●社会保障協定:日豪が署名 海外赴任者の保険で取り決め(2月27日 毎日)
 
日、豪両政府は27日、企業の海外駐在員らの年金保険料について、自国と相手国分の二重払いをしなくてもいいようにする社会保障協定に署名した。08年度中に発効する見通し。

協定は、相手国への赴任期間が5年以内なら自国の年金保険料だけを払えばいいとの内容。駐在が5年を超えれば、原則として相手国の制度に加入するが、老後は両国での加入期間が通算され、給付額に反映される。

豪州の在留邦人は約2万7000人。豪州は10年以上、日本は25年以上制度に加入しないと年金を受けられず、短期の駐在では保険料が掛け捨てとなることも問題視されていた。厚生労働省は協定発効により、日本側は企業の保険料負担が年間約9億円軽減されると推計している。

同様の協定は既に米、独、英、韓、ベルギーの5カ国との間で発効済み。仏、カナダとも署名を済ませており、07年度中に発効する見込み。【吉田啓志】
 
●「介護予備軍」の認定要件を緩和 厚労省が見直し(2月27日 朝日)
 
介護が必要になる前に運動などで予防する「介護予防事業」に参加するお年寄りを増やすため、厚生労働省は27日、事業の対象となる「介護予備軍」の認定条件緩和の具体策を決めた。運動機能についての調査項目の該当条件を、これまでの「5項目すべて」から「3項目以上」に緩めるといった内容。現行のままでは、体の衰え具合や口の中の健康状態についての条件設定が厳しすぎ、十分な数の高齢者を集められなかったため。4月から適用される。

この日開かれた介護予防の検討会に示し、了承された。

これまでは事前の調査で、「15分くらい続けて歩けるか」「階段を手すりや壁をつたわらずにのぼっているか」など、運動機能についての調査項目五つのすべてが「問題あり」とされないと特定高齢者とは認められなかったが、改正案では三つ以上に緩めた。食べ物をかむ力やのみ込む力など口の中の健康状態も「3項目すべて」から「2項目以上」に改めた。

厚労省は当初、事業の対象者は65歳以上人口の5%程度いると想定していたが、昨年11月時点の全国調査では0.43%にとどまり、実際に介護予防事業に参加した人は0.14%だった。新条件で、特定高齢者を8~12%、事業への参加者を5%に高める考え。
 
●「偽装請負」直接雇用指導へ 厚労省、派遣へ転換認めず(2月27日 朝日)

労働者を派遣社員のように働かせながら、請負契約を装う違法な「偽装請負」について、厚生労働省は、大手メーカーなど受け入れ企業に、労働者を直接雇用するよう指導することを決めた。偽装請負が判明した時、これまでは派遣契約への切り替えを認めていたが、偽装請負で働いた期間が派遣で認められる期間を超える場合は、早期の直接雇用を指導する。企業にとって、偽装請負の最大の利点である直接雇用の回避が難しくなり、製造業で特に多い偽装請負の解消の動きが一気に加速しそうだ。
 

 

●派遣女性「正規雇用せず突然解雇」で提訴 大阪地裁(2月26日 産経)
 
タイガー魔法瓶(大阪府門真市)で派遣社員として5年以上同じ業務に従事した上、突然契約を解除されて精神的苦痛を受けたとして、大阪府内の女性(30)が26日、同社に慰謝料300万円と正社員としての雇用などを求める訴訟を大阪地裁に起こした。契約解除は労働局が同社を指導した直後に行われており、女性側は「解雇は労働局に申告したことに対する報復」と主張している。

訴状によると、女性は門真市の人材派遣会社を通じ、平成13年9月からタイガーで勤務。社員の指示を受けるなど実態は派遣なのに、請負契約を装った“偽装請負”が行われていた。女性は昨年11月、大阪労働局に申告。同局は労働者派遣法違反を認定し、タイガーに行政指導を行った。

同法は一定期間を過ぎた場合、派遣先の企業に直接雇用する義務があると規定。労働局による指導はこの趣旨を踏まえ、女性の雇用の安定を図る前提で派遣契約の解除を求めるものだったが、タイガーは契約解除だけを行い、女性を正規雇用しなかったという。

