.労使当事者は、特別条項付き時間外労働協定を締結するには、当該延長することができる労働時間をできる限り短くするように努めなければならない。
 
3.労使当事者は、限度時間を超える時間の労働に係る割増賃金の率を定めるに当たっては、当該割増賃金の率を、2割5分を超える率とするように努めなければならない。
 
4.平成22年4月1日から適用する。
 
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◆改正労働基準法(平成22年4月施行)への実務対応と注意点◆
〔法改正のポイント〕〔改正法への実務対応〕〔改正法の問題点〕
〔改正後の賃金計算の注意点(事例)〕

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