◆ 改正労働基準法(平成22年4月施行)の実務ポイント 
◆ 労働基準法施行規則等の改正省令(平成21年5月29日)の要点

時間外労働・休日労働に対する割増賃金の支払義務

 

【割増賃金の支払義務(現行法)】
 
次の労働時間、休日の原則を超える労働をさせた場合及び深夜時間帯に労働させた場合
・1日8時間、週40時間の一般的労働時間制および変形労働時間制による労働時間
(労基法第32条・第32条の5)
・労働時間の特例(労基法第40条)
・毎週少なくとも1回の休日(または4週4日の休日)
・深夜(午後10時〜翌午前5時まで)時間帯の労働
 
【割増賃金率(改正法)】
① 時間外労働…2割5分以上〔改正法〕、休日労働…3割5分以上。
 
〔改正法〕1か月60時間を超える時間外労働については、平成20年の法改正(平成22年4月1日施行)により、、5割以上の割増率で計算した割増賃金の支払が必要となる。この措置は、時間外労働についてのみ適用されるため、休日労働には適用されない。
 
なお中小企業には当分の間、適用が猶予される。中小企業の範囲…①資本金が「小売業、サービス業では5千万円以下、卸売業1億円以下、その他3億円以下」又は、②労働者数が「小売業50人以下、サービス業100人以下、卸売業100人以下、その他300人以下」のいずれかに該当する企業
 
② 深夜(午後10時〜翌午前5時)労働…さらに2割5分以上の割増賃金の支払義務
 
時間外が深夜に及んだ場合には、5割以上(時間外2割5分+深夜2割5分)の〔ただし、1か月60時間超えの時間外労働の部分が深夜と重なっている場合には、7割5分以上(時間外5割+深夜2割5分)、また、休日労働が深夜に及んだ場合には、6割以上(休日労働3割5分+深夜2割5分)〕の率で計算した割増賃金の支払いが必要。
 

1か月60時間を超える時間外労働について
割増賃金の支払に代えて「有給の休暇」を与える方法

 

平成20年の法改正(平成22年4月1日施行)により、1か月60時間を超える時間外労働について、5割以上の割増率で計算した割増賃金の支払が必要。
 
改正による追加措置に対応する割増賃金〔1か月60時間を超えに対しては5割増の割増賃金の支払が義務付けられるが、このうち従来から義務化されている2割5分部分(現行法)を除いた残り(改正法)の2割5分に相当する部分の割増賃金に限る〕の支払いに代えて、「有給の休暇」を付与することができる
 
【制度導入の要件】
 
代替休暇の制度を導入するには、労働者の過半数代表者との間で、次の事項について、
書面協定の締結が必要。
① 代替休暇として与えることができる時間の時間数の算定方法
② 代替休暇以外の通常の有給休暇と合わせて与える場合は、その旨
③ 代替休暇を与えることができる期間
 
【代替休暇の単位】
 
1日又は半日となる。 代替休暇以外の通常の有給休暇と合わせて与えることもできる。
 
【代替休暇を与えることができる期間】
 
時間外労働時間が1箇月について60時間を超えた月の末日の翌日から2箇月以内に限定
 
【時間数算定の事例】
 
対象となる労働者の時給額×時間外労働時間数×1.5のうち、1.25部分(現行法)を除いた残り(改正法)の0.25(時間数換算…時間外労働1時間あたり15分間)が有給の休暇付与対象時間となる。
 
例:60時間超えの時間外労働32時間(32×0.25=8時間)=1日(8時間)分の有給休暇に相当
 
★注意★ 労働者が代替休暇を取得しなかった場合には、5割増以上で計算した割増賃金の支払が必要となる。
 

「特別条項」付き36協定における
月45時間超え時間外労働の割増賃金率

 

【「特別条項」付き36協定(現行法)】
 
時間外労働は、原則、事業場において労使が36協定を結んで実施する場合であっても、「時間外労働の限度基準告示」(平成10年労働省告示第154号)が限度基準として示す1か月45時間等を超えて行うことはできない。
 
特例として、特別の事情(臨時的なもの)がある場合に限るという条件で、「特別条項」付き36協定を結ぶことにより、1か月45時間超えの36協定が認められている。
 
【改正法による届出】
 
平成20年の法改正(平成22年4月1日施行)により、1か月45時間を超えて時間外労働を行なう必要がある事業場において、「特別条項」付き36協定を締結するに当たっては、「月45時間を超える時間外労働に対する割増賃金率も定めること」とされ、その場合の割増賃金率は、25%を超える率とするように努めること。
 
25%を超える率にするように努めるとは、「努力義務」規定であるため、対応できない場合は従うまでの義務はない
この場合は、「月45時間を超える時間外労働に対する割増賃金率」は、法定割増率である「25%」となる
法定割増率のとおりであっても、その旨を「特別条項」付き36協定に記入して届け出ることが必要
 

年次有給休暇を時間単位に取得するために、整備すべき要件

 

平成20年の法改正(平成22年4月1日視行)によって、1年間に5日分(但し、労使協定の範囲内)
まで、年次有給休暇の時間単位取得が可能となる。年次有給休暇を日単位で取得するか時間単位で取得するかは、
労働者が選択できる
 
【制度導入の要件】
 
年次有給休暇の時間単位取得制度を導入するには、労働者の過半数代表者との間で、次の事項について、書面協定の締結が必要。
 
① 対象となる労働者の範囲
② 時間を単位として与えることができる有給休暇の日数(5日以内に限る)
③ 時間を単位として与えることができる有給休暇1日の時間数〔1日の所定労働時間数(日によって所定労働時間数が異なる場合には、1年間における1日平均所定労働時間数)を下回ってはならない〕
④ 1時間以外の時間を単位として有給休暇を与える場合は、その時間数(1日の所定労働時間数未満であること)
 
なお、協定事項である「対象労働者」に制限はないため、比例付与のパートタイム労働者も対象とできる
 
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■改正労働基準法についての情報案内(厚生労働省)
厚生労働省ではホームページ〔トピックス(労働基準局)のページ〕で、
改正労働基準法についての情報を順次掲載していきます。
■改正労働基準法(平成22年4月施行)ポイント解説リーフレット
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◆改正労働基準法(平成22年4月施行)への実務対応と注意点◆

〔法改正のポイント〕〔改正法への実務対応〕〔改正法の問題点〕

〔改正後の賃金計算の注意点(事例)〕

 

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■労働基準法の一部を改正する法律(平成20年 法律第89号)
 平成22年4月1日施行 労働基準法 改正条文抜粋
 (第36条・第37条・第39条・第138条・他)
■改正労働基準法(平成22年4月施行)に関する省令および告示
 「労働基準法施行規則等の一部を改正する省令」
 (平成21年5月29日 厚生労働省令第113号)
 「労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準を
 改正する件」(平成21年5月29日 厚生労働省告示第316号)
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