提訴後、会見した女性は「話し合いにも応じてもらえず、悩みに悩んで提訴した」と話した。

タイガー魔法瓶の話「訴状を見ていないのでコメントできない」
 
●要件挙げ初診日の解釈緩和 学生無年金訴訟で仙台高裁
 (2月26日 共同通信)
 
統合失調症の男性(43)=岩手県在住=が障害基礎年金不支給処分の取り消しなどを求めた訴訟の控訴審判決で26日、1審に続き支給を認めた仙台高裁は、年金支給要件である「成人前の初診」について「一定程度緩和して解釈しても法の趣旨に反しない」との判断を示した。

井上稔裁判長は成人前初診に対し「原則を堅持することは大量の事務処理を迅速、的確にすることにつながり合理的根拠がある」と認めた。

一方で「機械的な解釈で救済を一律排除するのも相当ではない」とし (1)初診日が20歳に近接していて発症が成人前と判断できる (2)家庭環境などから、成人前に受診できない無理からぬ事情がある――などの要件を緩和解釈が許される場合として列挙。これを満たす場合は「成人前受診と同様に、支給要件を充足したとみなすのが相当」とした。
 
●育児休業制度、企業8割で男性利用ゼロ 過去3年間(2月26日 産経)
 
約8割の企業では、育児休業制度を利用した男性社員が過去3年間で1人もいない-。こんな結果が労働政策研究・研修機構が26日公表した「仕事と家庭の両立支援にかかわる調査」から明らかになった。

調査は昨年6~7月、従業員数300人以上の企業6000社と、そこで働く管理職3万人、一般社員6万人を対象に実施。企業863社、管理職3299人、一般社員6529人から回答があった。

それによると、育児休業制度を導入している企業は98.6%に達し、4社に3社は休業期間などについて育児介護休業法に定めるものと同じ内容だった。しかし、2000人以上の企業に限ってみれば、6割近くが法定を超える制度を取り入れており、大企業ほど育休制度が充実していることが分かった。

だが、男性の育休については、8割近い企業が過去3年間に1人も取得者がいないと回答。「1~2人」が1割だった。

男性の部下が育休取得を申請してきた場合の対応では、管理職の21.6%が「積極的に賛成する」と回答。「課題はあるが、賛成する」という消極的な賛成が52.7%と過半数に上った。一方で、「職場の状況を踏まえて慰留する」が17%、「男性が育休を取るなど考えたことがなく、反対」も5%あった。

男性の育休取得に向けた課題を複数回答で管理職に尋ねたところ、「代替要員確保が困難」が63%と最も多く、次いで「男性自身に育休を取る意識がない」「上司・同僚の理解不足」などとなった。
 
●中小企業「お見合い」サイト、経産省など4月開設(2月26日 日経)
 
経済産業省と財団法人の全国中小企業取引振興協会は、取引先の開拓や新規の商談成立を目指す中小企業の「お見合いサイト」を4月に開設する。中小企業の顧客開拓を支援する。最大で20万社の登録を目指す。

「ビジネス・マッチング・ステーション」をインターネット上に開き、面識がない中小企業同士の仕事の受発注を取り持つ。企業は業務内容や商品情報をデータベースに登録。受発注したい仕事を入力すれば、取引を望む企業を検索できる。例えば「菓子の包装紙」で検索すれば、商品を扱う企業情報のリストを閲覧できる。
 
●結婚・出産で退職の女性に正社員復帰の道 キリンビール(2月25日 朝日)
 
キリンビールは9月に、出産や配偶者の転勤などの自己都合で退職した元社員を、契約社員として採用し、働きぶりをみて正社員として再雇用する制度を新設する。営業現場などでの経験が豊富で優秀な人材をつなぎとめ、激しいシェア争いを広げるビール業界で競争力を高めるねらいもある。

新制度は男女ともに対象。退職時に自己申告で登録をしておき、退職から3~5年以内に意思確認をしたうえで、再雇用する。給与水準は、退職前の経験や離職期間、復帰後の仕事の内容を勘案して個別に決める方針だ。

また、転勤を伴う総合職の女性を対象に、結婚や出産などの理由から最大10年間は、転勤しなくて良い仕組みも採り入れる。

キリンビールの女性社員は、全社員の約2割にあたる約1200人。入社5年を過ぎた女性社員は、出産や夫の転勤などを理由に半数以上が離職しており、女性が引き続き活躍できる場の提供を模索していた。
 
●高齢者医療:「現役並み所得者」判定方法変更へ 厚労省(2月25日 毎日)
 
厚生労働省は08年4月に行う高齢者医療の窓口負担改定に伴い、一定以上の収入を持つ場合の負担割合を引き上げる「現役並み所得者」の判定方法を変更する方針を固めた。夫婦とも70歳以上なら収入を世帯単位で把握し同じ扱いとしていた従来の方法を一部見直し、どちらかが75歳未満の場合には収入を別々にみて個別判定することにした。ただ、同省は混乱を避けるため、新制度発足時点で変更対象に該当する人については、旧判定を引き継ぐ特例措置を講じる。
 
 
●介護保険料、65歳以上の体系見直し・厚労省(2月24日 日経)
 
厚生労働省は65歳以上の介護保険料の体系を見直す検討に入った。保険料は現在、加入世帯の課税所得によって最低6段階に分けている。こうした「階段型」の設定では加入者の所得が少し増えただけで保険料の段階が上がり、負担が大きく増える例がある。このため所得に応じて緩やかに保険料が増減する体系に改める。ただ介護に必要な保険料の総額は今後も増えることが確実で、負担を緩和するには無駄な給付をなくすなど介護費そのものの抑制が急務だ。

3月中にも有識者らによる検討会を設置し、具体策を議論する。早ければ年内にも新しい仕組みを決める方向だ。
 
●「団塊の世代」の6割が現職場での就業継続を希望(2月23日 労政機構)
 
独立行政法人労働政策研究・研修機構は、「団塊の世代」の就業と生活ビジョン調査を行なった。その結果、団塊の世代の者の約6割が、現在の職場での就業継続を希望していることが分かった。

調査結果によると、現在の職場で60歳以降の就業継続を希望する者の割合は61.1%、希望しない者は37.8%となっている。これを企業規模別にみると、小規模ほど希望する者の割合が高く、「29人以下」70.6%、「30~99人」62.8%、「100~999人」60.9%、「1000人以上」54.2%となっている。

平成18年4月施行の改正高年齢者雇用安定法による65歳までの雇用継続義務化の認知度をみると、「知っている」とする者が64.3%と、ほぼ3分の2となっている。企業規模別では、大規模ほど認知度が高く、100人未満規模では6割を下回っているのに対し、1000人以上規模では7割を上回っている。

就業継続を実現するためにどのような措置を必要と考えているかをみてみると、「定年後も雇用を継続する制度の整備」が42.6%で最も多く、次いで、「定年延長」32.6%、「勤務日数の縮減」29.3%、「短時間勤務」28.4%、「賃金・処遇の見直し」27.6%-などの順となっている。

また、自己の技能の後継者への伝達については、「伝えるべきである」とする者が64.4%となっており、伝達の内容別では、「専門・技術的な仕事」(77.5%)や「管理的な仕事」(77.4%)では4分の3を超えており、「販売の仕事」(63.2%)や「技能工・生産工程の仕事」(63.0%)でも3分の2近くの者が技能伝達を必要と考えている。

独立行政法人 労働政策研究・研修機構 「団塊の世代」の就業と生活ビジョン調査結果
⇒ http://www.jil.go.jp/institute/research/2007/030.htm
 
●過労死医師の労災認定 残業100時間、当直3回(2月23日 共同通信)
 
北海道の名寄労働基準監督署が、2003年に死亡した道内の小児科医の男性=当時(31)=の労災を認定していたことが 23日までに分かった。月100時間を超える過労が原因として遺族が申請していた。

申請を担当した弁護士によると、医師の過労死認定は全国的に珍しいという。

弁護士によると、医師は02年10月から03年9月まで道内の公立病院に勤務。同年10月に民間病院に移って6日目に自宅で死亡した。死因は心原性ショックだった。

遺族によると、医師は小児科外来のほか、救急外来も担当、月3回の当直勤務があり、死亡する前の1年間の時間外労働は毎月100時間を超えていたという。

業務と死亡の原因となる疾患の因果関係を認める基準について、国は「発症前の2~6カ月間、月平均 80時間を超える時間外労働」をしていたことなどとしている。
 
●アスベスト吸い込んだ恐れの人、無料検診3月から(2月23日 読売)
 
厚生労働省は22日、アスベスト(石綿)による中皮腫(ちゅうひしゅ)の発生状況を調査する研究事業の一環として、来月1日から、アスベストを吸い込んだ恐れのある人を対象にした無料検診を始めると発表した。千葉労災病院(千葉県市原市)など6病院からスタートし、5月ごろには20病院程度まで拡大する方針。

石綿を扱っていた企業に勤務する人や、退職者を対象とした検診システムはすでにあり、工場周辺住民の健康被害も明らかになった兵庫県尼崎市、大阪府泉南地域、佐賀県鳥栖市では、環境省が昨年8月以降に無料の住民検診を始めた。

今回は原則、この3地域を除いた地域の住民が対象。無料検診を受けられるのは、東北(宮城県)、富山、関西(兵庫県)、香川、熊本の各労災病院で、予約が必要。
 
●2審も「次長の降級無効」成果主義の外資系代理店/マッキャンエリクソン事件
 東京高裁判決(2月22日 共同通信)
 
成果主義賃金による降級・減額措置を違法とした初の東京高裁判決
 
外資系広告代理店マッキャンエリクソン(東京)の男性次長が、成果主義により給与等級を違法に降級処分にされたとして、地位確認や差額賃金の支払いを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は22日、降級を無効と認め、計100数十万円の支払いを命じた1審東京地裁判決を支持し、会社の控訴を棄却した。

会社は「降級は会社の広範な裁量に含まれる」と主張したが、浜野裁判長は「降級にするには根拠を具体的に挙げ、等級に比べ能力が著しく劣ることを明らかにしなければならない」と判断し、降級を無効とした。

男性の原告代理人弁護士は「地位確認まで認めたのは高裁レベルでは初めてだと思う。企業の成果判定の裁量にも限界があることを明らかにした」と評価している。

判決によると、会社は01年10月、成果主義に基づく新賃金制度を導入し、業績などによって降給できるようにした。男性は同月に副社長から退職勧奨を受けたが拒否。03年4月に給与等級を7級から6級にされ、基本給は月額で約20万円下がった。
 
●国家公務員、「週3日制」で子育て支援・離職防ぐ狙い(2月22日 日経)
 
政府は公務員の途中退職などを極力抑えるための新制度を相次いで導入する。小学校入学前の子どもを持つ職員への子育て支援策として「週3日制」などの短時間勤務を年内にも導入。国家公務員の女性幹部の登用促進に向けて、女性の先輩職員が若手職員の指導や相談役を務める「メンター制度」を2007年度以降に導入する方針だ。

公務員は1日8時間勤務が原則。仕事と育児の両立を目指す新制度では (1)1日4時間の週5日 (2)1日5時間の週5日 (3)1日8時間の週3日 (4)1日8時間の週2日半――などから働き方を選べるようにする。給与は勤務時間に応じて支給する。総務省は今国会で国家公務員と地方公務員それぞれの育児休業法改正案の成立を図る。
 
●派遣1000人を契約社員に クボタ、偽装請負是正受け(2月21日 共同通信)
 
クボタは21日、製造現場の派遣労働者約1000人を契約社員に切り替える方針を明らかにした。4月から順次実施する。子会社が労働者派遣法違反の「偽装請負」をしていたとして、大阪労働局から是正指導を受けたのを契機に、直接雇用に転換する。

派遣労働者が加入する派遣ユニオン(東京)によると、1000人規模で直接雇用に切り替える例は珍しいという。

切り替え対象となるのは、筑波工場(茨城県つくばみらい市)、枚方製造所(大阪府枚方市)など全国の8工場で働く派遣社員。契約は半年間で、最長2年まで更新する。採用試験に合格すれば、期間従業員を経て正社員になることも可能という。

クボタによると、農業機器部品製造の子会社(大阪府堺市)が昨年10月、請負契約をしていた労働者を派遣契約に変更。しかし大阪労働局は今年1月、変更前の就労形態は業務を丸ごと任せる請負ではなく、実際は子会社の指揮・命令下で働く派遣労働だったと指摘、請負契約は偽装だったと認定した。
 
●40〜64歳は月額2061円 介護保険料、4%引き上げ(2月21日 共同通信)
 
2007年度の40~64歳の介護保険料が平均で年4万9476円(自己負担は半額)となり、06年度と比べ4・0%(1898円)引き上げられるとの厚生労働省の見通しが20日、明らかになった。

これにより、新たな保険料の1人当たり自己負担額は1カ月平均で2061円となり、初めて2000円台に乗る。介護保険制度が導入された2000年度は1037円だったため、7年間でほぼ2倍となった。給付や保険料の急激な増加をどのようにして抑制するかが、あらためて大きな課題となるのは必至だ。

ただ引き上げ幅は、前年度に比べて鈍化。厚労省は「介護保険制度の普及によりサービス受給者数の伸びなどが一時期より落ち着いてきたため」(担当者)と分析。06年度から給付費抑制を目的として導入された介護予防事業の効果については、まだ分析していないため分からないとしている。
 
●スキーバス事故、労使協定結ばず超過勤 業者書類送検へ(2月21日 朝日)
 
大阪府吹田市のスキーバス事故で、大町労働基準監督署(長野県大町市)は、バスを運行していた同県松川村の「あずみ野観光バス」(下総建司社長)が労働基準法で定められた労使協定を結ばないまま、違法な長時間乗務や休日労働をさせていた可能性が高いと判断、同法違反容疑による書類送検を視野に調査を進めている。

同労基署は昨年6月に同社を立ち入り調査し、タコグラフ(運行記録)の分析などから、同年初めのスキーバス繁忙期に1週間の拘束時間が75時間を超える違法な乗務(運転)をさせていたケースを確認。労働時間が週40時間を超える場合に必要な労使協定を結んでいないことが分かった。労使協定があれば週最大71.5時間まで延長が可能になる。また、連続運転時間4時間を超える違法な乗務も確認された。

このため同社に対し、違法な長時間労働をやめ、労使協定を結ぶよう是正勧告を出した。その後、同社から労使協定の書面が提出されたが、不十分だったため、適法なものにするよう指導していた。まだ正式な協定文書は確認されていないという。

必要な資料が大阪府警に押収されているため、同労基署は近日中に係員を同府警に派遣し、協力を求める。
 
●バス業界:労基法違反、行政指導4倍に 規制緩和後に急増(2月21日 毎日)
 
厚生労働省の立ち入り調査で、労働基準法などに違反するとして05年に行政指導を受けたバス会社が全国で85社に上ることが分かった。規制緩和により新規参入が可能になった00年に比べて、4倍以上に増えた。大阪府吹田市で今月18日に発生した観光バス事故では、運転手の過労による居眠りが原因との見方が強まっているが、業界の競争激化による労働環境の悪化が背景にありそうだ。

同省は毎年、内部告発や違反歴などを参考に、各地の労働基準監督署を通じてバス会社に立ち入り調査を実施。05年は調査した118社のうち85社が、労働基準法や労働安全衛生法などに違反していた。道路運送法改正で新規参入業者が増え始めた00年には20社、01年は25社、02年28社、03年72社、04年59社がそれぞれ行政指導を受けた。

05年の主な違反内容は、労働時間(週40時間など)に関するものが56社、割増賃金関連が31社、休日関連が8社だった。また同省が自動車運転手の拘束時間などを定めた改善基準告示についても、70社が違反していた。内訳は、▽1日最大拘束時間(16時間)違反52社▽休息時間違反26社▽連続運転時間(4時間)違反15社--などだった。

同省労働基準局監督課は、行政指導を続けても改善が達成されない場合、検察庁に書類送検するという。同課は「調査にも限界があり、全バス会社の一部にしか目が届かないのが実情。労務管理の講習会など総合的な対策を進めたい」としている。【鵜塚健】
 
■参考:厚生労働省 自動車運転者の労働時間等の改善のための基準
 
 
●非公務員で年金運営、社保庁「解体的出直し」へ改革案(2月21日 日経)
 
社会保険庁は20日、「解体的出直し」を目指す組織の改革案と2007年度事業計画案を明らかにした。年金部門の運営は2010年1月をメドに設立する非公務員による公法人「日本年金機構」に移管。加入記録や将来の年金額などを知らせる「ねんきん定期便」は3月から始める。来年度の国民年金納付率は80%を目指すが、達成を危ぶむ声も根強い。

3月中旬をメドに、開会中の通常国会に日本年金機構法案、国民年金法改正案など関連法案を出す。不祥事の原因が地位の安定した公務員のぬるま湯的体質にあるとみて、非公務員による組織に改めることが柱。成果主義の人事評価を導入し、年金保険料の徴収では民間委託も拡大する。
 
●労働者派遣法の規制は維持 財界の見直し要請に厚労相(2月20日 共同通信)
 
柳沢伯夫厚生労働相は20日の衆院予算委員会で、財界などが労働者派遣法による派遣労働契約の期間制限の撤廃や見直しを求めていることに関し「現時点で撤廃する考えは持っていない」と述べ、規制を今後も維持していく方針を明言した。
 
同時に「派遣労働の問題点を真正面から受け止め、本人が希望すれば正規労働への移行に努めるのが基本的な方向だ」と述べ、正規雇用の拡大に取り組む姿勢を強調した。
 
●広がる子育て支援 人材確保と企業イメージアップ(2月20日 産経)
 
少子化が進むなか、企業の子育て支援対策が広がりを見せている。育児休業制度の拡充など子育てにやさしい企業イメージを打ち出すことで、優秀な人材の確保などにつなげたい考えだ。また、次世代育成支援対策推進法に基づき、各企業は育児支援などの行動計画を策定・実施しており、厚生労働省は4月以降、一定の要件を満たした企業を「子育てをサポートする企業」として認定していく。

■主な企業の子育て・出産支援策
阪神百貨店 子供が満4歳になる年度の5月まで、何度でも育児休業が可能
住友林業 小学4年までの子供を持つ社員に週休3日制
大和ハウス工業 子供1人誕生につき100万円支給
日本綜合地所 月額5万円の「お母さん手当」
キャノン 不妊治療に100万円まで補助

こうした支援策は、社員も顧客も女性が中心の化粧品業界ほか、「家電品などの開発を手がける女性研究者が数多く働く電機業界で比較的進んでいる」(厚生労働省)という。

一方、同省は4月から、子育てをサポートする企業を順次、認定し、認定マークを交付する。これは、平成17年施行の次世代育成支援対策推進法に基づき、常時雇用者数300人超えの企業・団体が策定・届出が義務付けられている行動計画と実施状況から決めるもの。

同省は「従来の法律の水準を超えた企業の自主的な取り組みを支援をするのが目的。認定を受けた企業は承認などに認定マークをつけることができ、企業イメージのアップにもつながるだろう」(職業課程両立課)としている。
 
●中小同士のM&A後押し、経産省が後継者難の企業買収で新融資
 (2月20日 日経)
 
経済産業省は後継者難で廃業寸前の中小企業の買収資金を融資する制度を新設し、中小企業同士のM&A(企業の合併・買収)を後押しする。また、倒産経験者への融資制度も充実する。「再チャレンジ」などに沿った政府の中小企業活性化策の一環で、これまで打ち出した対策も含めてほぼメニューが出そろう。ただ、安易な融資で焦げ付きが膨らみ、国民負担になる可能性もある。
 
融資を手掛けるのは国民生活金融公庫と中小企業金融公庫で、両公庫は政府系金融機関の再編成に伴って新機関に統合されることが決まっている。
 
●検尿、新健診でも必須項目に 厚労省が方針転換(2月19日 朝日)
 
08年4月から導入される新しい健康診断(新健診)で、尿たんぱく検査などの検尿が必須項目からはずされていた問題で、厚生労働省は19日、検尿を従来通り、必須項目とすることを決めた。必須項目から除いたことに、日本腎臓学会などから「腎臓病の発見が遅れ、透析患者の増加を招きかねない」と反発が強く、厚労省側が一転、譲歩した形だ。

この日あった新健診の「在り方に関する検討会」で、厚労省が尿たんぱく検査と尿糖検査を必須項目に盛り込むなどした修正案を提出、了承された。

新健診は、生活習慣病の予防などを目的に、40歳以上を対象に実施する。尿たんぱく検査は、現行の老人保健法に基づく健診や労働安全衛生法による職場健診などで必須項目になっている。

しかし、昨夏公表された新健診の暫定案で、「腎不全や透析予防に効果があるという証拠がない」(厚労省生活習慣病対策室)などの理由で、「医師の判断で選択的に実施する項目」に格下げされていた。日本腎臓学会理事長の菱田明・浜松医科大教授は「要望を受け入れてもらったと考えており、大変ありがたい」と話している。
 
●障害者に「労働」の疑い 労基署が改善指導を検討(2月19日 共同通信)
 
神戸市の社会福祉法人「神戸育成会」(小林八郎理事長)が、知的障害者の自立訓練の範囲を超えた「労働」をさせていた疑いがあることが19日、分かった。神戸東労働基準監督署は神戸育成会に対する改善指導を検討している。

福祉施設である作業所は (1) 作業収入は必要経費を除き障害者に全額工賃として支払う (2) 能力で工賃に差を設けない (3) 出欠や作業時間、作業量は自由で、指導・監督をしない―などの条件を満たせば労働基準法など関係法令の適用外になり、障害者は「労働者」とみなされない。

育成会は、知的障害者らが老人ホームのクリーニングを請け負う作業所など 3施設を運営。しかし各施設は、遅刻すると工賃を減額するなどの内部規則を設けており、労基署は障害者の自立訓練の範囲を逸脱している疑いがあると判断。ほかにも不適切な対応がないか調べを進めている。

育成会は、障害者一人に対し年間約 25万円を支給している。障害者は1日7時間前後、月約20日間作業をしている。時給換算で兵庫県の最低賃金683円を大幅に下回っており、「労働者」とみなされた場合、最低賃金法違反の疑いも出てくる。

小林理事長は「規則はあくまで訓練で、教育の一環と考えている。工賃の支払いにも問題はなく、経験ある指導員を確保するなど諸経費がかかるのは当然」と話している。

神戸東労働基準監督署は昨年11月、育成会や運営施設を立ち入り調査していた。
 
中途採用、大企業ほど前向き・リクルート調査(2月19日 日経産業)

規模が大きい企業ほど中途採用に積極的になっていることがリクルートの調査でわかった。2007年度の中途採用人数を06年度よりも「増やす」と答えた企業の比率から「減らす」と答えた企業の比率を引いた数値(DI)でみると、従業員1000人以上の企業では11.4だったのに対し、300人未満の企業では5.7にとどまった。

この調査は06年10月中旬から下旬にかけて実施、従業員5人以上の全国の民間企業1907社から回答を得た。今回が初めてのため、時系列の比較はできない。
 
●電動ベッド貸与の制限緩和 4月から医師の判断で(2月19日 産経)
 
介護保険法の改正に伴い、介護必要度の低い人について平成18年度から原則として保険給付の対象外とされた電動ベッドなどの福祉用具の貸与をめぐり、厚生労働省は19日までに、医師の判断などがあれば、今年4月から利用を認める方針を決めた。

起きあがりを補助するための電動ベッドなどは、12年の介護保険導入時はケアマネジャーが必要と判断すれば借りられた。しかし、介護給付費の抑制などを目的に、昨年4月から要介護度の軽い要介護度1と要支援者は、原則として介護保険を利用して借りることができなくなった。

ただ、軽度者の中にも「慢性呼吸不全で呼吸が苦しく電動ベッドなどが必要」などという指摘があったため、厚労省は軽度者への電動ベッドなどの福祉用具貸与の必要性を調査。その結果、「関節リウマチなどで時間帯により必要になる人」「気管支ぜんそくなどで症状の重篤化を避けるのに必要な人」などは、利用を認めるべきだと判断した。いずれも医師の判断があり、適切なケアプランが作成されていることなどが条件となる。
 
●年負担98万→56万円 75歳以上の一般所得世帯(2月18日 産経)
 
厚生労働省は17日、同じ世帯で医療と介護保険の両方を利用した場合に自己負担が重くなり過ぎないよう、合計額に上限を設ける「高額医療・高額介護合算制度」の詳細をまとめた。自己負担限度額は、年齢や所得に応じて細かく設定し、一般所得(夫婦で年収520万円未満)の75歳以上の世帯では年額56万円となり、現行の半額近くに引き下げられる。制度は平成20年度にスタートする。
 
■高額医療・介護合算制度の自己負担限度額
年齢                       75歳以上 70〜74歳  69歳以下
高所得世帯(現役並み所得世帯)      67万円  67万円   126万円
一般所得世帯                  56万円  62万円    67万円
住民税非課税世帯               31万円  31万円    34万円
低所得世帯(年金収入80万円以下など)  19万円  19万円     ―
 
 
●国民年金、カード払いOK・厚労省、08年初めメド(2月18日 日経)
 
厚生労働省は2008年初めをめどにクレジットカードで国民年金の保険料を払えるようにする方針だ。カードで払えばポイントもためられ、若者を中心に低迷する納付率の向上に役立つとみている。今通常国会に提出する国民年金法改正案に盛り込む。政府の公金決済では初めての試み。地方税や水道料金など公金決済のカード払いが今後広がる可能性がある。
 
●定期健診でウエスト測定 厚労省案に経団連反発(2月17日 朝日)
 
脳卒中や心筋梗塞(こうそく)などの生活習慣病の引き金となるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)予防に向け、厚生労働省が企業の定期健診項目の見直しを検討していることに、日本経団連が反発している。「会社は社員の肥満の責任まで負えない」(幹部)とし、内臓脂肪をめぐり官民がせめぎ合っている。
 
厚労省の見直し案では、内臓脂肪の量と相関関係のあるウエストのサイズ(腹囲)の測定を新しい健診項目に加える。経団連は16日に厚労相に出した意見書で「(女性社員など)腹囲を事業者に知られたくない労働者もいる」と反対した。
 
厚労省がメタボリックシンドロームに注目する背景には医療費を抑える狙いがある。経団連は「事業者が労働者の私生活に必要以上に関与する度合いが深まる」と懸念し、労働者自身が努力して、企業の保健指導に協力する義務を強化するよう求めている。
 
●非正社員の待遇を引き上げ、正社員と一本化 シーガイア(2月17日 朝日)
 
宮崎市の大型リゾート施設「フェニックス・シーガイア・リゾート」の運営会社「フェニックスリゾート」は来年春をメドに、パートや派遣社員ら非正社員(約600人)の待遇を引き上げ、正社員(約800人)と一本化する方針を明らかにした。「同一労働同一賃金」の原則を採用、昇格の判断基準も統一する。非正社員でも、人脈の豊富な営業担当者や、得意客の名前と顔をよく覚えているドアマンといった優れたスタッフが多く、こうした人材の士気向上や人材定着を図る。
 
今春闘から労働組合側と本格的に交渉を進める。こうした制度の本格導入は、流通業界ではイオンのような先例があるが、ホテル・レジャー業界では異例。
 
これまでフェニックス社では、非正社員は正社員よりも昇格しにくい制度だった。新制度の案では、職場の管理職などを希望する非正社員を、正社員と同様の昇格審査で評価する。研修など教育もそろえる。
 
また現在、非正社員の異動は原則として同じ部門内での配置換えに限られる半面、正社員より賃金が低く、職種により1〜2割などの格差がある。新制度では異動の範囲を異部門へも広げ、賃金体系もほぼ同一に引き上げる。仕事や成果が同様なら正社員と同様の給与が得られるようになる。
 
経営再建を進めてきた同社は人員削減が一段落し、昨春、新卒採用を10年ぶりに再開。新制度で人件費は若干増える見込みだが、幹部は「待遇を改善し、働き方の選択肢を広げることで、非正社員の意欲をさらに引き出したい」。

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